闇の自己啓発

  • 早川書房
3.61
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152099990

作品紹介・あらすじ

ダークウェブと中国、両極端な二つの社会が人間の作動原理を映し出し、AIや宇宙開発などの先端技術が〈外部〉への扉を開く。反出生主義を経由し、私たちはアンチソーシャルな「自己啓発」の地平に至る。話題騒然のnote連載読書会「闇の自己啓発会」を書籍化

感想・レビュー・書評

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  • “異常”なベストセラーが生まれる舞台裏──読者や著者と読書体験をつくりあげる早川書房の仕掛け人 - XD(クロスディー)
    https://exp-d.com/interview/10818/

    闇の自己啓発会|江永泉|note
    https://note.com/imuziagane/m/mbd28cf65025b

    闇の自己啓発 | 種類,単行本 | ハヤカワ・オンライン
    https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000014734/

  • 2021-01-27
    こう言う刺激的な読書会記録には困ったものだ。対象書籍読みたくなっちゃうじゃないか。
    …3冊ポチっちゃったじゃないか。
    と言うくらい面白かった。身の回りのいろんなことに援用してみたり。「知」ってワクワクする。善かどうかはともかくとして。

  • そんな言うほど「闇」でもなく、むしろ素直な感じ。映画『ジョーカー』の感想の一言目に人間の人生に興味ないからちゃんと貧困対策をすべきという感想しか出てこないっていうの笑った。

  • 興味のあった加速主義を中心に幅広い知識をもとに語る読書会の記録。大半が知らない知識で理解できなかったが、それによって自分の無知を思い知らされた。ここから読書の幅を広げていきたい。

  • ディープな内容と膨大な注釈と引用文献。読むヒトを選ぶ一冊。共感することは少なかったが、筆者達の知識量の凄みを感じた。

  • 社会のはぐれモノであり、論客(知識人)による自己啓発によって「正しさの奴隷」とされた社会へのアンチテーゼ。
    Twitterという場で交わされる"議論"とは全く違う互いへの尊重と理性,客観性が兼ね備えられ議論。
    社会の闇にこそ、今や将来を考える輝きがある。特に宇宙開発について、光速と物理的な距離において世界が絶対的に"外部"を持ちうる。という考えにどこか救われた。Exitがある。世界は外側に向けて開けているのだと、証明してくれた。
    そして「人権のない人間>人型のロボット」と「訪れることがなかった「未来」に対するノスタルジー」どれもが外部にある知恵との接続であり、新たな見地であった。

  • この本で「闇の自己啓発」されるかどうかは読み手次第だと思うが、膨大な数の引用と普段用いないような概念の数々で、次に読むべき本との出会いや知識(教養?)の広がりにはなった一冊。
    個人的には、ちょうど並行して読んでいる「ホモ・デウス」とリンクしている部分が多く楽しめたと思う。

    「読書会」なので、読んだ本に関する感想とそこから連想される様々な作品、概念、思想への言及で、「XXの研究結果から~」みたいな話はあまりない。
    あくまで、参加者同士が良くも悪くも勝手に議論しているだけが、いちいち連想が凄すぎるし、なんでそんなこと覚えてるんだろう(褒め言葉)というものが全体に渡っての所感。

  • noteで連載している読書会の様子を書籍化した1冊。ネットでたまたま見かけてタイトルに惹かれて読んでみたらめちゃくちゃオモシロかった。普段使わない脳みその部分がスパークするような感じで「まさに啓発されている!今!」と感じる瞬間が読んでいて何度もあった。佐々木中の人文系書籍に近い感覚。ただし著者らは人文/哲学的な議論に加えて最新のテクノロジーさらにはSFを中心としたフィクションまで、ここまで横断的に語ることができるのは圧巻だと思う。構成としては読書会なので1冊の本を読んで何を考えたのか、お互いに話し合っているのだけど、その本は当然のこと膨大な他の本の引用が出てくるところが特徴的だと思う。それらがとても興味深く思えて読書ガイドとしても抜群。まえがきにも書いてあったけど基本webで読めるものの、本版には膨大な注釈がついて、それによってさらに理解が深まった点が大いにあったのでkindleで読むとかなり読みやすかった。
     このタイプの本の苦手なところとして明らかに一読しても分からない議論の複雑な展開があったりして、実際特定の参加者が延々と語っている部分は読むのがしんどかった。(自分の読解力のなさは理解しています)しかし基本的には対話形式になっているので、他の参加者のコメントが理解の補助線になって読み進めることができる。興味深いなと思ったのは自由意志の議論で、国家/個人/社会を背景にAIを中心としたテクノロジーの介入とその未来。みたいな話を延々としていて読書会に参加しているような気持ちになった。
     本作でそこまで深く言及されていないけど「自己啓発本」についてはあんまり得意ではないというか、即効性が高いかもしれないが安易に回答を求めて自分で考えていない気がどうしてもしてしまう。(歳を取るにつれて、しんどい人が読むのは理解できるようになったけど)そういった気持ちを超エモーショナルな文章で代弁してくれていたので最後に引用しておく。

