- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784151838514
作品紹介・あらすじ
近所の幸せな女優一家に憧れる不幸な女性。その生活を覗き見て妄想にふける彼女はやがて破滅的な事態へ……心理スリラーミステリ。
感想・レビュー・書評
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とにかくまずタイトルがいい。
見ただけで「うおう」と声を上げ、その不穏さに読むと決めた。すぐさま読んだ。
読みながら"うおう"と、声なき声を何度あげたかしれない。
英語のタイトルは 『Looker』。
これまた素晴らしいタイトルだ。
あとがきによると、これは「見るもの」であると同時に「見映えのする者」の意味があるという。(244頁)
言葉の選択が、なんともいい。
作者ローラ・シムズはこれが小説デビュー作ではあるが、詩集は4冊出しているという。
ワシントン大学で詩創作の芸術学修士号を取得し、栃木の中学で教員の経験もあり、現在は教授として、ニューヨーク大学で文学と創作を教えているという。
なるほど、納得できるというものだ。
エミリー・ディキンソン、シルヴィア・プラス、ウォルト・ホイットマン、与謝蕪村・・・・・・
具体的に名を挙げ、彼らの詩について語られるところがいくつも出てくる。
私は詩についてはとんと疎く、読んでもピンともツンともこないのだが、そんな私にもこの部分は面白かった。
感性の側から、技術の側から、詩というものはこのように読み説くのかと、いい勉強になったのだ。
見れば1段落ごとが詩のようで、物語そのものが一つの詩のようである。
いっぽう、頭のいい女性の率直な日記ブログのようでもあるので、私はこれを女性におすすめしたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
店頭で見掛けて気になっていた1冊。
『余り幸福ではない人生を送る主人公が破滅するまでの物語』と、言ってしまえばそれまでなのだが、主人公の言動や、徐々に正常な判断力を失っていく様子には迫力があった。終盤、破滅に向かう姿は哀れを誘う。
所謂『イヤミス』に近いものではあるが、悲哀に満ちているのは珍しい。 -
初読 ★2.5
タイトル&ジャケ買い、
楽しみにしてたのだけど。
うーーーーーーーーん
「女優」的な存在に憧れて、それが時に過剰になる、というのは
今の時代、特によくある事、だと思うし
自分自身にも覚えがある故読みたいテーマなのだけど、
単純に可哀想じゃない?この「わたし」。
こういう風に女がおかしくなっていく物語を
読みたいと思ってるわけじゃないんだよなぁ…
原題「LOOKER」が「見る者」と共に「見栄えがする者」
という意味がある、というのは興味深かった。 -
いわゆる信頼できない語り手もの。ストーリーがどうとかじゃなくてストーカーの心理ってこんなんなんかなと思う。
謝辞にある与謝蕪村の俳句の見事な翻訳とやらが気になる。