- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152100672
感想・レビュー・書評
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■組織はなぜ判断を誤るか。それは、バイアスとノイズがあるから。では、バイアスとは何か、ノイズとは何か。特に、ノイズに注目して論説しているのがこの本のテーマである。
■バイアスとノイズという考え方が新鮮だが、きちんと理解するのに時間がかかる。何回も読み返す。
■和訳に違和感はない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
普段、仕事をしていて、同じ部署の人間なのに人によって判断が違うことが少なからずある。
そのため、自分自身の判断を疑う事もあったが、本書を読み、判断が違う事はそもそもそもよくある事だとの思いに至る。
ノイズという概念を意識する事で、人と判断が違ってもそれはある意味当たり前の事であり、必要以上に自分自身を疑う必要はないように感じた。
ただ、組織運営上、ノイズの減少はコスト減少やパフォーマンス向上などにつながるため、下巻でその方法を理解したいと思う。
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人の判断には「バイアス」や「ノイズ」がつきまとうものであり、それらが判断のエラーを引き起こす。
『ファスト&スロー─あなたの意思はどのように決まるか?』ではバイアス(系統的な偏り)に重きが置かれていた。一方で、今作では「ノイズ」(ランダムなばらつき)についてリソースが割かれている。
双方を読み両者の違いが理解できた人は、判断エラーの予防にはバイアスを減らすのみでは不十分だとわかるだろう。 -
行動経済学ベースの話はおもしろい
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面白かった。
ファースト&スローも良かったが、人間の判断の曖昧さ、将来の予測、ノイズやバイアスなどは、自分が判断する時に気をつけなければならない。
最初の発言者に、意見が引っ張られると言うことは、経験的にある。
尺度ノイズについてはもっと勉強しないといけない。 -
世の中にどんなバイアスがあるかを認識できてよかった
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本書は、ノーベル経済学賞を受賞したダニエルカーネマンの著書で、人間の意思決定のばらつきを取り扱っています。
人間の意思決定は、ノイズ(ばらつき)とバイアスに影響されています。
バイアスについては、前著のファスト&スローで解説されており、本書では、ノイズについて解説されています。
私達の身の回りには、様々な判断のばらつきが転がっています。
人事評価、医師の判断、裁判の量刑‥同じような事案の裁判でも、裁判官により刑期が異なったり、同じ裁判官でも時間や天気により刑期が異なったりするそうです。
上巻では、どんな時にばらつきがあるのか、下巻ではばらつきの原因とその対策を解説してくれています。
判断のばらつきを抑えるには、
複数の独立した判断を統合する。
統計的に考える。
判断を構造化する。
評価基準を設ける。
等があるそうです☺
大事な判断には、バイアスもノイズも除いた正しい判断をしたいと思う一方、そこがまた人間味があるところなのかも、と思ったりも… -
人間の判断には「ばらつき」が存在するという話。それがノイズ。判断のエラー(誤差)にはバイアスもあるがノイズもある。様々な判断にはノイズが生じているが一般的にあまり気づかれていない。ノイズは,裁判官の量刑の判断,人事,成績評価,医者の診断など色々な判断に生じるという。そうしたノイズについて明らかにしようとしているのが上巻の内容。
自分自身,色々なところで判断することがあるけど,ノイズまみれの判断をしてるかも。気分や天候などによって生じる機会ノイズや他人の意見に引きずられるカスケード効果とか…。
統計学の知識がもっとあると,もっと理解ができるかも。
ノイズを含んだ人間の判断よりも統計的手法を用いた予測の方が,精度が高いらしい。簡単な統計モデルから機械学習(アルゴリズム)まであるけど,どれも人間の判断に勝つみたい。
人間には機械学習による判断に抵抗感を感じる。また,人間は直感による判断をしたときに,「よい判断をした」,「これでよし」といった満足感や達成感という報酬を得ているらしく,その報酬を上回るくらい機械学習による判断が確実になれば,機械学習による判断を信じるようになるという。現状は人間の判断よりも少し上回る程度で,直感の判断による満足感という報酬を上回っていない。だから,しばらくはAIの機械学習による判断は拒絶されるっぽい。
機械学習による判断のところは,ユーバンクスの『格差の自動化─デジタル化がどのように貧困者をプロファイルし,取締り,処罰するか』のことを思い出した。社会福祉の分野で機械学習による判断を取り入れている事例を紹介し,不利な立場にいる人びとがその判断で余計に苦境に立たされる話であったが,人間の判断のばらつきを指摘する本書を踏まえてどう考えればいいか。
「アルゴリズムがほど完璧と言える水準に達しない限り(そして絶対に達するはずがないと客観的無知が言い張る限り),人間の判断がアルゴリズムに置き換えられることはないだろう。だからこそ,人間の判断の質を向上させなければならないのである。」(211ページ)と書いてあったので,下巻にノイズの減らし方が書いてあることを期待したい。