- Amazon.co.jp ・本 (133ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163211909
感想・レビュー・書評
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「マッチ売りの少女がマッチを擦ったときだけ幻を見たように、てこじいの煙草に火がついている間だけ、僕は気になっていることを口に出せた。僕にはそれで、ひとまず充分なのだった。」(24ページ)
勝手に来て勝手に出ていく。
そんな身勝手な祖父が転がり込んできた。
共に過ごした季節は、うっすらしたにおいのように、
微かだけれども、確かな変化をもたらした。そんな物語り。 -
『夏の庭』以来の湯本さんの作品。
不器用な家族を子供の目線から語られ、祖父てこじいの人間味あふれる性格に惹かれました。
湯本さんの子供と老人、生と死を題材にしてるこの作品も『夏の庭』も児童文学に分類されるのだと思いますが、いくつの人が読んでも心に染みる作品に思いました。また、なだいなださんの解説もよく見方が勉強になりました。
いつか自分の子どもに読んでもらいたい。 -
第127回芥川賞候補作。
文字が大きく薄いので、1冊で短編のよう。
「てこじい」とその孫の僕、そして母の物語。
夜に切る爪からてこじいの最期まで
どことなく「死」というものを匂わせる。
ダメな大人でありながら、魅力的な祖父に
魅了されている僕と、父を心底嫌いになれない娘(母)
「僕」の視点から見た、そんな家族の回顧録です。
以前 読んだ「岸辺の旅」の方が面白かった。 -
2003年4月21日読了。
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2010.05.31読了