NOISE 上: 組織はなぜ判断を誤るのか?

  • 早川書房
3.82
  • (34)
  • (49)
  • (39)
  • (6)
  • (2)
本棚登録 : 858
感想 : 43
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152100672

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ■組織はなぜ判断を誤るか。それは、バイアスとノイズがあるから。では、バイアスとは何か、ノイズとは何か。特に、ノイズに注目して論説しているのがこの本のテーマである。
    ■バイアスとノイズという考え方が新鮮だが、きちんと理解するのに時間がかかる。何回も読み返す。
    ■和訳に違和感はない。

  • 普段、仕事をしていて、同じ部署の人間なのに人によって判断が違うことが少なからずある。
    そのため、自分自身の判断を疑う事もあったが、本書を読み、判断が違う事はそもそもそもよくある事だとの思いに至る。

    ノイズという概念を意識する事で、人と判断が違ってもそれはある意味当たり前の事であり、必要以上に自分自身を疑う必要はないように感じた。

    ただ、組織運営上、ノイズの減少はコスト減少やパフォーマンス向上などにつながるため、下巻でその方法を理解したいと思う。

  • 人の判断には「バイアス」や「ノイズ」がつきまとうものであり、それらが判断のエラーを引き起こす。
    『ファスト&スロー─あなたの意思はどのように決まるか?』ではバイアス(系統的な偏り)に重きが置かれていた。一方で、今作では「ノイズ」(ランダムなばらつき)についてリソースが割かれている。
    双方を読み両者の違いが理解できた人は、判断エラーの予防にはバイアスを減らすのみでは不十分だとわかるだろう。

  • 行動経済学ベースの話はおもしろい

  • 面白かった。
    ファースト&スローも良かったが、人間の判断の曖昧さ、将来の予測、ノイズやバイアスなどは、自分が判断する時に気をつけなければならない。
    最初の発言者に、意見が引っ張られると言うことは、経験的にある。
    尺度ノイズについてはもっと勉強しないといけない。

  • 世の中にどんなバイアスがあるかを認識できてよかった

  • まさに今、AIが人に変わって対応できるのではと言われるが、アルゴリズムにもバイアスがかかるリスクがあるため、やはり限界があり、人間の心理を理解して、判断することが必要。

    その場で、一回限りの判断であっても、それは100回の判断の中の一回であることを肝に銘じて、判断しなくてはいけないし、その結果を検証する謙虚さが必要なんだろうと思った。

    以下抜粋
    バイヤスとノイズとは、系統的な偏りとランダムなばらつきを指す。
    両方を理解する必要がある。
    ばらつきの原因の多くは、評価者の方にある。
    人間の判断には、バイヤスだけでなくノイズも多い。このばらつきを機会ノイズという。

    ルールやアルゴリズムが優れているのは、単純にノイズがないからだ。
    予測判断の質には限界がある。これを客観的無知という。

    人間の心理に立ち戻り、ノイズが生じる根本原因を知る必要がある。

    人は、性格や知覚のちがい、複数要素を天秤にかけるときのやり方を間違ったり、まったく同じものさしでもの使い方が違ったりする。

    判断を改善しエラーを防ぐことが重要。

    検証可能性は、判断自体を変えることはないが、事後の評価は左右する。
    検証可能な判断は、単純に判断の実際の結果の差、すなわち誤差を客観的な判定者が計測すれば評価できる。

    検証不可能な判断の場合は、判断のプロセスを評価する方法がある。
    判断プロセスを評価する際には、それが論理的に適っているか、確率理論から逸脱していないか調べる。

    判断の良し悪しを決めらるか?

    複数の選択肢を比較評価するときに汎用的に使える評価支援ツールとして「媒介評価プロトコル」がある。

  • 本書は、ノーベル経済学賞を受賞したダニエルカーネマンの著書で、人間の意思決定のばらつきを取り扱っています。

    人間の意思決定は、ノイズ(ばらつき)とバイアスに影響されています。
    バイアスについては、前著のファスト&スローで解説されており、本書では、ノイズについて解説されています。

    私達の身の回りには、様々な判断のばらつきが転がっています。
    人事評価、医師の判断、裁判の量刑‥同じような事案の裁判でも、裁判官により刑期が異なったり、同じ裁判官でも時間や天気により刑期が異なったりするそうです。

    上巻では、どんな時にばらつきがあるのか、下巻ではばらつきの原因とその対策を解説してくれています。

    判断のばらつきを抑えるには、

    複数の独立した判断を統合する。
    統計的に考える。
    判断を構造化する。
    評価基準を設ける。

    等があるそうです☺

    大事な判断には、バイアスもノイズも除いた正しい判断をしたいと思う一方、そこがまた人間味があるところなのかも、と思ったりも…

  • 人間の判断には「ばらつき」が存在するという話。それがノイズ。判断のエラー(誤差)にはバイアスもあるがノイズもある。様々な判断にはノイズが生じているが一般的にあまり気づかれていない。ノイズは,裁判官の量刑の判断,人事,成績評価,医者の診断など色々な判断に生じるという。そうしたノイズについて明らかにしようとしているのが上巻の内容。

    自分自身,色々なところで判断することがあるけど,ノイズまみれの判断をしてるかも。気分や天候などによって生じる機会ノイズや他人の意見に引きずられるカスケード効果とか…。

