動物農場〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151200878

作品紹介・あらすじ

動物たちは飲んだくれの農場主を追い出し理想的な共和国を築こうとするが……。全体主義やスターリン主義への痛烈な批判を寓話的に描いた作品

感想・レビュー・書評

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  • 1984年から、ジョージオーウェルを知りたくなり、この本を読みました。
    陰湿な空気が流れるなか進む物語。かわいい動物を思い描いて読むと最後の展開で痛い目をみるかも。

    なんでこんな事を考えられる、思いつくのか。当時の社会情勢を調べもう1回読むとまた違う視点で読むことができました。

  • 中学生の時にインパクトと受けた一冊。
    今思えば資本主義のアメリカンスクールならではの選書だけど、正解を押し付けず、子供に考えさせる教育方針はとても好きだった。

  • h10-図書館2022/05/17ー期限5/31 読了5/28 返却5/29

  • オーディブルにて。
    事前情報なしで読み、表面的な解釈をしただけでも、ラストはゾクッとした。小説としてもとても面白い。
    後から訳者あとがきなどを読み、これがソ連批判だということを知って二度ゾクッとした。
    読んでおいてよかった作品だと感じる。

  • 歴史に疎いため訳者のあとがきが理解に役立った。出版社にめちゃくちゃ断られて出すまで大変だった話と「冷静」という単語はオーウェルが作り出したものという話が面白い。

    物語の中に、ミルクとりんごがちょろまかされ行き先を誰も知らないというくだりがあったが、オーウェルが声を大にして言いたいこと→「このお話の教訓は、革命が大きな改善を実現するには、大衆が目を開いて、指導者たちがきちんとそいつらを始末する方法を理解している場合だけだ、というものです。」

    お金をポケットに入れた入れないで揉めまくり記憶にありませんとか私のサイン"のように思えます"とか言ってる政治家をみんなで囲おう。

  • 寓話というには苛烈なスターリン批判だった。
    驚いた点は3点。
    ①かなり政治色の濃い作品だったこと。
    ②オーウェル自身は社会主義者。社会主義を歪めた独裁的指導者が許せないためにこの作品を書いた。出自や経歴の関係上、理不尽に搾取される労働者として過ごし怒りを覚えたかららしい。
    ③第二次世界大戦直後のイギリスでは親ロシアな世相だったので出版に苦労したとのこと。イギリスだけでなく、戦勝国にはそういった気風があったのは意外だった。

    資本主義、民主主義、帝国主義、社会主義、共産主義、全体主義エトセトラエトセトラ…
    最終的にトップが腐る。周りに止める力が無い。
    どんなに高尚な理想、高度な理論を持ってしても必ず訪れる腐敗。何度繰り返しても、システムをとっかえても避けることが出来ない破局。
    どうしたらいい。どうしたら…

    ボクサーの最期は辛かった。
    頑張って生きたものに幸福な最期を迎えて欲しい。迎えさせてあげたい。
     

  • 本当に読んでよかった。難しいことをわかりやすく説明してくれる本、ありがたすぎる。
    帯に「折に触れて読み返す本の一つ」って書いていた通り、何度も読み返した方がいいと思う。自分の行動を省みるためにも。

    人間の搾取に反発し、民主的な農場をつくるために奮起したはずの動物たちが、いつの間にか独裁体制に巻き込まれていく。
    その過程がとても鮮やかで覚えておきたいと思ったので書いておく。

    ・反乱を指導するリーダーがうまれる

    ・シンボルとなるものをたくさん作り、一体感を高める
    ex)歌(高揚感も高める)、旗、記念日、スローガン『四本足 はよい、二本足は悪い』『すべての動物は平等である』

    ・規則(戒律)をつくる
    全員が団結し、平等に暮らせることを目的とする

    ・指導者を暴力的に追放し、あくまで「この世界の平和のため」と言い切る
    →圧倒的な力で恐怖感を植えつけたうえで、支配者ではなく味方であることをアピールして服従させる

    ・「革命前よりはマシ」「すべて自分たちのため」と繰り返し伝えて動物たちを納得させ、実質的な強制労働によりインフラを整備する

    ・不都合なことはすべて追放された指導者による陰謀ということにする(仮想敵をつくって団結をはかる)

    ・追放者に加担したという罪を自ら告白させたうえで処刑する(モスクワ「見世物」裁判)

    ・戒律と歴史の改変、捏造
    (動物たちには読み書きを教えない)

    これらはロシア革命で実際にスターリンが行なった政策をかなり忠実になぞっているらしい。
    特権を乱用し、どんどん堕落していく豚の醜さよ。こういう人間が実在した世界線に生きていることが到底信じ難い。
    でも自分たちが心地よくなる選択肢を選び続けたら、自然とこうなってしまうんだろうか。私も例外ではないんだろうか。

    当時は国際的にもスターリンは承認されており、批判を口に出せる空気ではなかったそうで、オーウェルは出版に苦労したらしい。
    訳者のあとがきで、不正をきちんと糾弾しない動物たちを批判する意図もあった、ということが書かれていたけれど、人間界では本当にそうだよなあと思いつつ、動物は生まれ持った性質が種によってかなり異なるので、キャパシティが全然違うだろうし、ある程度しょうがないのでは…と思ったりした。豚が気づくべきやったと思う。

  • 最初はポップな動物の理想郷みたいな形で話が進んでいくと思っていた。指導者に搾取され続け、それぞれが豚と言われたことを鵜呑みしている、共産主義の姿を描いているとあるが、どこか社会小さなコミュニティにも似て非なるところはあるような気がする。

  • 「すべての動物は平等である。だが一部の動物は他よりももっと平等である」
    80年ほど前の作品で且つ200ページと短めながら、言葉を失うほどの恐怖を感じる。。そんなおとぎ話でした。名作と言われる所以が素人ながらよく分かった気がします。
    無知な私は、それがロシア革命後における権力構造の変遷を描いたものだとは全く思い当たりませんでしたが、巻末の訳者あとがきを読んで結構理解が深まりましたので、未読の方は是非セットで読んでみてください。

  • 現代の社会においても通づるものを感じた。

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著者プロフィール

1903-50 インド・ベンガル生まれ。インド高等文官である父は、アヘンの栽培と販売に従事していた。1歳のときにイギリスに帰国。18歳で今度はビルマに渡る。37年、スペイン内戦に義勇兵として参加。その体験を基に『カタロニア讃歌』を記す。45年『動物農場』を発表。その後、全体主義的ディストピアの世界を描いた『1984年』の執筆に取り掛かる。50年、ロンドンにて死去。

「2018年 『アニマル・ファーム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ジョージ・オーウェルの作品

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