- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150756567
感想・レビュー・書評
-
言わずと知れたパーカーのスペンサーシリーズの最高傑作。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ロバート・B・パーカーの四半世紀前の小説です。文体というか会話文が、少々古臭く感じなくも無いですが、なかなか良い物語を楽しみました。
パーカーのシリーズの中では、異色だそうです。事件よりひ弱で世をすねた少年とその少年の自立を手助けするスペンサーの物語といった印象があります。
「男らしさ」にこだわる探偵の姿にどこと無くヘミングウェイの面影を感じます。こだわる姿にときおり「寂しさ」や「悲しさ」が隠れているような気がします。そのあたりいい味だと思いますい。 -
スペンサーシリーズの代表作と言っていいと思うけど、僕はなぜかもうひとつ好きになれないでいた。物語の内容に倫理的な不信感を感じることはないのだけど、夫婦に対する視線が相対的に少し厳しすぎるんじゃないかと感じてしまうのだ。
たとえば、「誘拐」だって「ゴッドウルフ」だって、初期の作品に描かれる夫婦や親は、ろくなもんじゃなかったと思う。それでもスペンサーはその人たちと本気で敵対することはなかったと思う。ただ、相容れない生き方をふまえて、一応はハッピーエンドを考えていたような印象がある。
今回は、子供に教育をする物語だから、親を追い払わなければいけなくなる。そのために、物語としては親をきちんと悪者にしなければならなかったのだとは思うが、それでも何となく、情け容赦もない、という感じがしてならない。
息子ポールの成長ぶりは、なんだかんだいっても感動的である。「初秋」というタイトルに込められたニュアンスもいい味を出していると思う。シリーズの流れ全体としては、レイチェルにずたずたにされたものを、子供を介して立て直しているように感じられる。まあ、悪くない。
怒るスーザンが印象的。この先のシリーズの展開につながるわけではないと思うけれど、逆にスペンサーの身勝手さを感じさせてくれてお見事である。 -
何年かぶりでの再読。
スペンサー・シリーズの第七作目。
「たった一夏で自分がやったことを考えてみろ」
「ただし、ぼくは、なにも自分のものにすることができなかった」
「できたよ」
「なにを?」
「人生だ」 (P.281~P.282)
人生を未だに自分のものにできていないわたしは、ただ感動して読み終えました。 -
★粗筋★
スペンサーシリーズの傑作。
両親から何の教育も受けず、何も与えられなかった少年をスペンサーがスペンサー式の少年教育で人生を救う!
数々の作家がスペンサーシリーズの中で「レイチェルウォレスを捜せ」と今作を推してたけども理由が分かりました。
たとえスーザンに反対されようとも、少年ポールを育てることを主張したシーン。
不憫に思いつつも、かわいい子猫のように甘やかさず、一人の人間として厳しく教えるシーン。
ひとつひとつの行動に、確固たるスペンサー流の行動指針があって改めて自分を貫くことの困難さを知ることができた。
あなたは人生に何を求める?
あなたは人生を何で満たす? -
自分がコントロール出来ない事柄についてくよくよ考えたって、なんの益にもならないんだ。
印象にの残る言葉でした。全体は期待値が高すぎたかな。自分の感受性が摩耗してきている。 -
とても面白くて一気読みしてしまった。対立するクズの両親の駆け引きに使われるだけで、心を閉ざした少年を私立探偵が自立させる話。
僕の私立探偵のイメージはマーロウや原尞によって書かれるものだった。よくボコボコにされたり、金がなかったり、バカにされることばかり、そして寡黙で自分を曲げず、美学による強さを持つ男。
この作家が書くスペンサーはよく喋るし、すげえ強いし、わりあい金を持っている。そしてもちろん美学に沿って行動している。ヒーローだから、安心してスッキリ読める。
それでいてこの本は、少年との交流による戸惑いや優しさ、叙情性が押し出されていて、バランスがとても良い。もう少しこのスペンサーシリーズを読んでみようかな。 -
久しぶりに再読。
何回読んでも素晴らしいパーカーの世界。
忘れそうな何かを思い出させてくれる本。 -
ここに書かれていることを素敵だと感じて、しばらくすると忘れてしまう。再読してまたそれを思い出す。その繰り返し。