- Amazon.co.jp ・本 (373ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152081643
作品紹介・あらすじ
すべては大蔵大臣の失言が発端だった。国会の予算委員会において、蔵相の瑞田が、かねてより経営難が噂されていた日本不動産金融銀行の状態が「極めて危険なレベルに達しつつある」と発言したのだ。議場は騒然とし、記者たちはニュースを社へ報ずべく出口へ殺到する-まさしく、「昭和金融恐慌」の再現だった。日本不動産金融銀行は倒産へと追い込まれ、未曾有の金融パニックが日本全土に波及する。大蔵省は対応策を策定すべく、緊急チームを編成、事態収拾に向けて動きはじめる。その一方で、驚くべき事実が判明する。瑞田が読み上げた答弁書の中身は、何者かの手によって差し替えられていたのだ。となれば、蔵相の問題発言は「失言」などではなく、周到に仕組まれた陰謀だったことになる。いったい誰が、何の目的で-?現実の日本を襲う「危機」を現在進行形でシミュレートする、驚愕の金融経済サスペンス巨篇。
感想・レビュー・書評
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大蔵大臣の失言から始まった金融危機をめぐる大蔵省を中心とした物語。行政や官僚を描いた小説として秀逸。一昔前の日本が舞台だが、かなりのリアリティがある内容であり、行政の実態を知るのにも、政治や行政について考えるきっかけとするのにも、また、ミステリー小説として楽しむのにも適している。
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コメントは下巻に
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前半は退屈、後半はノリノリ。
すり替えられた国会答弁を引き金に、日本長期信用銀行が破綻に追い込まれる。
誰が何の目的で仕組んだのか?
大蔵省のキャリア官僚が謎に迫る!って感じなんですけど…
はじめはキャラが薄くて、誰が誰やらわからず退屈でした。ただ、事件が起きて犯人探しが始まると俄然面白くなります。
投げ出しそうになった人は、なんとか国会答弁まで我慢してみて下さい。
面白くなりはじめたので、期待しながら下巻へ。 -
もう10年以上前に読んだ本ですが、一般人にはわからない官庁キャリアの仕組み、複雑系などの学問分野まで、非常に面白く読ませてもらった。
現役官僚が匿名で書き上げたという話でしたが、その後どうなったのか?
どこかの週刊誌で、次作として連載小説を途中まで掲載していた記憶があるんですが・・・ -
10年以上前にこの内容はすごい。その後に起きたことをかなり当ててるし、ゲーム理論や複雑系理論みたいな当時は最先端だったはずの理論もうまく取り込んでいて今でも知的刺激満載。もっとこういう小説を読みたい。
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エリート集団の見たくなかった側面が(誇張されて?ありのままに?控え目に?)描かれている。
現実がどうかは知り得ないが、自分の軽率さを非常に反省させられた。
大人社会は厳しい。 -
200903
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大臣の失言で、未曾有の金融危機に。ミステリであってミステリではない。経済学への興味を持たせてくれた本。