溺レる

著者 :
  • 文藝春秋
3.22
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本棚登録 : 272
感想 : 50
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  • Amazon.co.jp ・本 (181ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163185804

作品紹介・あらすじ

一緒にいても、ひとりびとりであることが、さびしい。「アイシテルンデス」、肝心なときに言えないのは、なぜだろう-『蛇を踏む』の芥川賞作家が描く大人の恋、八景。待望の傑作掌篇集。

感想・レビュー・書評

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  • 川上さんの作品を以前読んだことがあるように思うが、今回のような短編でどちらかといえば漠然とした本は初めて出会った。色々な愛の意味がある本だと考えさせられる。

  • 初読

    作中に出てきた単語だけど、
    これはまさに「情交」の話だなぁ。
    セックスではなく。

    ジメッとしてるようでどこか乾いていて。
    ダメな時はダメかもw

    薄暗がりで七面鳥が胸に乗っているビジュアル、
    想像したらなんか面白いな。
    あと、蝦蛄の美味しいお店があるって誘い方はなんか良いね。

    情交。情を交わす。いい言葉ね。

  • どれも同じような話に思えてしまった。

  • 大人はみんな溺れている、と、思う。
    愛欲だけではなく、いろんなことに。

    面白かったんだけど、読みづらかった。

  • 想像していたのとは少し違った。
    文庫版の表紙が気に入って読みたいなと思ったのだけれど、図書館で借りたら、単行本でした。単行本の表紙は気持ち悪いなと思ってしまう。

    どのお話も、男と女のアイヨクのお話。
    性行為が大きな役割を担っているお話なのに、何故だかいやらしくならない。
    どれも不思議な感じがするからかな。ありそうで、なさそう。

    個人的には、一番最初の「さやさや」が好き。
    どこまでも続いていく、出口の見えない人生のようなものが、隠されているような気がするから。

  • 物語がありすぎるとだれでもよくなってしまう、というのはどういうことなのか。川上弘美は何冊か読んできましたが、いままでわたしはいったい何を読んできたのやら、あれっこんな作家だったんだ、という新鮮な気持ちで読みました。こんなに、さみしくて、ひとりで、わたしはだれでもよくて、相手もだれでもよくて、かなしいことを書くひとだったのか。わたしは時折、常に主体的に選び取っているはずの自分の人生がすべて虚しいような、わたしはわたしである必要がどこにでもないような、そういう恐れがものすごく襲ってくるときがあって、うまく言えないんだけれどもあの感覚を超えてぎゅっと煮詰めたらこんな小説になるのではないか、と感じさせるものがあった。もしかしたら、川上弘美はわたしのなかのある部分をきちんと書いてくれるひとなのかもしれない。もうすこし読んでみます。それからこのメモの冒頭にも書いた、「物語がありすぎると誰でもよくなってしまう」とはどういうことなのか考える。

  • こんな、骨太でなまなましい情の物語を描く人なのか。
    直裁でないだけ、どこかどろどろとした底知れなさ、を強く感じる。
    その恋愛は、決して初々しくも、清らかでも、突飛でも、美しくもなくて、何処にでもあり、何処にもない、良い意味でも悪い意味でも先が見えない、その場限りの刹那的な交情で。

    「恋愛」であることを拒否するような、男と女の関係を、ひらがなの多いとぼけた文体がくるみ込んで、拡散している。
    そこに隠されているものは、決して可愛らしくはないのに、擬音語や柔らかな言い回しにふと気が逸らされる。
    その作為に気づかなければいいのに、慌てて読み直すと、どこに隠れていたんだと疑うほど強く激しい憎しみや怖れや愛おしさがぶわっと溢れ出す。
    そこに飲み込まれたら、もうどうしようもないのだ。

  • この作品の男女の感じがとてもいい。特に「神虫」が好き。

  • ふんわりとやわらかい言葉で内側に毒を含んでいる作品が、実は川上弘美っぽいのかもしれないなぁ、と。

    人はみな溺れている。

    ブックデザインも素敵でした。

  • 2000年2月読了。

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著者プロフィール

作家。
1958年東京生まれ。1994年「神様」で第1回パスカル短編文学新人賞を受賞しデビュー。この文学賞に応募したパソコン通信仲間に誘われ俳句をつくり始める。句集に『機嫌のいい犬』。小説「蛇を踏む」(芥川賞)『神様』(紫式部文学賞、Bunkamuraドゥマゴ文学賞)『溺レる』(伊藤整文学賞、女流文学賞)『センセイの鞄』(谷崎潤一郎賞)『真鶴』(芸術選奨文部科学大臣賞)『水声』(読売文学賞)『大きな鳥にさらわれないよう』(泉鏡花賞)などのほか著書多数。2019年紫綬褒章を受章。

「2020年 『わたしの好きな季語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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