特捜部Q―カルテ番号64―(上) (ハヤカワ・ミステリ文庫 エ 7-5)
- 早川書房 (2014年12月5日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
- / ISBN・EAN: 9784151794551
作品紹介・あらすじ
未解決事件捜査の専門部署、特捜部Q──今回挑むのは80年代に起きたナイトクラブのマダム失踪事件。人気警察小説シリーズ第四弾
感想・レビュー・書評
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デンマークの代表的文学賞「金の月桂樹」賞を受賞した、『特捜部Q』シリーズ第4巻。
20年以上前にエスコート・クラブの経営者であるリタが忽然と姿を消したのを皮切りに、同時期に失踪した者が5人もいることが判明した謎の失踪事件。
インフルエンザが署内で猛威をふるう中、メンバーの過去が垣間見えて、絆が深まりチームとして纏りつつある特捜部Qが、どのようにして事件の真相にたどり着き、犯人を見つけるのか?とてもハラハラして読むことが出来ました❗
しかし、〈明確なる一線〉の主義主張には、つくづく嫌気がさします。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
映画では鑑賞済だったので原作はどうなのかと思い購入。
北欧ミステリーは初めて読むので構えてしまっていたが、気づいたらグイグイ引き込まれてしまってました。
序盤から登場人物の現在と過去の話を交互に書いているので、読み進めて理解するのに若干の時間はかかりますが、それが少しずつ収束していく事と物語が盛り上がっていくところが上手く噛み合っていて上巻だけでもかなり読ませる。
映画でも悪役が純粋悪に近くて救いようもなかったけど、今回も勿論です。 -
下巻にまとめて書きます。
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特捜部Qシリーズ第四作。
なぜ二十年前に5人も失踪したのか。
その謎が、なぜ5人で止まったのか、に変わったあたりで、
ミステリーから思考回路が離れていった。
多くの女性たちの人生を踏みにじった男、
それでいて自分は幸せな結婚をし、
子供に恵まれ、
その狂った考えを病原菌のようにまき散らそうとしている男に
ふさわしい最期はどんなものだろう、
ということが気になった仕方がなかった。
作者がもたらした結末は、納得のいくものではなかった。
だが、その行動や思想の酷さから言えば、
死をもっても贖えるようなものではなく、
たとえどんな最期だろうとふさわしいものではないのかもしれない。
(下巻へ) -
1月-7。3.5点。
20年以上前、デートクラブの経営者が失踪。特捜部Qが捜査に。
同時期に複数の人間が失踪していた。
デンマークの闇とも言える、知的障害女性を島送りにし、不妊手術をするという史実も交えた物語。
まあまあの上巻。下巻に期待。 -
今回のテーマは少々重い史実を下敷きにしている。優性思想が通用していた時代の女性を対象とした収容施設だ。
助手のアサドとローセが激しい興味を示し、事件に巻き込まれていく。
悲しみを抱えた女性を描いているところは、カミーユ警部が登場する「その女アレックス」と同様の読後感があり、最後のどんでん返しも含めミステリーとして十分に過ぎるクオリティだ。
巻末に女子収容所について、史実であり、現在に至るまで国家による補償も謝罪も行われていないと特記されているところに、作者の強い意志を感じる。 -
映画といろいろ違いすぎて、映画見ただけじゃ特捜部qを読んだとは言えないが、今回はまた特にそれが顕著
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コペンハーゲン警察が舞台のミステリー。スプロー島に実在した女子収容所に絡む失踪事件から、極右政党の悍ましい犯罪が明らかにされていく。今回も、特捜部Qメンバーが公私共に忙しく躍動する。読後、引き摺り込まれた疲労感あり。
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過去に実在した女性の矯正施設において、人生を歪められた女性と歪めた元医師の政治家とその政党に特捜部Qが立ち向かう。また過去のマークの釘打ち事件にも進展があり、アサドやローセの内面に少し光が当てられている。最後のニーデとクアトの対峙は少し肩透かしだったが、様々な問題に頭を悩ませるマークが最後に自分のチームへの感情を少し自覚したところに心温まった