ハリガネムシ

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 481
感想 : 107
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  • Amazon.co.jp ・本 (137ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163223407

感想・レビュー・書評

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    2012.11.26読了

    わりとおもしろく読めた。芥川賞作品。しかし、多くは、ミステリーやSFといったものを読んでいて、この小説を評価するのは難しい。
    ただ、読んでいると、この物語の中には、何か大事なものが書かれているような気がする。でも、それを故意にか、あるいは、そもそもか、すっかり書ききっていないように思える。

    芥川賞はこういうタイプが良いのかな

  • 破壊欲に飲み込まれていく高校教師と奔放な娼婦サチコ。
    ふたりが欲望にかられて、社会生活のなかで落ちていく様を過激に描いた作品。

    読みだしてすぐはエログロだと気づかなかった。男女の交わりから暴力、破壊衝動へと発展していき、最終的には自分や生活までをも破壊していて圧倒的だった。読み終わってから芥川賞と知って納得。圧倒的なエログロ。
    サチコを殴り、歯を折る。自殺しようと腕を切ったサチコに対し、傷口を縫い、興奮する。自分の排泄物を握る。サチコを縛ってシャベルで殴る。屋外でSMのような行為をして自分の生徒に見つかり襲われる。

    けっこうなエログロだったんだけど、飛び過ぎてて、いやらしさとか気持ちわるさは感じなかった。
    自分のなかの衝動をハリガネムシに例えてたらしい。破壊衝動だったり、なんでもいいんだけど、いわゆる社会的に許されない行動をとりたい衝動を持っているひとはつらいと思う。
    自己の欲求を満たすと社会的に終わってしまうジレンマ。

  • 2012.8.27

  • 今月の6冊目。今年の96冊目。

    芥川賞受賞作品。初めてこの人の作品を読みました。すごい文章を書く人だなーと思いました。こんなに自分を不快にさせる文章(良い意味で)は、ねじまき鳥クロニクルのかわはぎのシーンくらいしか思いつきません。うーん、ミステリとか読んですごいなーと思うのとは、違う意味ですごいなーと思いました。

  • 「読後感が悪い」という情報に惹かれて読んだが、それほどでもなかった。考えるのが面倒くさい人たちの、反応的な生き方がよく描かれていると思う。これに貧困が加わると、中上健次とか西村健太なんかになっていくんだろうなあ。

  • 人間は誰でも心の中にどす黒い感情を持っているものである。
    それをこの作者はハリガネムシと形容しているのだが、上手いと思う。
    他人の読書感想文を読んでいると、グロいとか、エロいとか、エグいとか表現しているが、ぼくにはそれほどには感じなかった。

    逆に、作者が思いっきり空想を広げて書いているのがいじらしく思う程度だ。

    テーマは転落で間違いないだろうが、それだけでは薄すぎる。

    どの感想文にも触れられていなかったのだが、作者がこの小説を書く動機となったのは、某思想家の以下の言葉だったはずだ。
    文中、2回も出て来る。
    「人はいかにして本来のおのれになるか」

    「良心の呵責というものは、わたしには真実を歪ませる一種の【魔女の目】であるように思われる。自分のある行為が失敗した場合、失敗したからこそ、なおさらその行為に対して敬意を持ち続けるーこのほうがわたしの道徳律にかなうのである。」

    これが一箇所目。

    二箇所目が次の短縮表現。

    「いかなる失敗事に対しても、最大の敬意を払うべし」

    これをこの小説で表現したかったのじゃないだろうか。

    さて、皆さんは作者のこの意図は成功したと思うでしょうか?

  • 人間が墜ちていく様をリアルに書いてあった。
    グロい描写が多いが エロスには結びつかない。
    残虐な欲望に焦点をあわせてストーリーが進む。

  • 面白かった。爆笑するとこあり、共感するとこありで、まあ満足。これからクチュクチュバーンもよんで判断します。

  • ア、アクタガワメ・・・・・(´Д`|||) ドヨーン

  • 人間の堕ちていく姿が生々しい。
    エログロの塊、ここにあり。

    具合の悪くなる本第1位。

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著者プロフィール

1961年愛媛県生まれ、大阪府育ち。1997年、「国営巨大浴場の午後」で京都大学新聞社新人文学賞受賞。2001年、『クチュクチュバーン』で文學界新人賞受賞。2003年、『ハリガネムシ』で芥川賞受賞。2016年、『臣女』で島清恋愛文学賞受賞。 最新作に『出来事』(鳥影社)。

「2020年 『ひび割れた日常』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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