作品紹介・あらすじ
未来予測プログラム「フューチャー・アジェンダ」の創設者が、世界39都市で開催したワークショップの成果を公開! 高齢化、雇用格差、人工知能、シェアリング・エコノミー、「アジアの世紀」の始まり……地球規模で起きている/これから起きることのすべて
感想・レビュー・書評
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2024年になってこの本を知り読んでみた。
世界の様々な問題について網羅的に書かれていた。
政府、企業、個人の努力によってデジタル社会の今後は決まっていくと筆者は述べていた。
世界の課題がこんなに多いのかと実感し
非常に読み応えがあった。
2015年に行われたFuture Agendaを取りまとめた2025年の未来予測。
さまざまな角度から世界がどうなっているか、どうなっていくかを予測と書くとなんだか凄そうだが、情報量は多いものの、あれ、これ、それといった単発の情報をこれでもかと寄せ集めた感じでもある。
技術的にできるようになることと社会一般に受け入れられ、広く普及することには差があるのでその辺りは後者の状態になるまで時差があるし、一部最先端なものがどこかで取り入れられてもそれだけでは社会があまり変わらない気がする。
自分が興味がある分野であれば、来るかもしれない未来とかを想像する一助にはなるかもしれないが、エリート層が目をキラキラさせながら輝ける未来を語り、そうではない層と意識の分断があるまま、なんだか混沌として行きそうな気もする。。なんせ自動運転の未来とトイレの設置による衛生向上が同じ本で語られているのだから。
あとロンドンの地下鉄の駅が東に駅を移動するごとに平均寿命が下がるとか、なかなかショッキングなデータとか出ていて興味深いといえば驚異深いが。
P.102
WASH(Water, sanitation, and hygiene)、すなわち「水」「トイレ」「衛生」の問題を改善すると、住みの健康も改善するという理解が進むにつれ、期待されているのが、統合的な政府機関を設置して様々なプロジェクトにもっと戦略的に投資する試みだ。(中略)個人の習慣の問題に取り組むキャンペーンを展開する場合、トイレの利用が公衆衛生によい影響を与えるといった、重要であっても、個人の実感と遠い利点を訴えたところで効果は低い。もっと高い効果が期待できるのは、トイレの利用によって個人が得られる利便性や社会的評価、安全性などの利益を訴えることだろう。
P.141
第二次世界大戦下、民主主義国家はわずか一一カ国にすぎなかったが、二〇〇〇年頃には、アメリカのシンクタンクであるフリーダム・ハウスは、世界全体の六三パーセントに当たる一二〇カ国を民主主義国家に分類していた。とはいえ今日、エコノミスト・インテリジェンス・ユニットが、「完全な民主主義国家」とみなすのは二〇カ国にすぎない。アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドおよび欧州一四ヵ国に、モーリシャスとウルグアイを加えた二〇ヵ国である。そのあとに、「血管のある民主主義国家・地域」として日本や台湾、インドネシア、ギリシャ、イスラエル、メキシコなど五六ヵ国が続き、さらにその下に「混合政治体制(ハイブリッド)国家」三九ヵ国と、「独裁政治体制国家」の五二ヵ国が続く。
P.150
今日の警察が犯罪予測に活用しているのはビッグデータアナリティクスだ。データ分析手法を用いて、大量のデータからなる有用な知識や情報を抽出し、意識っていや予測に役立てる技術については(中略)、ロサンゼルスの街角では一種の犯罪予知をおこなっている。(中略)必要になるのは過去の犯罪現場と犯罪者の居場所のデータであり、あそのうえに天候情報や、おおぜいの人が集まるスポーツイベントなどの開催情報を重ねる。リアルタイムの分析を行うことで、犯罪が発生しそうな場所を特定するのだ。(中略)それでは、実際にどんな効果があっただろうか。パトロールによって、約二割の犯罪を未然に防いだという。
「フューチャーアジェンダ」というグローバルなオープン型未来予測プログラムで様々な研究分野の専門家から集まった2025年の未来予測への意見をまとめた書。
(残念ながら日本からの参加者はいない模様)
注目すべき要旨は下記。
1. 人口は高齢化により不均衡に増加し、欧米では格差が広がり、エイジレスな社会の恩恵はごく一部に向けたものとなる。
2. 北半球に移民が押し寄せる。
3. 経済の重心は東(中国、インドなどアジア)に移る。
4. 全てがつながった世界では情報セキュリティが大きな問題となる。
5. 自律型ロボットが人間の生死を決するような倫理的判断を下すようになる。
今まさに会社の将来を考えています。そんな時、本書に出会いました。
12の共通認識を基に深掘りし、2025年の主な課題、取り組み、好機を、人、場所、覇権、信念、行動、企業の6つの視点から述べてます。
会社のビジョンを考えるのに役立つ一冊でした。
第1章未来に対する12の共通認識
・人口が爆発的に増加する
・資源が枯渇する
・環境汚染に歯止めがきかなくなる
・移民は悪だ
・仕事が不足する
・女性の教育水準の向上が,多くの問題を解決する
・技術が大きな問題を解決する
・答えは太陽光エネルギーにある
・定年について考え直す必要がある
・医療費は増加の一途をたどる
・アジアの世紀が始まる
・GDP成長率は,社会の発展を評価する最良の尺度である
高齢化、雇用格差、人工知能(AI)の普及…。2025年までに地球規模で起きる重大な変化、ならびに今後進むべき道を提示する。紹介される、未来予測プログラム「フューチャー・アジェンダ」が行ったワークショップの成果は、より豊かな未来を気づくためのヒントになる。
未来に対する12の共通認識
課題1 未来の人
課題2 未来の場所
課題3 未来の覇権
課題4 未来の信念
課題5 未来の行動
課題6 未来の企業
12の共通認識について再考する
2025年のキーワード
結論
日本向けに書かれたものではないが、そのまま日本に当てはまる予測や課題がほとんどで、世界が益々小さくなっている事を実感。加速度的に進む技術と認識の変化の中で、自分がどう生きていくかを一度捉え直す、それが近未来予測のひとつの意味なのかもしれない。
近いようで少し先の未来である2025年の世界が抱えるイシューをあぶりだして列挙している本。解決策はなく、2017~2018年時点における状況を整理するにとどめている。最も重要なキーワードとして「格差」「透明性」「アイデンティティ」の3つのキーワードで総括。
各国主要都市で多くのワークショップを行っているのだが、東京は対象外。日本が抱える固有のアジェンダは全く登場しない。
巻末では、個人に対する問いかけを列挙。普段から自問自答しているものがいくつかあった。面白い本ではないが、こういうことを考えるための良いガイド。
◆いまある資源のなかでより豊かな暮らしを送る方法はあるか
◆日々の選択が将来に大きな影響をもたらすか
◆自分の個人データをどの程度まで公開するか
◆最大の好機をどこで見つけるか
◆2025年に消えていない仕事はどこか
◆将来に備えられる子供を育てるためにどうしたらいいか
◆自分はなにを信じるか
ティム・ジョーンズの作品