ハルカ・エイティ

  • 文藝春秋
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感想 : 61
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163243405

作品紹介・あらすじ

滋賀県に生まれた持丸遙は女子師範学校を経て、見合い結婚で専業主婦になったが、夫はまもなく出征。太平洋戦争が勃発し、舅姑と大阪で暮らす。やがて敗戦を迎え、経済的理由から職業婦人となったことから、ハルカは女性として開花してゆく-。

感想・レビュー・書評

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  • 読み終わったとしましたが、久しぶりに読みきれず、図書館へ返却。
    なんでだろう、好きそうな小説だったのに。気分がのらず。。。
    またそのうちチャレンジするかも。

  • 夫婦の絆の物語、として読んだ。私も自分自身の伴侶と、二人だけが共有する長い長い時間の中で、より深い関係を築いていきたい。

    今まであまり意識していなかったけれど、夫婦の関係はほかにない時間の積み重ねの結果であって、それによって、お互いがお互いにとって唯一の、安心感のある、存在になるのかな。

    いつまでも仲良しの、素敵な夫婦になりたい。

    姫野作品おきまりの「実は美人」「美男子で通っている変な顔」。またかと思ってしまったが、姫野作品はこれがデフォルトなのでしょう。

  • 初めて読んだ作家さんですが、作品毎にテーマや文体を変えているそうです。
    この作品はハルカという女性の一代記。
    かなり分かり易い方なのかも知れない?連続ドラマにしたら良さそうな感じです。
    戦前に生まれて人並みの苦労はしつつ、80過ぎても若々しくボーイフレンドが出来るような現在の姿から、過去へと遡ります。
    ヒロインは生まれつき長身で健やか、ごく普通というよりは恵まれた資質があって良い家庭で育ち、戦後に幼稚園の園長という適職を得ます。
    戦争中に見合いですぐ決まった結婚をし、空襲で家を焼かれ、夫は何度か浮気をするんですが、常に前向きに生きていくハルカさん。
    自分も不倫の恋を経験し、それも案外、夫を理解する役に立ってけっこう良い夫婦であったあたり、面白く読めました。
    ただ、その後〜80になる前がないんですよ。
    あとがきで作者の伯母がモデルと知り、納得…そういうことだったのか〜。
    こういう作品があっても良いと思うけど、事実を描く距離感のせいか、小説ならではの発酵度が低いみたいなんですよ。
    子供心に遠巻きに見ているだけでも励まされる存在だったそうです。
    出来るならこんなオバアサン(といっては失礼か?)になりたいものですね。

  • 姫野カオルコの小説を初めて読んだのは大学生になって間もないくらいで、それも『不倫(レンタル)』だった。相当な衝撃を受け、古本屋でこの著者の者を目にすれば迷わず買うようになった。今では年に1~2冊程度、コンスタントに読んでいる。去年は『昭和の犬』を読んで、独り身女性の人生を淡々と描くという地味な題材ながら、本を閉じた時これは直木賞取るわとその完成度に感服したりした。
    この『ハルカ・エイティ』は、大正生まれの一人の女性の人生の軌跡を辿った大河的な小説だ。と同時に、これは「夫婦小説」でもあり、この多作な著者が、実は小説の中で「夫婦」について真正面から向き合ったのはこれが初めてなのではないか、とも思う。戦争を挟んで大きく変わる世相を背景にして、主人公ハルカと夫大介の夫婦関係を子細に描き、分析する。そうして自分たちだけの夫婦のありかたを見つけていく過程をとても丁寧に描き出している。
    かつて若かりし頃に、男女関係をめぐり社会の底に流れる通念を炙り出し、快刀乱麻といった具合に切り刻んだスタイルを確かに残しつつも、本作では全てを包み込む温かなまなざしのようなものが感じられる。
    そうした肯定性は、以降の作品にも引き継がれ、そしてそれが見事に結実したのが『昭和の犬』になるのだろう。

  • 図書館で借りたもの。
    初読みの作家さん。
    大正9年(1920年)生まれのハルカの人生の物語。
    著者の伯母がモデルらしい。

    80歳を超えても背筋が伸びててヒールで軽快に…なんて憧れるなぁ!
    こんな80歳に、努力次第でなれるのかしら。。

    ハルカの姑がいい人すぎて…!

    B29が落とした焼夷弾の描写が辛い。
    『みなそれぞれに世界にたったひとりしかいない人たちが、ふつうに暮らしている町に、ぽとんと190kgが落ちてゆく。
    中略
    たくさんのふつうの人が、爆弾を受けて焼け死んだ。』

    物語なんだけど、著者の見解?が入るのが読んでて面白かった。
    不倫されたりしたりがちょいちょいあるけど(そこは全く共感できないけど笑)、おじさんおばさんになっても「結婚してよかった」って言える関係がすごくいいなと思った。
    不倫とかしてなくても、仲が悪くてギスギスしてる夫婦なんてたくさんいるもんねぇ。

  • 初読みの姫野カオルコさん作品。

    戦前戦中戦後の騒乱の中での普通の暮らし。ハルカの控えめなポジティブさはとても魅力的。人や物の良いところを見つけて対局にあるものもまず受け容れる。こういう姿勢でいることはなかなか出来ないしあまりいない。普通に不倫ガンガンなんだけどそれも含めて柔軟さということかな。
    それをちゃんと楽しんでいることもいいなと思う。それとミヤさんみたいなお姑さんでめちゃくちゃ羨ましい(笑)

    同じ滋賀出身として滋賀の微妙な関西弁の違いとか頷きまくりました。

    あと日向子さんの話し方とキャラクターが愛しい。声に出して読んだ。日向子目線の話も読みたいくらい良いわー。

  • ハルカさんの一生を描いた作品。戦前戦中戦後を明るく生きた女性。どうも筆者の伯母さんモデルらしい。

    純情青春小説かと思えばダブル不倫になったり、平坦のようで波風ある人生だけど素直なハルカさん身のふりかたがなんとも気持ちよい!

    ひとを蔑んだり妬んだり羨んだりしないのは「リアルシンデレラ」の主人公に重なるけども。

    ちょくちょく覗く筆者の思想、哲学がまことに面白い。

  • 大学生の頃に読んだ小説。
    たしか朝ドラみたいに時代が変わりながら進んでいく物語、だったような気がする。

    閉館間際、大学図書館の移動式書庫でこの小説を見つけて借りようと思ったのに、酷い立ちくらみを起こして書庫から出られなくなって一晩過ごすことになるかもと半分本気で覚悟したのも今となってはいい思い出か。

  • 姫野さんの小説はラストシンデレラしか読んでいないので、なんか似たようなのばかり書くなあと思ってしまった。まあ面白いのですが。平和で明るくて。

  • 人は時代に否応無く流されて生きるもの。
    一方でどんなにもみくちゃにされても自分らしさを控えることなどできない。時代のうねりと裸まるままの自分がからみあって喜び悲しみ苦しみ楽しさにたどり着く。苦しくて爽快で幸せなお話。
    姫野カオルコさんの冷静な分析が集積し、幸せな物語に昇華してる。

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著者プロフィール

作家

「2016年 『純喫茶』 で使われていた紹介文から引用しています。」

姫野カオルコの作品

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