- Amazon.co.jp ・本 (422ページ)
- / ISBN・EAN: 9784151808012
作品紹介・あらすじ
殺人任務のため異星人は数学者の体を乗っ取る。が、学者の妻と子の愛に触れ、迷いが……
感想・レビュー・書評
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人生がちょっと嫌になっている大人のためのお伽話。
説教臭いところもないではないけど、人間に惜しみない讃歌を捧げている。
弱った時に読むといいかも。
あと犬サイコー。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
宇宙のヴォナドリアからやってきた異星人である私は、リーマン予測を解明してしまったアンドルー・マーティン教授を殺害する。その後アンドルー・マーティンとしてケンブリッジ大学で教鞭をとるとともに、イザベル、ガリヴァー、そして犬のニュートンとともに家族として過ごしていくのだが…。
典型的なファーストコンタクト物の小説で、翻訳物なので小難しいかと構えて読み始めたが、割と気楽に読める本である。
2014年と新し目の本で、2014年に訳が出るという高速日本語化されているだけあり、最近の本らしくわかりやすい訳では有るが、全体に荒っぽいところは有る。それでもわかりやすいのでSF初心者にも楽しめる作品であろう。
ちょっと不思議なのは、これ、ハヤカワの水色の背のSFラインではなく、黄緑色のHM=ハヤカワミステリラインなのだな。でも表紙はヨシタケシンスケの、ディックオマージュのような表紙だし、タイトルからもSFであろう。ただ、解説によると探偵小説クラブ賞を取ったということでミステリになったのか。でも、読んでSFならSFでいいんでないのかな。ハヤカワSFラインを読む人はミステリの新刊まで見ないぞ。
本作に戻り、リーマン予測の解明を知っていた教授になりすまし、それらの糸口を知りそうな人をさっさと殺して星に戻るはずだったが、家族というものを知ってしまって、というストレートにわかりやすいところもあり、大おすすめの☆5。ま、「ギフト」という超能力みたいな都合の良すぎるところもあるけど、それもいいでしょ。
あそう。
(追記)
少し前(1990年代後半以降か?)から、海外SF作品は、前提知識を要求してきて、「フィールド・オブ・ドリームスのように」「ニルヴァーナのように」と固有名詞を形容詞化するものが増えた。『シンプソンズ』『サウスパーク』などが流行ったのもそういう社会的なノリの一つなのだろうと思うのだが、どうしても時代錯誤なところが出てきてしまうのは否めない。これは過去に日本の探偵小説などが通ってきた道では有るのだが、そうやって同じレベルの人たちとうちわで盛り上がることが、小説の垣根を高くしてしまっているのではないのか。 -
後日談が見たくなった。素敵だった。SFファンタジー。日本語のタイトルが良かったから選んだけど、英語のタイトルの方だと手に取らなそう。
はじめの20ページくらいはちょっと理解に苦しむところがあるかも。私達の常識が通じない、文字通り宇宙人の視点で始まるから。
ただ、犬が出てきたところから話についていけるようになった。はじめはどうなっちゃうのかとおもったけれど、良かった。
後味もいい! -
地球人が精神的に未熟なままに科学的に発展することを危惧する異星人が地球の歴史に介入しようとする。具体的にはリーマン予想が証明されないように、暗殺者が送り込まれる。最初は地球人とその文化について、否定的な見方をする異星人。地球での人間関係によって変化する異星人の考え方。コミカルで皮肉もきいていて面白かった。おすすめです。
この作者の他の作品も読みたくなった。 -
「マット・ヘイグ」の長篇SF作品『今日から地球人(原題:THE HUMANS)』を読みました。
「エドガー賞(アメリカ探偵作家クラブ賞)」の最終候補作に選ばれた作品らしいですが、、、
これはSF作品ですよね… SF作品は今年の6月に読んだ『透明人間の告白』以来なので、約半年振りですね。
-----story-------------
殺人任務のため異星人は数学者の体を乗っ取る。
が、学者の妻と子の愛に触れ、迷いが……
ケンブリッジ大の権威ある数学者が(挨拶代りに唾を飛ばしつつ)全裸でぶらぶら歩き!