    統計学の知識がもっとあると,もっと理解ができるかも。

    ノイズを含んだ人間の判断よりも統計的手法を用いた予測の方が,精度が高いらしい。簡単な統計モデルから機械学習(アルゴリズム)まであるけど,どれも人間の判断に勝つみたい。

    人間には機械学習による判断に抵抗感を感じる。また,人間は直感による判断をしたときに,「よい判断をした」,「これでよし」といった満足感や達成感という報酬を得ているらしく,その報酬を上回るくらい機械学習による判断が確実になれば,機械学習による判断を信じるようになるという。現状は人間の判断よりも少し上回る程度で,直感の判断による満足感という報酬を上回っていない。だから,しばらくはAIの機械学習による判断は拒絶されるっぽい。

    機械学習による判断のところは,ユーバンクスの『格差の自動化─デジタル化がどのように貧困者をプロファイルし,取締り,処罰するか』のことを思い出した。社会福祉の分野で機械学習による判断を取り入れている事例を紹介し,不利な立場にいる人びとがその判断で余計に苦境に立たされる話であったが,人間の判断のばらつきを指摘する本書を踏まえてどう考えればいいか。

    「アルゴリズムがほど完璧と言える水準に達しない限り(そして絶対に達するはずがないと客観的無知が言い張る限り),人間の判断がアルゴリズムに置き換えられることはないだろう。だからこそ,人間の判断の質を向上させなければならないのである。」(211ページ)と書いてあったので,下巻にノイズの減らし方が書いてあることを期待したい。

  • ノイズを探せ
    1)犯罪と刑罰
    2)システムノイズ
    3)1回限りの判断
    好ましいノイズ:イノベーション、競争環境(多様性が大切)・・・市場の価値
    好ましくないノイズ:組織などで起こるもの。認識されにくい。
     ex)プロフェッショナルの判断、自分と他人など
    1回限りの判断が必要な場合は『反実仮想の思考実験を行い、仮定を立ててみよう』


    ノイズを測るものさしは?
    4)判断を要する問題
    5)エラーの計測
    6)ノイズの分析
    7)機会ノイズ
    8)集団によるノイズの増幅
    『判断』という言葉が使われるのは、『意見が一致すべきだ』と多くの人が考える課題・問題があるとき。
    →不一致が一定の許容範囲内に収まることが期待されている。

    判断の検証は多くはできない、が、『判断と実際の結果』『判断のプロセス』は検証できる。

    バイアスとノイズは独立している。バイアスもノイズも同じくらい問題。

    良い判断をしたい場合、『factと価値観』をわけるべきである。
    情報→解析し、予測的判断→評価的判断
    予測的判断にはノイズが入り得るが、これをできるだけ除去しよう。
    予測→評価では価値観が入るが、その際、バイアスがかかる

    ★機会ノイズ:プロフェッショナルでも同じ事実に対して同じ判断はできない★

    群衆の知恵を利用して、自分の中の群衆を作る(2回以上考える。時間を空ける。自分で反証する。強力な論拠の有無を調べる。弁証法的自助努力)
    ★多くの場合、『自分の中のあいまいな確率分布から、適当に抜き出した』ものにすぎない★

    群衆の知恵←→集団のダイナミクス(情報カスケード、社会的圧力)


    阻塞的判断のノイズ
    9)人間の判断とモデル
    10)ルールとノイズ
    11)客観的無知
    12)正常の谷

    妥当性の錯覚
    ★『まれ』な事象を判断して、満足、得意になるのは、ノイズを増やす行為である★
    ノイズを減らすには、情報を単純化、評価にルールを作る

    『まれ』なことについては、決定的な情報があるなら、ルールから外れてもよいが、多くはルール通りがよい。

    ・人は、1回でもアルゴリズムが失敗すると、アルゴリズムを信じなくなり、『自分の判断』を優先してしまうものだ(しかし、ルール、アルゴリズムのほうが、人の判断よりは優れている)。

    統計的思考と因果論的思考法
     因果論的思考法:結果をみて、過去をふりかえり、もっともらしく考える。
     因果関係と相関性


    ノイズはなぜ起きるのか
    13)ヒューリスティクス、バイアス、ノイズ
    14)レベル合わせ
    15)尺度

    ヒューリスティクス、診断バイアス、利用可能性ヒューリスティック、結論バイアス(予断)、確証バイアス、感情ヒューリスティック、過剰な一過性

全43件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

心理学者。プリンストン大学名誉教授。2002年ノーベル経済学賞受賞(心理学的研究から得られた洞察を経済学に統合した功績による)。
1934年、テル・アビブ(現イスラエル)に生まれへ移住。ヘブライ大学で学ぶ。専攻は心理学、副専攻は数学。イスラエルでの兵役を務めたのち、米国へ留学。カリフォルニア大学バークレー校で博士号(心理学)取得。その後、人間が不確実な状況下で下す判断・意思決定に関する研究を行い、その研究が行動経済学の誕生とノーベル賞受賞につながる。近年は、人間の満足度(幸福度)を測定しその向上をはかるための研究を行なっている。著作多数。より詳しくは本文第2章「自伝」および年譜を参照。

「2011年 『ダニエル・カーネマン 心理と経済を語る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ダニエル・カーネマンの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
アンドリュー・ス...
アンデシュ・ハン...
劉 慈欣
マシュー・サイド
トマ・ピケティ
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×