- Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152102942
作品紹介・あらすじ
技術革新は往々にして支配層を富ませるだけで、労働者の待遇を引き上げることはなかった。こうした構造は変革しうるか? 水車の発明から産業革命、ChatGPTまで千年にわたる文明史を分析し論じる。マイケル・サンデル、ジャレド・ダイヤモンドら絶賛!
感想・レビュー・書評
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我々が普段、当たり前のように享受している文明生活は、どうも奇跡…と言うには耳障りが良すぎる、血の滲むような戦いの末に成り立ったようだ、というコトを知らせてくれる1冊。
しかもこれが、ノーベル賞に最も近い経済学者たちによって著され、サンデルやジャレド・ダイアモンドにも激賞される。日本語版のパンチがイマイチ弱いのは題名が英語版のサブタイから取ってるからでしょうか。。
(しかし英語版タイトルを直訳しても『権力と進歩』とか?悩ましいですね)
本著、レセップスによる、スエズ運河での成功例とパナマ運河での致命的な失敗例を分析するところから始まり、ヨーロッパ中世では数々の技術革新がなされたものの農民の生活水準は全く改善されなかったというテンションが上がらない展開(笑
そして産業革命に至る訳ですが、「産業革命で自動的に生活が改善された」訳じゃなく、生まれたのは流動性がある社会。ただ、そこから小魚が大きな群れを作るように、集まって声を上げ、弾圧を受けながら戦うようになった…というのが上巻が終わるくらいまでの歴史の振り返り。
読了して感じたのは、「みんなで幸せになろう」ってのは、そんなにオトギバナシなんだろうか…と。
中世・近世の地主は、働き手に譲歩したら死ぬの?というレベルに彼らを締め付け、むしろ生産性を低下させてたのでは?という感じでしたが、そう見えてしまうのは、私が現代の教育を受けて育ったからなんでしょうか。
(同時に、仮に、現代における超オカネモチの皆様が、一般市民を税金を浪費する存在と見てるんだとすると、それは恐ろしいコトだなと。。)
あと、レセップスのくだりで、「説得する力の二つの源泉」として「アイデアの力とアジェンダ設定」だと述べられていたのはなるほどなと感じました。
ひとまずは下巻まで通読したいと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【読書前メモ】
中世以降の科学史と科学が人間社会に与えてきた影響を読み解く。
「国家はなぜ衰退するのか」の著者。
・生産性の向上は労働者を豊かにするのではない
・テクノロジーは、それによって恩恵を受ける勝者と利益を奪われる敗者を生む -
進歩とは何か:新発明の事例≠繁栄の共有 世間一般の通年に反抗しうる反対論や組織の台頭不可欠 テクノロジー支配:技術的失業 進歩のバンドワゴン 労働者の力の重要性 但しつきの楽観論 運河のビジョン:資本のユートピア レセップス・ビジョン見出す ビジョンの罠 説得力:ウォール街の支配 アイデアの力 公正な市場 アジェンダ設定 ゲームのルール ビジョン⇔力 不幸の種:序列社会 強制と説得 マルサスの罠 農業の原罪 中流層の革命:なぜイギリスか 成り上がり者の国 新しい≠包括的 進歩の犠牲者:テクノロジーの偏り