わたしが降らせた雪

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (428ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152093578

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  • 10歳のジュディスは、信仰厚い父親と二人暮らし。勉強はできるが、学校ではいじめっこのニールとその仲間に執拗にいじめられている。そんなジュディスは、自分の部屋に廃物で作ったミニチュアの庭を大切にしている。ある週末、月曜日にはトイレに頭を突っ込んでやると言われ、自分のミニチュアの庭に雪を降らせると、本当に雪が降り学校も休校になる。そこからジュディスは、神の声を聞くようになり、ミニチュアの庭で起きたことが現実の世界でも起きるようになっていく。

    ニールのいじめがエスカレートし、父親の職場での立場も含め追い詰められていくジュディス。ミニチュアの世界が現実になることで次々起こる災難。その闇に気づき止めようとするが止められないジュディス。後半はハラハラしながら一気に読んだ。繊細な神経を持つジュディスの心の動きが悲しく怖い。
    何かもっと早くに周りの大人が聞き付けなかったものか。
    最後はホッとさせるが、不思議な恐怖感が残る。

  • ウェールズの田舎町で原理主義教会に属する父親と2人で暮らす10歳の女の子の話。原理主義の生活は当然孤立と差別を生み、厳しい父と二人で母親のいない生活が孤独と空想を生む。抱きしめてあげたいような繊細な少女が空想の世界で起こした奇跡(のような?)が引き起こす波と連鎖。そしてその結末。
    すごくよく書かれていて、これが処女作とは、という出来栄え。これだけ書けるのに、演奏活動に専念すると言って5作で筆を折ってしまったという作者は、やはり只者ではないのだろう。
    ただ、起きてしまったことは取り返せない(大事なところで2度ほど出てくる)、という感覚は、やはり原理主義の家庭で育った厳しい倫理観を感じさせる。人を殺めていない限り、たいていのことは何とか取り返しがつく、あるいは少なくともそうしようと努めることができる、と考える私とは少し違うかも、と思った。
    何にしても、一風変わった、でも面白い本だった。

  • エホバの証人という信仰に厚いために学校でイジメにあう少女がいた。
    ゴミや身の回りのもので作った箱庭に起こした出来事が実現してしまうようになり、あたかも自分が神のようになってしまう。
    しかし彼女は聡明だ。そのような力を持つことの重さにもきちんと気づく。
    彼女にそんな力を与えた、私は神であるという声。
    これはまるで悪魔みたいだったけど、一体なんだったのだろう?
    怒りという感情に目覚めた彼女の心だったのかな?
    最後信仰一本やりだった父親が彼女ときちんと向き合ってくれて、明るい未来が見えてきたのがいい感じだった。

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