終りなき夜に生れつく (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

  • 早川書房
3.71
  • (28)
  • (27)
  • (52)
  • (1)
  • (2)
本棚登録 : 299
感想 : 42
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (409ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151300950

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 若いアメリカ人大富豪と結婚した、うだつの上がらない主人公。
    地元民からは呪われた地ともいわれる「ジプシーが丘」を購入し、
    新居を建て、新生活を始める。
    しかし、乗馬に出かけた妻が遺体で発見され・・・
    という流れの、主人公の一人称で語られる作品。

    「ジプシーの呪い」というオカルト風味が足されていますが、
    クリスティ作品ではそんなものはマヤカシでしかないのは
    もはや自明の理ですね(笑)

    トリックはクリスティの有名作のアレやアレの組み合わせです。
    筋立てやトリックを知っていても楽しく読めるのが良いミステリだと思いますが、
    アレやアレに比べて、本作は読んでいて常にイマイチ感がありました。

  • 好みの問題だけど個人的には不発。同じ叙述トリックの超有名作なら、立派に見える人が、ポアロが言ったように奥深くに弱い性格があるために間がさして重罪を重ねたことに人生の恐ろしさ+大胆で悪辣な犯行のギャップに胸を締め付けられる衝撃があったけれど、本作の主人公は初めから責任感も良心の呵責も希薄、楽して得したい犯罪者タイプで「あ、やっぱり?いかにもろくでなしだからね」だし、最後にエリー…と泣かれても自業自得。この主人公らしい終始ふわふわで読んでいてイラっとさせられる拙い叙述は、紫式部が登場人物によって歌を詠み分けたような人工的な感じ。不安定感に寄与するけど、いかにも「信頼できない語り手」で真相が予定調和。若干モチーフが似ていて要点が何かと正反対な「郵便配達は二度ベルを鳴らす」の切なさや迫真感が本作には全くない。
    母親や建築家、後見人等警告したり罪を見逃さない登場人物は良かった。ただ巻き込まれ被害で手口の証拠になった被害者の友人が財産管理人の元妻で建築家の異母妹なのは単に話が散らかっただけじゃない?
    マープルの短編「舗道の血痕」のある種発展形で、短編では被害者を冴えない無人格な描写に留めたが、本作はかわいそうなお金持ちのお嬢さん。周囲が皆利益目的なことに慣れ、そこから逃れたい気持ちを利用され信頼した人達に騙されたことに途中から気づき命運悟っていた感が源実朝的悲劇ながらそこに焦点は当たっていない。
    詩の引用タイトルが素晴らしい(本作は特に邦題)のに中身が残念。

  • クリスティはなぜか10年に1度くらいの割合で読みます。
    ブレイクの詩『罪なき者の予言』をネットで見かけて
    この小説を手に取りました。

    少し長い、と感じたもののところどころ
    惹かれるセリフがあり読み切りました。

    「まるで心から愛しているような目でなぜ私を見つめるの」

  • 極上の雰囲気。
    クリスティー作品の中でも最上級。

  • Some are Born to Endless Night ―
    Auguries of Innocence by William Blake

    妄執と悔恨、自分でかけた呪いに囚われる悲劇。point of no return = 引き返せない地点は、不吉な丘での出逢いよりずっと以前に厳然と存在しており…。

  • 180629-0716

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    海をのぞむ美しい眺望で人々を魅了する“ジプシーが丘”。が、同時に呪われた地として皆から恐れられてもいた。この地で男女が出会い、恋に落ちた。だが、まもなく乗馬に出かけた女は馬から落ちて死亡してしまう。果たして、“ジプシーが丘”の呪いなのか?斬新な手法を駆使し、著者が自信を持っておくる異色作。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    これは新しい形の作品でしたね!
    ミステリー...なのかな...?
    ミステリー...ですよね...?

    サスペンスの要素も相当にあり...
    文学の要素も大いにあり...
    ラブロマンスのようでもあり...

    と、いろんな要素がぎゅっと詰まった、珠玉の作品だと思います!

    ともかくノン・シリーズとは言え、なんとなくいつもの作風とは違うような。
    なんだか背後から誰かがじっと見てるような、
    そんな不吉な影すら感じる作品でしたぁ。

    そしてこの作品、邦題の付け方も秀逸ですね...
    原題は「Endless Night」これもかっこいいけどね、
    「終わらない夜」よりは興味引くよね~

    作中の詩を使用したセンスに惚れ惚れです♡

    でもこれ、私結末分かりましたよ!
    途中で!
    って今回の作品は割りと分かりやすかったかな。

    ジプシーが丘、と呼ばれる風光明媚な場所にまつわる不思議な話。
    そしてそこに魅せられた主人公の青年。
    思えばそこから、不吉な影は付きまとって...

    で、その丘のある村にはやっぱり占いをしたりするジプシーのおばあさんがいるのですけど。

    クリスティの作品には、時々ジプシーが出てきますよね。
    今回のようにおばあさんだったり、奔放で美しい女性だったり。

    イギリスの、クリスティの生きた当時で、ジプシーってどういう存在だったんでしょう。
    と言うかジプシーって具体的にどういう人たちを指していたのかな?

    イギリス人ではない、移民のことだろうとは思うのですが...
    具体的にどこの人で、どういった人種だったのでしょうか。
    (イメージでは西アジア系のオリエンタルな雰囲気の)
    そして今もジプシーと呼ばれる人はいるんでしょうかね...

    途中にふと挿入され、最後に何度も繰り返される、
    主人公の青年と結婚した大金持ちの娘の会話。

    思い返すと少しだけ、背筋が寒くなるような。
    胸が痛くなるような。

    そして悲しい結末...

    悲しいけどこの結末でよかったな、と思っちゃう。
    あの女性がこのまま生きていたら、と思うとぞっとする。
    いずれにせよ平和な未来は絶対ないからね!

    ほんとはちょっと読むのを迷っていた作品だったのですが、
    結果今回手に取ってやっぱりよかったです。

    これは舞台を変えて日本とかでも、そして現代に置き換えても、違和感なく映像化出来そう。

    ぜひさわやかイケメン(三浦春馬とか...東出昌大とか...)に演じてもらって、驚かせてほしい!

    あーそれいいな。
    東出さんと杏ちゃんの夫婦で。
    で大金持ちの娘は有村佳純さんとか!
    志田未来さんとかもいいかも!
    わーやばい。見たい。

    ...ってくらい一人でも盛り上がれる作品です。
    皆様も、ぜひ(笑

  • これは怖い
    クリスティーの中でもダントツの読後感の悪さ
    うーん

  • ロジャーが本性を出した瞬間に「ああ、そうだよな」って納得してしまった。頭のすみっこにあった違和感がさっと晴れた感じ。
    客観的に見たら主人公たちの結婚は金目当てでしかないんだけど、一人称に騙されて「おかしいな」と思いながら読み進めてしまう。実の母に軽蔑されている時点でろくでもない男と気づくべきだよね。エリーがなんとなくロジャーとグレタの企みに気付いていそうだったのがまた泣けた。

  • そんな…でもないかなー。
    読み方を間違えた感じ。
    推理小説ではなく恋愛小説として読んだら面白いと感じたかも。

全42件中 1 - 10件を表示

アガサ・クリスティーの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×