- Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152098023
作品紹介・あらすじ
スター・ウォーズ、ウォーキング・デッド、フィフティ・シェイズ・オブ・グレイなどの世界的コンテンツから、ビートルズ、ポケモンGO、インスタグラム、モナ・リザ、大統領演説、人名にいたるまで、あらゆるものを俎上にのせて打ち立てるヒットの統一理論
感想・レビュー・書評
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音楽や本、アート、映画、商品、そして人物に至るまで、様々な分野におけるヒットの秘密を分析した良書。
ヒットの要因のベースにある「なじみ感」という指摘は確かにその通りで、音楽であれば耳馴染みの良いコード進行、映画であればストーリー展開などは、やりすぎるとただのパクリとして片付けられてしまうが、微妙なエッセンスとして散りばめられている場合や、オマージュとして作り手のオリジナルに対するリスペクトが込められているようなケースは、幅広い世代でのヒットにつながっていく。
そしてハリーポッターが最初多くの出版社から見向きもされなかったなど、ヒットの芽がどこにあるかは予測は難しい。
ギリシャ神話に登場するトロイの王女カッサンドラの話(未来を完璧に予言する能力に恵まれたが、誰にも信じてもらえないと言う呪いをかけられ、その残酷な能力に絶望してしまう)は特に印象的で、ビジネスシーンでも現代のカッサンドラであったとしても批判に負けずにグリットできるかも重要だ。
それができたのがジョブズでありバフェットだったのだから。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
なんとなーく感じていたことを言語化されていて気持ちよかった。
なるほどというところもたくさんあった。「流行」はウイルスのように広がっていくと感じていたのだが、大きなブロードキャストから一発で多数に届くから広がっているという考え、確かによく考えたらその通りだ。なるほど。
「なじみ感」と「少しの驚き」
YouTubeのおすすめとかインスタのおすすめ見ているとよく感じる。
最後がカッコよかった。 -
タイトル通り、ポケモンGOからモネ、テイラースウィフト、フェイスブック(Meta)など、映画、音楽、絵画、SNSまで大ヒットしたコンテンツや企業、人について「なぜヒットしたのか」の過程が解説された一冊。全体的にその時の時流に乗って、広告宣伝にお金をどれだけかけれたかにかかっている感じがした、とくに現代のネット時代は簡単にコンテンツをコピーできてしまうので、ヒットを出すのは難しい。アイデアや商品のヒットと失敗を分ける要因を詳しく知りたい人にオススメ。
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ブルーハーツの甲本ヒロトだったと思う。売れているものが良いものなら、日本で一番美味しいラーメンはカップラーメンという事になる。
質の良いものと、売れるものは違う。「質の良さ」とは何か。製品で言えば、作り手の思い込みもあるだろう。玄人がこだわっても素人である大衆に響かない事などよくある。流暢性という言葉が用いられるが、要は、親しみ易さ。そして、売れる最大要因は、流通への露出。ヒット、売れるとは数の大小。結局は、ポピュリズムの擽り方なのだろう。
人の見た目で言えば、あらゆる顔の平均的バランスが美しいのだと認識されるらしい。これは、質の良いものとは何か、何故そう感じるのかという議論。良いものとは、と売れるものとは、を切り離して分析した良著。
売れたものが、良いものだ。こう言い切ったのは、誰だったか。白い猫でも黒い猫でも鼠を捕れる猫が良い猫だと。資本主義における数のヒットは、真の豊かさを運ぶのだろうか。この点に関して、私は鄧小平より、甲本ヒロト派だ。
余談だが、こうした質と量の思考を踏まえて尚、これを両立した意外性のあるヒットとして、RadioheadのKID Aが例に挙げられていた。量や露出やヒットチャート、大衆迎合も捨てたものではない。 -
小樽商科大学附属図書館蔵書検索OPAC
https://webopac.ih.otaru-uc.ac.jp/opac/opac_link/bibid/BB10292178
大ヒットはどうのように生まれるのか?政治からサブカルチャーまで、一筋縄ではいかない『ヒットの仕組み』を解説してくれます。 -
さまざまなヒットはどのようにして生まれたのかを分析した本。
冒頭に出てきた、なぜ印象派の中でもモネやルノワールが人気なのか?という裏話がとにかく意外で面白かった!
色々と勉強になる点が鏤められていたけれど、特に印象に残ったのは2点。
・人は、安心感(既視感)があるものを好むと同時に、見たことのないものを見たいという相反する欲求をもつ
・そのため、既視感をもたせるために、露出を増やすことが必要。さらにそのためには、多くの人とつながっているブロードキャスト的個人とのつながりをなるべく多く持つ必要がある -
現実を言ってしまえば、ヒットするかどうかは単純に、確率や運の問題なのだが、それでは多くの人は納得しないため、後付けでストーリーにまとめ、世の中を解釈する。ノンフィクション本のほとんどは「常識の転売」と告白し、読者がすでに直感でわかっているありきたりの知恵を、新鮮なストーリーで包み直して提供しているに過ぎない。それでもこの「直感の繰りまわし」を止めないのは、懸命な「単純化」によって複雑さの中から少しでも事象の意味を汲み取らんがため。ヒットにまつわる物語を読むことの愉悦と、次のヒットの設計の困難さを思い知る。
当人が好きかどうかもわからないものを生み出そうとする、創造性の世界は本当に残酷な「運」のゲームだ。秘伝のレシピみたいなのは存在しないが、それでも何かしら教訓めいた、ヒットに不可欠な要素を挙げると、「へこたれない根性」とその道の「トップ5人」と付き合うだけの人脈か。不確実性に対処するには、失敗を耐え忍ぶだけの信念が必要だし、そもそも未来のヒットが口コミによって広がることは非常にまれで、たいていは1つの源から膨大な数の個人に、同時に伝わるため、強力なネットワークはそれだけで持つ者の力となる。
印象に残った言葉をいくつか。「見たことがあるものというのは、自分を殺さなかったもの」。「繰り返しを感じないように工夫した繰り返しは、間違いなく楽しい」。「未来の予測に関しては、誰もが『無知』という集団のメンバーなのである」。「人に先んじて将来のヒットを思い描けることこそ価値を生む。それは、正しいタイミングで少々世間の常識から外れているということになる」。
ヒット誕生物語ばかりではなく、すぐれたメディア論にもなっている。SNSでのコミュニケーションは、双方向ではなく大半が自分語りで、情報をシェアする行為も、相手のためというより、実は自分について語っているにすぎないという指摘も面白かった。人々が均一につながっている世界というのは幻想で、そこには何十億もの、グループや仲間やカルトがあるのだから、音楽なり本などの表現は、そうした無数の小さな熱狂者のグループの手を介して、1つのネットワークから別のネットワークに伝えられるもので、それがヒットの本質なのだろう。 -
●なかなか読み応えがあり、テーマとその論点も面白かった。ヒットのメカニズムについて、多くの事例を分析して、解説している。
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↓利用状況はこちらから↓
https://mlib3.nit.ac.jp/webopac/BB00547257 -
世の中に音楽,テレビ番組,本,ゲーム,アプリなどの文化商品はあふれている。場合によっては同じようなアイデアなのに,ヒットしたりしなかったりするのはなぜか,その秘訣は?複雑に絡み合う要因をシンプルに読み解こうとする意欲作!