1985 猛虎がひとつになった年 (Sports Graphic Number PLUS)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784160082144

感想・レビュー・書評

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  • 鷲田さん、ホンマにすごいとかでは終わらない作品です。阪神ファンではないけども、当時の状況などがすごくわかりやすい作品でした。

  • あの年の興奮を振り返るだけでなく、当時は知らなかった背景なども知ることができる。

    まず、1985年のチームは、安藤監督が作り上げたという。実際、1984年の終盤には、真弓は「来年優勝するから」と口にしていた。
    5年契約の4年目が1985年だったが、前年終盤のホームラン王争いのための四球合戦の影響もあり、吉田監督に交代。
    大きな補強はなかったが、コンバートや若手の抜擢で基本布陣を完成させ、キャンプでは阪急の取り入れていた総合ノックで守備を鍛えた。
    二遊間の岡田、平田は居残りで守備を特訓したという。

    投手力は弱いが攻撃は何とかなる、しかし攻撃をチームとしてまとめることの重要性から、「一丸」「挑戦」を掲げてスタート。

  • この年の阪神のことを、それはそれは詳しく書いてあります。当時小学生で大阪に住んでいた自分としては懐かしく、覚えていないこととか知らなかったこととかたくさん勉強になって楽しませてもらいました。

  • 虎党ではないので、何が特別なのか疑問だった。
    1984ではなく86でもなく、なぜ1985なのか?
    しかし読み終わると腑に落ちる。
    「あぁこれはすべての野球ファンにとっての1985なのだ」、と。

    本書によれば、「伝説のバックスクリーン三連発」も正確には「二連発」らしい。
    しかもこれが優勝の大きなポイントになったというわけではない。
    (ただし、いつもスロースターターなバースが開幕早々から爆発するきっかけにはなったし、抑えの二本立てが確立した試合でもあった。)

    監督の采配は「もう無茶苦茶で何が何だか分からない」とこぼされるほど我慢を知らない投手起用で、マウンドで交代を告げるときに明日の先発も託す吉田に、バースも「Oh、No」と天を仰ぐシーンは笑った。

    ともすれば短気で兄貴肌の吉田が、ベンチ内での采配批判にも寛容に構える親父的存在に成長する様は面白い。
    なかなか「優勝を目指せ」と口にしない吉田が、選手揃っての直訴を受け入れ、ミーティングでハッパをかけるシーンは感動的だ。

    ただ中でもすごいのは、シーズンわずか5本しかヒットを打たなかった川籐をベンチに置き続けたことだ。
    選手個々の実力は高いのに、あと1勝が勝てず、内紛に明け暮れ、やることが個々バラバラの阪神をひとつにする魔法の鍵は、首脳陣と選手をつなぐまとめ役を置くことだった。
    「選手の気持ちをひとつに」、とはよく言われるフレーズだが、選手の顔を、喧しいファンや不実なフロントではなく、個々の成績でもなく、まずはチームに向かせること。
    チームが勝つために、同じ方向を見る。
    そのために、まとめ役は不可欠で、川藤ほどの適任者はいなかった。

  • 伝説のバックスクリーン3連発が飛び出し、新たなクローザー中西清起が生まれた1985年。開幕4カード11試合が終わった時点で、1番真弓426、6ホーマー。3番バース381、7ホーマー。4番掛布293、6ホーマー。5番岡田447、3ホーマー。平田450。1試合平均約8点のチームは単独首位をひた走る。日本シリーズも、管理野球を見事に打ち砕き、球団史上初の日本一に輝く。大阪魂が萌えに燃えあがった1年であった。栄光の軌跡が幾多の感動とともに綴られている。終章は、一転、栄華から落剥していく暗黒時代が語られる。選手一人ひとりの辿った足取りが興味深い。明暗あわせたタイガースの真の姿をみることができる。

  • 阪神タイガースが21年ぶりにリーグ優勝し、日本一に輝いた1985年。その一年を選手、監督、ウグイス嬢やグランドキーパーなどの裏方のスタッフの方にまで入念に取材して振り返るノンフィクション。300ページを超える力作で、阪神ファンの方ならあの年で記憶に残る試合はバックスクリーン3連発をはじめとしていくつもあるはず。様々な立場の方が「あの時」を振り返ります。強打で打ちまくり、ダントツの強さで優勝したようなイメージが残っていますが、本書を読んで以外だったのは次の点でした。
    1)優勝したチームは実は前年まで監督をされた安藤氏がその骨子を整え、バース曰く「優勝したチームは安藤の作ったチームだった」
    2)9月に入るまで、前年優勝の広島とのデッドヒートを繰り返し、度々広島に引き離される危機を迎えての僅差の優勝だった
    3)打力のチームというよりは、堅実な守備を誇るチームという認識が選手の間に強かった
    4)スタメンだけではなく、脇役、チームをまとめるベテランなど、選手全員が自分の役割に徹したチームだった

    などです。なんか、どれも最近の阪神タイガースにないことばかりのような気が。6年連続で9月負け越し、そして今日の最終戦も小さなミスを繰り返す敗戦だったしなぁ。

  • 1985年球団初の日本一になった阪神タイガース。当時の監督、コーチ、主力選手の証言を元に激動の一年を振り返る。刻々と変化するチーム状況、随所に散りばめられた関係者の言葉に臨場感が伝わる。今のタイガースはここまで熱いのか?

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著者プロフィール

1957年、埼玉県生まれ。慶應義塾大学卒業後、報知新聞社入社。およそ10年にわたり読売ジャイアンツ取材に携わった。2003年に独立。日米を問わず野球の面白さを現場から伝え続け、Numberほか雑誌・新聞で活躍。プロ選手によるドリームチーム初結成となった2004年のアテネ五輪、2006年のWBC第1回大会から日本代表の全試合を現地で取材してきたスポーツジャーナリスト。最新刊は『10・8 ~巨人vs.中日 史上最高の決戦~』(文藝春秋)。他の著書に『僕のメジャー日記 松井秀喜』(文藝春秋)、『ホームラン術』(文春新書)がある

「2021年 『勝つプロ野球監督論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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