蛇を踏む

著者 :
  • 文藝春秋
3.12
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本棚登録 : 483
感想 : 93
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  • Amazon.co.jp ・本 (169ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163165509

作品紹介・あらすじ

女は藪で蛇を踏んだ。踏まれた蛇は女になって、食事を作って待っていた…母性の眠りに魅かれつつも抵抗する若い女性の自立と孤独。第115回芥川賞受賞。

感想・レビュー・書評

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  • 現実なのか空想なのかわからない話。言葉選びはすごく美しいが、結論など考えてしまう私には少しストレスが大きく「消える」まで読んで挫折した。

  • わかるような、わからんような。

  • 「先生の鞄」の川上さんの、原型質がここにある。読まずに彼女を好きな人は、一度読んでみるといい。なかなかな感受性があらわで、只者じゃない、すごい。

  • 自身の小説を「うそばなし」と呼ぶ川上さんの、正に原点ともいうべき作品集。
    あとがきで「うそ」の国は「ほんと」の国がすぐそばにあって、ところどころには「ほんと」の国と重なっているぶぶんもある、と書いておられる。
    今回の作品集を読んで納得した。
    蛇をうっかり踏んでしまったことで女に化けた蛇に居つかれてしまったり、気配を残しながらも突然消えてしまったり、と多種多様な「うそ」の国に生きる主人公達。
    それらは我々の「日常」にはない「非日常」であるにも関わらず、私の心の奥がざわざわする。
    この感覚に似たものを私は秘かに持っている。

    特に『消える』の、結婚後徐々に縮んでしまったヒロ子にはとても共感した。
    他人から見たら余り変わっていないように見えるのかもしれないけれど、結婚後、私も縮んでしまった気がしてならない。
    川上さんに、心の奥にそっと仕舞っていた闇を一突きされた。

    • nejidonさん
      mofuさん、こんにちは(^^♪
      いつも素敵なレビューですね!
      まさしく私もこの作品をかつて読んで、それ以降川上弘美さんのものは読んでい...
      mofuさん、こんにちは(^^♪
      いつも素敵なレビューですね!
      まさしく私もこの作品をかつて読んで、それ以降川上弘美さんのものは読んでいないのです。
      なるほどー、読む人によって分かれるものだなあと、改めて思いました。

      ところで、mofuさんは本を読むスピードがとても速いのですね。
      レビューがどんどん載せられるので、のんびり屋の私はなかなか追いつけません。
      それでポチも遅くなりますが、どうかご容赦くださいね。
      2018/04/22
    • mofuさん
      nejidonさん、いつもありがとうございます。
      川上さんの、ちょっと不思議でふわふわした世界観が好きです。
      読んでいてゾクゾクします(...
      nejidonさん、いつもありがとうございます。
      川上さんの、ちょっと不思議でふわふわした世界観が好きです。
      読んでいてゾクゾクします(*^^*)
      でも確かに読む人を選びそうですね。
      ハマる人はハマりそう。

      本は色々なことの合間にちょこちょこ読んでいます。波に乗ると速いのかな?
      nejidonさんの本選びやレビューも楽しみにしてます。
      これからもよろしくお願いします(^∇^)
      2018/04/22
  • 「うそばなし」を3篇おさめた短編集。

    もともと筆者の文章は好きなのだが、これは少し読みづらかった。
    馴染みのない言葉がたくさん出てくるせいだと思う。
    しかし、自らが書く小説を「うそばなし」と呼び、そんな「うそ」の国で小さいころから遊んでいたと語る筆者のあとがきを読むと、この物語たちが得体の知れないものではなく、とても愛おしいもののように感じられるから不思議だ。
    『惜夜記』の少女が美しく思えて、惹かれた。

    <収録作品>
    蛇を踏む/消える/惜夜記(あたらよき)

  • 図書室で『蛇にピアス』を借りたので蛇つながり。『先生のカバン』にはピンとこなかったけれど『これでよろしくて?』は永久保存版にするほど好みだった川上さん。一編の作品だと思って読んだら、三編の短編集でした。表題作はじっとり静かに怖いけど興味深い感じ、「消える」はうわわわわーっと思いつつもすごく面白かった。最後の夜についての話はなんとなくスーッと読めてしまったけどよくわからなかった。三編とも、うっすら怖い感じが共通していました。

  •  眠ったときに夢にみる超現実的な世界を文章にしたら、こんな感じになりそう。「それはありえないだろう」というような事柄を、なぜか現実として受け入れている…でもやはり困惑や抵抗もあって、最終的に受け止めきれなくなる、そんな夢。

     3篇ともそうだけど、特に後になるにつれ荒唐無稽さを増していき、最後になるともう断片的なイメージの寄せ集めのようだった。それでも、何をどう考えたらいいのかも分からない形象の渦のなかで、少女の存在だけがかろうじて断片を繋ぎ、足場を与えてくれた。

     ハッと目覚めたときには何も残っていないけど、それでいい。

  • 独特の世界観があって、最後までしっくりと馴染む事が出来なかった。短編集だから読む事が出来たけど、違っていたら読むのを途中で辞めてしまったかもしれない。

    タイトルになった「蛇を踏む」では蛇に憑りつかれた(?)女性の話が出てきます。「蛇の世界はあたたかいわよ」と誘う声にはぞっとする反面、ちょっとのほほんとした雰囲気もあってアンバランス。そこが良いのかもしれないけれど。

    最後のあとがきで、これは「うそばなし」だと言っていたのが印象的だった。「うそばなし」の中で遊べたら素敵だよね。

    でも私は遊びに没頭する事が出来なかった。
    何やら楽しみを逃した気がする。

  • 不思議な本を読んでしまいました。全ては虚。でも想像すると美しいようなおどろどろしいような。多分これは分からなくていいのでしょう。理解するのは不可能、考えすぎると眠れなくなってしまいそう。ただただこの作品の中にふわふわと浮いているのが上策、きっとうそうです。難しい言葉もありましたが、並ぶ日本語はとても美しく感じました。不思議な不思議な一冊でした。とりあえず蛇は踏まないように・・・。

  • 公園で蛇を踏んだら、蛇が女の姿になって、自宅へ居座ってしまう「蛇を踏む」。主人公は大して動じることもなく、ちょっと困ったな、くらいにしか思っていない。日常と非日常が溶け合う世界観が好きだ。疲れてこわばった心をほぐしてくれる。一緒に収録されている「消える」と「惜夜記」も良かった。どの作品も書き出しの一文に吸引力がある。物語の世界へ引きずりこんでくれる。

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著者プロフィール

作家。
1958年東京生まれ。1994年「神様」で第1回パスカル短編文学新人賞を受賞しデビュー。この文学賞に応募したパソコン通信仲間に誘われ俳句をつくり始める。句集に『機嫌のいい犬』。小説「蛇を踏む」(芥川賞)『神様』(紫式部文学賞、Bunkamuraドゥマゴ文学賞)『溺レる』(伊藤整文学賞、女流文学賞)『センセイの鞄』(谷崎潤一郎賞)『真鶴』(芸術選奨文部科学大臣賞)『水声』(読売文学賞)『大きな鳥にさらわれないよう』(泉鏡花賞)などのほか著書多数。2019年紫綬褒章を受章。

「2020年 『わたしの好きな季語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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