- Amazon.co.jp ・本 (171ページ)
- / ISBN・EAN: 9784151200175
感想・レビュー・書評
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1905年、スイス。特殊相対性理論に関する論文を書き上げる前の5週間のあいだ、夜ごとにアインシュタインが見た奇妙な夢。地球の中心から遠ざかるほど時の進みが遅くなり、永遠の若さを求める人びとが高山の上に住む世界。全員が世界の終わる日を正確に知っているため、平等と平和が実現している世界。記憶が存在せず、人びとが自身の一代記を持ち歩いている世界。時計がたった一つしか存在しない世界。姿を変える〈時間〉を一つずつスノードームに閉じ込め、30個並べたかのような連作短篇集。
解説でも言われている通り真っ先にカルヴィーノの「見えない都市」を連想する。著名人が見たかもしれない架空の夢という設定はタブッキの「夢の中の夢」と共通している。
上記のようにイタリア人作家の作品を思い出させる作風だったため、著者がアメリカ人だったのは少し驚きのような納得のような。夢の世界はアインシュタインが当時住んでいたスイスの古都ベルンに設定されており、古い石畳の街並みが夜毎に変わる時間の概念にぐにゃりと歪んでいく。そういうものが書けるのはヨーロッパの外の人だからかもしれない。
不思議なことに、カルヴィーノ作品のような哲学味は本書からあまり感じられない。時間の作用に影響されるものとして恋愛が何度も例に挙がるせいだろうか。恋人たちはオルゴール人形のように夢の中に繰り返し登場するけれど、現実の描写である「インタールード」では史実に基づくアインシュタインとベッソーの友情が描かれる。変化する恋愛感情と不変の友情?だとしたら古典的すぎるけれど。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
相対性理論に基づいて、日常生活で起こりうる時間と未来・現在・過去との関係性を物語風にしている。何をどう理解すれば良いのか、わからなかった。
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現役物理学者の書いた、相対性理論をまとめてた頃のアインシュタインの思考を推測した本
時間・空間についての印象ベースの考察が興味深い -
アインシュタインが見たかもしれない夢というテーマの不思議な時間軸の寓話たち。
意外と目からうろこ的な発想はなかった。
相対性理論的な思考が身についているということなのか?ふむ。