- Amazon.co.jp ・本 (470ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152094698
作品紹介・あらすじ
〈ローカス賞受賞〉クレメンタインは二度命を助けられた少年に恋をし、ジガニーは仲間から〝試練〟に連れ出される……少女たちの奇妙な友情を綴った表題作ほか、瑞々しい感性で描く最新作品集。
感想・レビュー・書評
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「墓違い」ガールフレンドの墓を掘り起こすと中には違う女の子が。
「パーフィルの魔法使い」少女は魔法使いのしもべに。迫り来る軍隊。良作。
「マジック・フォー・ビギナーズ」:謎のドラマ『図書館』ホラー作家の父、彼との離婚を考える母。
「妖精のハンドバッグ」ホラ吹きの祖母。彼女のハンドバッグの秘密。
「専門家の帽子」大きな屋敷に暮らす双子。かつてそこに住んでいたベビーシッター。
「モンスター」子供だけのキャンプ。他のバンガローの噂。モンスターに襲われた。
「サーファー」エイリアンとインフルエンザ。来る希望と広がる絶望。良作。
「アバルの治安官」母との旅。母に殺された治安官の幽霊をポケットに入れて。
「シンデレラゲーム」兄と義理の妹。シンデレラごっこ。
「プリティ・モンスターズ」命を救われた男に憧れる少女。少女たちの試練。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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10篇の中・短篇を収録。「墓違い」はホラーコメディ調で面白かった。ちょっと切なさが残る。「サーファー」は物語として纏まりがよく、明るい読後感。「パーフィルの魔法使い」は主人公が感じる無力感や世界の閉塞感とかが胸に迫る。「妖精のハンドバッグ」の豊かな物語性や「マジック・フォー・ビギナーズ」、「プリティ・モンスターズ」の十代後半のはっきりとはしない苛立ちや焦燥、反抗心、孤独だとかが混線してる空気感が印象的。現実に何気ない顔で紛れ込んできたかのような不可思議さを感じる作品が好み。それと、女の子たちがキュート。
ところで、「墓違い」で何ヵ所かに出てくる「あたし」が、誰?って感じで気になった。 -
“ぼく”と“あたし”が意味不明の行動をする本のほとんどが読めない私なのに、
ケリー・リンクの世界には入っていける。
YAぽいところが確かにある。
けれど夢を見ることができる大人なら十分読める。
十分なんて表現は失礼、ものすごーくいい。
特に物語を読むのがとても苦手なのに『パーフィルの魔法使い』はよかったなぁ。
あとどの短編も内容があとでも思い出せる。これもめずらしい。
墓違い
パーフィルの魔法使い
マジック・フォー・ビギナーズ
妖精のハンドバッグ
専門家の帽子
モンスター
サーファー
アバルの治安官
シンデレラ・ゲーム
プリティ・モンスターズ -
一言でいうと“自由”
仕事で疲れた夜に読むと、思考が柔らかくなるのでオススメです。ハマる人はどハマりしそうな個性の強い作風。
怖い中に笑いがあったり、切なさがあったり、今どきのB級アメリカ映画を見ているよう。
お気に入りは
・墓違い
・サーファー
・アバルの治安官
・プリティ・モンスターズ
特に墓違いは、ティーンのツンデレな女の子がよく表現されててハマる。台詞が新鮮でいい。 -
柴田さんの訳という事で楽しみにしていたけど読みにくいのなんの!最初の墓の話は好き。
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『マジック・フォー・ビギナーズ』がやっぱりダントツ。続いて表題作、『モンスター』の順。『サーファー』はラストの締め方が心に残った。最初ちょっとコニー・ウィリスっぽいな〜と思ってたら作中に名前が出てきてビックリ。
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『マジック・フォー・ビギナーズ』『妖精のハンドバッグ』『モンスター』は既読でとても好きな作家であるにもかかわらず、読みおわるまでとても時間がかかってしまった。アメリカが舞台だが、まるで自分の若い頃のように切実な痛みを感じたり声を出して笑ったりした。すぐにケリー・リンクの世界に入り込みながらも自分の苦い思い出と向きあったり多次元的に読んでいるから時間がかかったのかもしれない。まるで『プリティ・モンスター』のように作者の思惑と作品と自分が錯綜している複雑で甘くて苦くて痛みを感じながらたっぷり堪能した。ショーン・タンの挿絵とあいまって宝物のような一冊になった。
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少年少女が主人公のホラーSFファンタジー10編が収められた短編集。
時折、モンスターや幽霊や魔法使い、エイリアンが登場するものの、とりたてて大きな事件やクライマックスがある訳ではない。理不尽な状況に置かれた少年少女たちが、現実から脱しようともがく不安定な気持ちに重点が置かれていて、妙にリアルなファンタジー世界に迷い込んだ気になる。
ガールフレンドの墓に入れた拙い詩を掘り起こそうとした少年が、間違った墓に埋葬されていた少女の死体から気安くつきまとわれる『墓違い』、キャンプ地でモンスターに遭遇したひきこもりの少年が、どうしたら食べられずにすむかモンスターにおずおずと相談する『モンスター』、自分だけの幽霊を心のよりどころにして母親に引き回され酷使される少女の『アバルの治安官』がお気に入り。 -
表題作が印象的。確かにある年頃の少女たちって「モンスター」だ。どう転ぶかわからないような不安定な感じがページから立ちのぼってくる。「少女」というと、良きにつけ悪しきにつけ、類型的なイメージで語られることが多くてイヤなんだけど、これはユニークだと思った。