ケッヘル 下

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 46
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  • Amazon.co.jp ・本 (444ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163250502

感想・レビュー・書評

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  • 承前。・・・とはいえ、やはり一気に読まされてしまった。
    一気に読まなければ、ますますごったがえして何がなんだか解らなくなりそうだったし。
    「真性のモーツァルティアン」は、これをどう読むのだろうか。私の大事なケッヘル番号を汚された、などという抗議は・・・くるわけない?
    帯に「著者新境地にして最高傑作」とあるけれど、そうかなぁ、っていうか、新刊にそういう謳い文句ってどうかなぁ(ケチのつけかたがせこいけれども)。

    うまく説明できなくてもどかしいが、私には「モーツァルト」ってところが引っかかるのかもしれない。
    モーツァルトは天才でその音楽は神の賜物、そのことは私もよく知っている、感じている。
    にもかかわらず、それだからこそむしろ、「モーツァルティアン」を堂々と名乗る人々(も実際に知っている)のことを、胡散臭い、と、一瞬思ってしまうからかもしれない。
    ケッヘル番号にどうしてそこまで拘るのよ、ってな具合に絡みたくなる。
    ドイツ留学経験者で学会帰りの心臓外科医やトルコ絨毯を商う貿易会社経営者、そのうえで高校時代から「筋金入りの熱烈なモーツァルティアン」、そんな二人が二人とも、時すでに経って然るにプラハ訪問は初めて、ということがあるかなぁ。
    だいたい、自分のことをモーツァルティアンと称するくせに、「モツレク」と省略するのが気に入らない(敬意を込めて、「モーツァルト・レクィエム、K.626」って言いなさいよ、その都度!)。

    ほとんど酔っぱらいの戯言みたいになってきました、ごめんなさい。
    私の性格が悪い、ってことなの?
    ともあれ蘊蓄過多のアイディア倒れ盛り沢山過ぎ、という感を拭えません。ものすごい量の調査と体験がなければ書けないこともたくさんだから、そのぶん各国語の片仮名表記や典拠の不備など瑣末な事どもが気になって残念。画竜点睛を欠く。この上下2巻の中のどのエピソードでもいい、切り取って濃縮して短編にしたら、ものすごく惹かれるかもしれないのに。と、これだけ言っても全く何も言ってないのと同じだ、という気にもなってしまう。とどのつまりは著者の力。感服、だけど当分は満腹。

  • 後半の展開は、私としてはやや失速気味。なんか思ったよりもどろどろとしてきたのが残念。遠松氏の生い立ちが鮮烈だっただけに、こういう展開は悲しすぎるなあと。納得のいかない最後にも残念。

  • 後半ミステリー調になってしまい残念。

著者プロフィール

1960年生まれ。早稲田大学卒。93年『猫背の王子』でデビュー。95年『天使の骨』で朝日新人文学賞、2001年『白い薔薇の淵まで』で山本周五郎賞を受賞。著書多数。

「2022年 『感情教育』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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