車にはねられぽーんと宙を舞い、頭がヘンに?
いや、数字教授「アンドルー」の奇行は、異星人にのっとられたからだった。
その目的はリーマン予想を証明する者の暗殺。
学者ののっとりは成功、が、「アンドルー」の妻と息子の純粋さ、飼い犬の優しさに心動かされ、人を好きになっていく… 異星人本部から殺しの指示が強まる中、彼の決断は?
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数字教授「アンドルー」が、人類を大きく進歩させる歴史的な数学上の証明… リーマン予想の証明を成し得た、、、
この証明により科学技術が飛躍的に発展することで、きたる未来に宇宙の平和が脅かされる可能性があることから、異星人の主人公は、地球から86億5千317万8千431光年離れた惑星ヴォナドリアから工作員として地球にやってきて、宇宙平和を守るため「アンドルー」を抹殺したあと、本人に成りすまして、その研究成果を抹消しようとする。
■序文 途方もない逆境に直面しての不合理な希望
■第一部 わたしはおのれの力を手にして
■第二部 わたしはこの手に宝石を握りしめて
■第三部 手負いの鹿がいちばん高く跳ねる
■訳者あとがき 鈴木恵
地球人の生活習慣を知らずに地球にやってきたため、全裸で歩きまわったり、挨拶代りに唾を飛ばしたり… 狂人と思われて収容されるが、歩き回った際の情報や、収容された病院で得た情報から、徐々に人間らしい振る舞いができるように順応し、数字教授「アンドルー」としての生活を始める、、、
そして、彼の妻子と生活するうちに、嫌悪にしか感じなかった地球人への感情が、地球人としての生き方に馴染みむことで次第に変化し、家族や飼い犬への愛情まで芽生えてしまい、任務を放棄して地球人となることを選択する… 痛みを感じ、限りある人生を選び、平和な生活を送れると思っていた矢先、新たな工作員が派遣され、家族が危機に晒される。
テーマは面白いし、笑えるシーンも多々ありましたが… 中盤は、ちょっと間延びする感じだったですね、、、
イイ感じのハッピーエンドでしたが、最後まで、何でこの作品が「エドガー賞(アメリカ探偵作家クラブ賞)」の最終候補作に選ばれたのか、それがイチバンの謎でした。
以下、主な登場人物です。
「アンドルー・マーティン」
数学者
「イゾベル」
アンドルーの妻
「ガリヴァー」
アンドルーとイゾヴェルの子ども
「ニュートン」
飼われている犬 -
数学者がリーマン予想解いた。この事実を知る人間を抹消すべく異性人に刺客が送り込まれる。 ところが刺客は数学者にすり替わって調査をしていくなかで、人間に対する理解を深め、 人間とは?愛とは?生きるとは?の洞察が提示される。 2000年に著者がパニック障害に苦しんでる頃に着想し2013年に出版されたとのこと。 ただ重苦しい雰囲気は無く、異性人が、いきなり数学者に成代わり、 妻子・犬・愛人・友人知人と繰り広げる”設定ならでは”の、お約束的なギャグも楽しめる。 面白かったです。これミステリ?(笑
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カート・ヴォネガット風なおはなし。ところどころでにやっとしてしまうユーモアがおもしろかった。
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異星人目線の、人生指南書、かもしれない。
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リーマン予想を解いた数学者に乗り移って地球にやってきた異星人。それを知る人間を抹殺するのが彼の役目だが、初めは全てが不愉快だった人間のあれこれが、妻や子供や同僚と交わるうちに自らが人間であり続けたいと思うようになる。正直ありがちな設定、展開で新味は何もない。でも、矛盾に満ちて過ちを繰り返し暴力的で妙な羞恥心を持つ人間だからこそ愛しい、というメッセージはやはり胸に残る。あと、犬との交流はサイコー。犬は人より高等な生き物なんだろうな。
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地球人より地球人を理解してる。感動。