- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152101648
感想・レビュー・書評
-
聞こえてくるインドに関するニュースというと、女性がレイプされて殺されたというような悲惨なものや、また、本作にも描かれるカースト制度(不可触民)や児童の労働・結婚の問題についてなどが多いので、インドとは、常識や人権感覚が私とは違う、安易に立ち入れない国、という気がしてしまう。地元にもインド出身かな?と思うような方達が増えてきて、身近なのだけれど、なんだか遠く感じる存在でもある。
本作はそんなインドで不可触民の子供の為に学校を作ったフランス人女性の話で、伝統や風習の壁に挫折したり、自分がしていることに葛藤(自分がしていることは偽善・自己満足ではないのか?)したり、喜びや使命感を感じたり、自分の生きている意味を考えたりする彼女の姿に勇気をもらった。
社会に染み付いた「常識」や風習などはなかなか変えられるものではないと、おそらくみんなが分かっているけれど、それでも何かせずにはいられずに、不幸な人たちのためにアクションを起こそうとする人達を全員尊敬する。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
我が国はいかに恵まれていかに貧しいか。
-
早川書房のモニターに応募して、ゲラを読了しました。
あっという間に読了。
表現は客観的で、ノンフィクションの記録を読むかのように淡々としているけど、インドが抱える問題は酷く厳しい。淡々としていなければ読めないほどの厳しさなのだろう。
主人公が作る教室は、火事をバケツの水で消そうとするものかもしれない。でも、少しずつ広がっていってほしいと願わずにはいられない。
本作は『三つ編み』とも関連があるそうで、是非とも読んでみたくなった。 -
「三つ編み」の#レティシアコロンバニ の三作目。「三つ編み」の後日譚ともいえる物語。
因習、身分差別、女性差別が根深く残る場所で、学ぶことがどこに繋がるのか。
連帯し、抵抗する物語。 -
CL 2023.3.8-2023.3.9
インドの眼を背けたくなるような現実。
厳然と残る階級制度、女性蔑視、人権蹂躙。
国内がこれほど前近代的でも、政治や経済の世界では力を持つという矛盾に満ちた世界情勢。
まあ、日本でももちろん大きな力に潰されるような理不尽なことはいくらでもあるのだけど、それでも教育が絶対的に必要だと考えている人が多いのは救いになる。
「知識は力。教育は自由への鍵。」
ほんとうは過酷すぎる話なんだけど、客観的な描写でとても読みやすくなっていると感じた。 -
『三つ編み』とかすかにつながるコロンバニの新作。
喪失と再生の物語…などという美辞麗句に落とし込んではならない、広く知られるべきインドの児童労働と児童婚、それに未来を奪われる子どもたちの現状をつきつけてくる。
かと言って強く「べき論」を問うのではなく、風景や食べ物、優しい瞬間を淡々と重ねていくのがこの人の持ち味だなあ。
悲劇にあいインドの田舎町に逃げてきたフランスの女性教師が、最下層の少女との出会いから学校を立ち上げ、絆に結ばれてゆく物語。 -
フランス人教師のレナは、ある出来事が原因で教師を辞め、気分転換のためインドを訪れていた。そこで彼女を襲った悲劇から救ってくれた少女と、レッド・ブリゲイドと名乗る集団を率いるリーダーと知り合う。2人はインドにおけるカースト最下位の〈不可触民〉だった……。
『三つ編み』のあの子も登場し、不可触民の女性として生まれた悲劇が描かれる。どんな環境にあっても明るく元気で学習意欲が旺盛な子供たちの姿がいじらしい。 -
三つ編みに続いて読破。
これが現実で、いまも世界のどこかで行われていること、実態と思うと胸が締め付けられるような思い。
主人公レナの悩み行動する人間味や心の底から絶望を幾度も味わいながら生きようとする、生きる力をある意味この地で得た彼女の人生も応援したい。
この作者の本は全て読みたい。