自身の小説を「うそばなし」と呼ぶ川上さんの、正に原点ともいうべき作品集。
あとがきで「うそ」の国は「ほんと」の国がすぐそばにあって、ところどころには「ほんと」の国と重なっているぶぶんもある、と書いておられる。
今回の作品集を読んで納得した。
蛇をうっかり踏んでしまったことで女に化けた蛇に居つかれてしまったり、気配を残しながらも突然消えてしまったり、と多種多様な「うそ」の国に生きる主人公達。
それらは我々の「日常」にはない「非日常」であるにも関わらず、私の心の奥がざわざわする。
この感覚に似たものを私は秘かに持っている。
特に『消える』の、結婚後徐々に縮んでしまったヒロ子にはとても共感した。
他人から見たら余り変わっていないように見えるのかもしれないけれど、結婚後、私も縮んでしまった気がしてならない。
川上さんに、心の奥にそっと仕舞っていた闇を一突きされた。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
川上弘美
- 感想投稿日 : 2018年4月17日
- 読了日 : 2018年4月17日
- 本棚登録日 : 2018年4月16日
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コメント 2件
nejidonさんのコメント
2018/04/22
mofuさんのコメント
2018/04/22