    自分に与えられた課題、降りかかってきた悩みを分類し、「類題の解答例」を真似するためではなく、ひとつの謎になるために生きること。己にしか立てられぬ問いを身で以て示すように生きること。そのための「直観」を身に着けること。そのための読書。そのための物語。そのための思想。そのための、「闇の自己啓発」。無数の魔の手が覆い、無数の導きの光が射し込む中、この身体で感じとる、かすかな暗闇を、失わずにつかむための。

  • 45歳の自分よりもっと若い人向けの内容との印象を持った。話者たちも自分より一回り以上年下の方たちだし。ブックガイドとしては文藝2021年春号の同会による「精神と身体改造のための闇のブックガイド」の方が有用だった。

    第一部のダークウェブ、管理国家、あとは映画『ジョーカー』に関しての雑談が面白かった。進むにつれ観念的なテーマになっていきついていけないので流し読みに。反出生主義やセクシャリティは自分には難解、それに対しての意見もとくにない…。

    通常の自己啓発が、「社会にとって都合のいい人形」に自身を改変していくことではないか? との疑義は示唆に富む。社会や政治に問題があるのにそれをいわば自己責任的に解決するための手段としての自己啓発、ライフハックという面。
    それに対して徹底的に「個」「自己」であり続けるための、世間を変革するための、「常識」や大きな存在に対抗するための読書(会)=闇の自己啓発。

    本書を読んで思った点は二つ。
    一つは読書の重要性。反出生主義の章で話者の一人が、「生まれてこなければよかった」へのアンサーとして「もっと本を読むべきなんだ」と発言する場面は感動的ですらある。
    もう一つは他者の存在。読書会でなくてもいい、ワイン飲んでメシ食うだけの集まりでもいいから、どこか根っこの部分で通じ合う他者と顔を合わせ会話する、意見交換する、のは社会への違和や生きづらさに対する対処になりうる。なんでもそうだが(仕事でも)一人でできることはストレスフリーという長所があるもののやはり限界があるとの思いを強くした。本書も複数人だからこそ会話が深まっていった面がある。

    それにしても自分は、独身中年であるにも関わらず生きづらさをあまり感じず生きているのを本書を読んで自覚した。世の中がひとりものに対して寛容になってきているのもあるだろうが、生きづらさって加齢とともに感じなくなっていくところもある。歳をとると鈍感力が増すから。なぜ若い頃はあんなに他者を過敏に意識していたのだろう、と我ながら不思議になる。それこそ洗濯物干すのにだって下着を見られたくないとか考えて干してた。今は何とも思わない、誰がおっさんの洗濯物なんか気にするかよって思う。
    人はどうでもいい他人のことなんて全然見ていない。俺だって見ていない。そのことを知識としてではなく感覚として身につけるにつれ生きるのが楽になっていった。それは生きていく過程で身につけたもの。生きづらさに対する答えのひとつは、だから生きていけ、じゃないかと中年の今は思う。問題の根本解決はしないかもしれないが問題が深刻でなくなるケースはありうる。付き合い方も上手くなる。

  • タイトルに惹かれて購入。
    率直に言ってタイトルと内容が一致していなくてNot for meだった。

    本文は読書会の会話形式そのままで、もっと掘り下げてほしい内容をさっと流し、あまり興味のないところでずっと語り合っている。この本を購入したい方は必ず内容を確認して、Amazonの星1, 2レビューをみてからにすべき。

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