穏やかな死者たち: シャーリイ・ジャクスン・トリビュート (創元推理文庫)
- 東京創元社 (2023年10月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488584078
作品紹介・あらすじ
『丘の屋敷』『ずっとお城で暮らしてる』など数々の名作を遺した鬼才シャーリイ・ジャクスン。日常に潜む不安と恐怖、邪悪な超自然的存在との出会いや人間心理の奥底に流れる悪意を鮮やかな筆致で描いた彼女に敬意を表し、ケリー・リンク、ジョイス・キャロル・オーツら当代の幻想文学の名手が書き下ろした傑作18編を収録。シャーリイ・ジャクスン賞、ブラム・ストーカー賞受賞。
感想・レビュー・書評
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シャーリイ・ジャクスンに敬意を表して書かれたアンソロジー。
それぞれの作家がシャーリイ・ジャクスンのどんなところを魅力に感じているのかを考える面白さもあって、二度楽しめた。
「精錬所への道」(スティーヴン・グレアム・ジョーンズ)、「晩餐」(ジョシュ・マラーマン)、「スキンダーのヴェール」(ケリー・リンク)の3編が特に好き。 -
ホラー作家のシャーリイ・ジャクソンへのオマージュ作品を集めたアンソロジー。さまざまな作家による18篇の作品が収められている。
シャーリイ・ジャクソンの小説は代表作の『くじ』くらいしか読んだことがないが、本書に収められている作品たちも不気味で奇妙な味わいに満ち満ちている。ただ、説明のつかない不条理さや目に見えない恐怖、人間の悪意を描くのが持ち味の作風なので、そのような傾向の、はっきりした結末のない作品ばかりを読んでいるとさすがに食傷ぎみになった。
どこまでシャーリイ・ジャクソン的なのかはわからないが、本書の中ではカレン・ヒューラー『冥銭』、ジェフリー・フォード『柵の出入り口』、ジョシュ・マラーマン『晩餐』、ケリー・リンク『スキンダーのヴェール』が、トライライト・ゾーン的な恐怖を味わえて楽しめた。 -
シャーリィ・ジャクスンのトリビュート作品を集めたアンソロジー。シャーリィ・ジャクスンは「山荘綺談」「くじ」「鳥の巣」くらいしかまだ読んでいないので、そのエッセンスというのがわかるかな……と思いましたが。そんなこと関係なく、幻想好きなら充分に好みだと思える内容です。そしてシャーリィ・ジャクスンの作品を読みたくなることも間違いなし。
お気に入りはベンジャミン・パーシィ「鬼女」。一番恐ろしく感じたホラー作品であり、謎めいた島の因習や過去の不吉な記憶などといった要素も好みでした。ラストの展開にはハラハラさせられどおし。
ジョシュ・マーラン「晩餐」も好みです。これは何ともいえない奇妙な物語の印象。とあるものが禁じられた世界で、それを見出しのめりこんでしまった少女と、それを隠そうとする家族たち。何故それが禁じられているのか、などの説明が一切なく、コミカルなようで不気味な世界観の物語でした。