私が殺した少女

著者 :
  • 早川書房
3.47
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本棚登録 : 219
感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (273ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152034168

作品紹介・あらすじ

夏の初めの昼下り、西新宿のはずれにある自分の事務所を出て、豊島区目白の依頼人の邸宅へブルーバードを走らせた私は、不運にも誘拐事件に巻きこまれてしまった…。1988年4月、本格的な長篇ハードボイルド『そして夜は甦る』でデビューし、42歳の大型新人と評判になった著者が大きな期待と注目のなか、私立探偵沢崎を窮地に追い込んでサスペンスを盛り上げる長篇第2作をついに発表。

感想・レビュー・書評

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  • やっぱりハードボイルドなんだろな。ミステリーとしては、十二分に推理の手掛かりが与えられているわけではないからだ。解決に至るまでの主人公の探偵沢崎がどう行動し、どう会話するかというところにこの小説の面白さが凝縮されている。会話の妙、文章の比喩の面白さ、話の展開の意外さなどがいいのだ。少女が殺されることや終局の後味の悪さがちょっとなあというところもある。それにしても、作者はヤクザの橋爪が好きなんだな。本筋と関係あろうがなかろうが、どうしても登場させたいんだね。

  • 前作のインパクトが強かったのと、誘拐事件がメインとなったことが、私のアドレナリンの分泌量を減らしたのでしょうか?
    前作ほどの感動はしませんでしたが、それでも面白いでふ

  • 一気に読んでしまいました。
    チャンドラーっぽい、というか、謎解きなんぞはどうでも良くって、探偵は警察に邪魔者扱いされながら、それでもかっこよさが信条みたいな話。
    ただ、時代を考慮しないと、なにやってんの?という思いが邪魔をするかも。たとえば、多くの場面は、携帯電話さえあればそんなことにはならないじゃないか、みたいに感じるのが普通だと思います。思えば遠くにきたもんだ。この小説に描かれた時代(って、私が学生だったころの終わりの時期ですが)から見て、現代というものが、いかにSFじみているガジェットに埋め尽くされているかということかも知れません。まあ、そこは本題じゃないのですが。それでも、一方では、どうしようもなく現代でもそういうことがある、というか、現代ならばこそ、そうした要素があるよね、といった側面もあり、ということはあの時代っていうのは、まさに過渡期だったんだなぁと実感させられるのでした。

  • これは現在35歳の私が中2の時の担任の早川先生が新任の自己紹介時に紹介してて、
    タイトルが印象的だったので数年後古本屋で見かけたときに買い、
    それをさらに10年以上熟成させた本(笑)
    ようやく読みました。

    先生の好きな本と言うことで感銘を受ける系かな~とか勝手に思ってたんですが
    うん、普通に面白いハードボイルドミステリー。

    トリックとか、犯人は誰だ?ということに年々興味が薄れていっているが
    これは中々面白かった。

    終盤出てくる犯人?共犯者?の一人も(突然誰やお前?)だし、
    真相も(あー、あるあ・・・るかもしれんけど、その後の流れに無理がないか^^:)
    て感じもあるにはあるけど
    沢崎は魅力的だし、ページをめくらせる力は十分。
    さらっとしてるけど人物描写も豊かで好み。
    こういうハードボイルド系はたまに読むとエンタテイメントとしてすっごく楽しい。

    あ、後、ちょい役でも女性達の描写が魅力的なのも良かった。
    ちょっとクラシカルで丁寧な言葉遣いしたくなりました。

  • 最近、ライトな推理物ばかり読んでいたので
    やはりこの本のような凝った設定の話は面白かった。
    どんでん返しの返し…でも、納得。

  • 原寮2冊目。

    なぜそんなに簡単に依頼内容をしゃべってしまうのだろうか?これが常識??

    第一作;そして夜は甦る、よりはテンポ良く読みやすい
    犯人への伏線がまるでない
    犯罪への動機が弱い

  • ▼福岡県立大学附属図書館の所蔵はこちらです
    https://library.fukuoka-pu.ac.jp/opac/volume/34266

  • 「原りょう」の長編ハードボイルド小説『私が殺した少女』を読みました。
    私が殺した少女

    「原りょう」作品は、2年くらい前に読んだアンソロジー作品で「宮部みゆき」選の『スペシャル・ブレンド・ミステリー 謎002』に収録されていた短篇『歩道橋の男』以来なので久しぶりですね。

