作品紹介・あらすじ
ひと月前に大学へ長期休暇を申請して以来、一切の連絡がつかない黒猫。付き人は唐草教授の頼みで、失踪直前に彼の研究室を訪ねた四人の来訪者――元歌手、俳優、現代画家、廃墟写真家を調べることに。黒猫は何の目的で彼らと会ったのか? そしてその行方は。
感想・レビュー・書評
絞り込み
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美学を芯にして紡いできたこれまで。
集大成と言うべきこの本でした。
ミステリアスなイリュージョニスト4人の物語と、失踪した「黒猫」を捜そうとする
「付き人」の胸打つ想いが錯綜する。
そして、最終章「黒猫」から語られた言葉は…
これでこのシリーズ完結なのですか?
放り投げられた感が否めません。
これまでの甘酸っぱいトキメク思いすべてブラックホールへ。
美学とはこんなにも刃物の切っ先のようなものなの?忘却すべきモノなの?
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今回、何となく不安な気持ちで読み進めてましたが、確かに衝撃的なラストでした。
思えば、節々に決定的な関係をハッキリ言わない付き人の気持ちが解らず、それでも黒猫を追い続けてるのも違和感がありました。
このまま2人は完全に別の道へ歩き始めてしまうの?え?これが最終巻なの⁉︎疑問がいっぱいでした。
次巻は未定みたいですが、是非ともハッピーエンドをお願いします!
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読後に考えたのは、理想と現実のちがいについて。
夢は、幻想は、どれだけ現実に近くとも現実にはなれないのかななどと考えてしまった。黒猫含め様々な人と出会い、対話していく中で成長し、身の回りの環境が変わっていく中でした彼女の決断を尊重したい。
過去は忘れるべきなのかどうか。解釈のずれが見られたが、どちらも正しいと思える。過去は変わらないし消えない。私は忘れないと言う彼女の成長と強さを垣間見た。
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ショックだなああ。
確かに一緒にいる未来ってどちらかに無理が生じる感じだったけども。
付き人の方が我慢する未来は黒猫も望まないだろうし。母のこともあってそれも無理だし。
付き人がきちんと自分の頭で考えられる自立した人だからこその決断。
安直なハッピーエンドにしないのはいいかも。
結末から読み直すと、そういうことだったのかと衝撃…。
まだショックを引きずっている…。
人生のほろ苦さと共に、また何かのタイミングで黒猫と交わることになってもいいかな。
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え、マジですか?マジですか?
個々の物語も結構好きだったんだけど最後の衝撃で全部持って行かれた。
ぶどうのうたのエピソードが一番好きかな。
でも少年の美しさを切り取ろうとしたあのエピソードの苦々しさもなんとも言えん。
しかしこの終わりが実に受け入れ難い。
黒猫に置いていかれたのは私たちだ。
黒猫が余韻なく立ち去ったことに黒猫の葛藤も感じるのだが、置いていかないで欲しかった。。。
2023.7.15
113
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2023.4.30
大好きだったシリーズ、ついに完結ですか。
私としては黒猫と付き人の関係性が本当に好きだったので、衝撃的、の一言です。
黒猫は付き人の気持ちがわかり、自分の気持ちも整理するつもりであの映画を作ったのかな。
今までずっと黒猫を追いかけていた付き人が、初めて自分で考え、自分で決め、自分の足で立ったということで、良かったねと言うべきかもしれませんが。
この結末を受け入れるのに時間がかかりそうです。
著者プロフィール
1979年、静岡県浜松市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。日本大学大学院芸術学研究科博士前期課程修了。ライターとして漫画脚本などを手掛けながら小説の執筆活動を続け、『黒猫の遊歩あるいは美学講義』で第1回アガサ・クリスティー賞を受賞(早川書房刊)。同作は続刊も刊行され、「黒猫シリーズ」として人気を博している。ほか、『名無しの蝶は、まだ酔わない』(角川書店)の「花酔いロジックシリーズ」、『ホテル・モーリス』(講談社)、『偽恋愛小説家』(朝日新聞出版)、『かぜまち美術館の謎便り』(新潮社)などがある。
「2021年 『使徒の聖域』 で使われていた紹介文から引用しています。」
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