- Amazon.co.jp ・本 (431ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152094575
作品紹介・あらすじ
好奇心を満たしてくれた父母の愛、いじめと奇妙な慣行にとまどったパブリック・スクール時代、批判的精神を育んだ動物学者たちの思い出、停電が生んだ『利己的な遺伝子』……読書人必読の自叙伝
感想・レビュー・書評
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「利己的な遺伝子」で有名なリチャード・ドーキンスの自伝。2部構成の第1部のこの本では、ドーキンス家の由来から、彼の生い立ち、『利己的な遺伝子』出版までの経緯を紹介する。
彼のいくつかの著作を読んだことがあり、彼がどういう人物なのかに興味があったので読んでみた。読んだ印象として、まず彼の記憶の良さに圧倒された。裕福な家庭に育った幼少期から科学者になるまでの友人の名前や出来事、数十年も前のエピソード等を克明に記述し、また当時の自己分析も併せて、科学者らしい緻密な内容の自伝になっていると思う。また知人友人には現役の科学者も居るためか、若い頃の著作にあるような批判的な文も少なく、関係者への配慮も伺える。彼の人生においても、全体として多少紆余曲折はあったようだが、その振れ幅はあまり大きくない印象を受けた。
ドーキンスのファンや彼を支持する人にとっては、彼自身が語る事実や興味深い数多くのエピソードが紹介されていて面白く読めると思う。
来年、第二部で『利己的な遺伝子』以後の人生について紹介するようだ。
追記:読んでいる最中に思ったことだが、彼の文章の特徴として、非常に回りくどい文章が多く、馴染みの無い詩や例え話、隠喩も多くて、判らないところを何度も読み返すこともあり、正直読み疲れてしまった。
彼は自分の生い立ちに誇りを持っているようで、何代も前の先祖の話や祖父や父の話に何章も割いている。(自伝には珍しい家系図も記載)ご先祖様から続く自分の遺伝子(いわゆる血統)の良さを認識していたのだろう。さすが進化生物学者。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
まだイギリスの植民地だった東アフリカで生まれ育ち、両親と別れてイギリスの寄宿制の男子校に通い、オックスフォード大学に入学し、そして…と続いていく前半生がどういうものだったのか、境遇があまりにもかけ離れていて、全然実感が湧かない。ヒヨコやコオロギの行動を定量的に分析する研究をしていたというのは、意外だった。確かに何かの本で自らのことを動物行動学者と呼んでいたような記憶はあるが、「利己的な遺伝子」の印象が強すぎて、そういう風には思っていなかった。その「利己的な遺伝子」がオックスフォード大学出版局から出版されることになったのは、当時、同出版局の代議員会の構成員で、同大の理論物理学の教授だったロジャー・エリオットが興味を引かれたからだそうだ。これも、意外だった。本格的な自伝を読むのは、たぶんこれが初めて。自分のことをこんなに赤裸々に書き記して大丈夫かと、余計な心配をしながら読んだ。日経サイエンス2014年9月号ブックレビュー。
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毎日書評、2014-06-22
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「利己的な遺伝子」の著者の自伝。ただし人生の前半まで、ウイットとユーモアにあふれていて、なんかとてもおもしろい読み物だった。
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『利己的な遺伝子』などで有名なリチャード・ドーキンスの自伝。『利己的な遺伝子』は学生のときに読み、多いに影響を受け、数年前に出た30周年増補新装版も迷わずに購入、邦訳された他の著作もかなり持っている。著作が出たらまずは買わないといけないと思っている著者の一人。
ということで、この本も購入。ドーキンス自伝「I」となっていることから「II」も後々出版される予定。「I」は、生い立ちから『利己的な遺伝子』を出版するまでを描いたもの。
かなりよい血筋のようで、父親の仕事でアフリカで青年期まで多くを過ごしたという。それ自体は、特異な生い立ちでいいんだけれども、長い...。
『利己的な遺伝子』が書かれるあたりから少し面白くなってきたが。
この本の二年後に出される予定とのドーキンス自伝「II」では、おそらくは反進化論や原理主義との戦いがメインになるだろう。そっちは楽しみ。でも、長くなるにしても一回でIとIIを出せよ、と思うけどね。その我儘気ままが通るところがドーキンスの存在の大きさを語っていると思うところではある。
星3つかな。