    -----story-------------
    まるで拾った宝くじが当たったように不運な一日は、一本の電話ではじまった。
    私立探偵「沢崎」の事務所に電話をしてきた依頼人は、面会場所に目白の自宅を指定していた。
    「沢崎」はブルーバードを走らせ、依頼人の邸宅へ向かう。
    だが、そこで彼は、自分が思いもかけぬ誘拐事件に巻き込まれていることを知る…緻密なストーリー展開と強烈なサスペンスで独自のハードボイルド世界を確立し、日本の読書界を瞠目させた直木賞・ファルコン賞受賞作。
    -----------------------

    私立探偵「沢崎」シリーズの第2作目にあたる作品です。

    私立探偵の「沢崎」は、依頼電話を受け作家の「真壁脩」の自宅を訪れたが、応対に出た「真壁」は奇妙な態度をとる… そして突如現れた刑事たちに、「沢崎」はむりやり連行されてしまった、、、

    実は「真壁家」の長女「清香(さやか)」が誘拐され、身代金六千万円が要求されていたのだ… 犯人からの指示では、「沢崎」の所属する探偵事務所の者が身代金受け渡しのために「真壁家」を訪れることになっていた。

    巧妙な罠にはまりこんだことを悟る「沢崎」… しかし、少女のために車を運転し、身代金の運び屋を務めるしかない、、、

    身代金の入ったトランクとともに犯人の指示に従い、都内の店を移動させられ翻弄される「沢崎」… そして、犯人の指示で訪れたファミリーレストランで暴漢に襲われ、身代金を奪われ、次の指定場所に身代金を届けることができなかった。

    その後、無情にも犯人から交渉打ち切りの連絡があり、数日後「清香」は無惨な死体となって発見された… 「沢崎」と事件との縁は切れず、「清香」の伯父で音楽大学教授「甲斐正慶」の依頼により、さらにその渦中に巻き込まれていく、、、

    調査を進めるうちに「真壁家」と「甲斐家」の複雑な人間関係が露わになり、容疑者が次第に絞られていく… 兄弟喧嘩が原因で発生した不慮の事故が、殺害に発展し、そして、「沢崎」が巻き込まれた誘拐事件に繋がっていたとは、想像できなかったですね。

    作者が「レイモンド・チャンドラー」を敬愛しているらしく、読んでいると筆致を模しているなぁ… 雰囲気が似ているなぁ… と感じましたね、、、

    「沢崎」のキャラは、「フィリップ・マーロウ」の姿に重なりますね… 気の利いた台詞まわしが随所に出てくるところは、ホントに「レイモンド・チャンドラー」っぽかったですね。

    ハードボイルド作品だけに、ややリアリティには欠けるものの、独特の魅力がある作品でした。



    以下、主な登場人物です。

    「沢崎」
     私立探偵

    「真壁脩」
     作家
     
    「真壁恭子」
     真壁脩の妻

    「真壁慶彦」
     真壁脩の息子、中学生
     
    「真壁清香(さやか)」
     真壁脩の娘、ヴァイオリンの天才少女

    「甲斐正慶」
     真壁恭子の兄、音楽大学教授
     
    「甲斐慶嗣」
     甲斐正慶の長男、ロック・ギタリスト

    「甲斐慶郎」
     甲斐正慶の次男、レストラン経営者

    「甲斐慶樹」
     甲斐正慶の三男、ボクシング部員の大学生

    「嘉村千賀子」
     銀座のクラブのママ

    「嘉村千秋」
     嘉村千賀子の娘

    「結城卓也」
     インテリア・デザイナー

    「結城きぬ子」
     結城卓也の母

    「清瀬琢巳」
     結城拓也の友人

    「阿久津隆男」
     オートバイ乗り

    「大槻茉莉子」
     阿久津隆男の友人

    「細野晋」
     阿久津隆男の友人

    「伊坂警視」
     本庁の刑事

    「加治木警部」
     本庁の刑事

    「毛利警部」
     目白署の捜査課長

    「大迫警部補」
     目白署の刑事

    「室生刑事」
     目白署の刑事

    「橋爪」
     暴力団<清和会>の幹部

    「相良」
     橋爪の用心棒

    「渡辺」
     沢崎の元パートナー、アル中の放浪者

    「錦織」
     新宿署の警部

  • 私が殺した少女

  • イメージ参照(http://kentuku902.seesaa.net/article/387157020.html)
    日本推理作家協会賞候補(1990/43回)・直木賞(1989下/102回)

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