玻璃の天

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (225ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163258300

感想・レビュー・書評

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  • 〈ベッキーさん〉シリーズ第2弾。日中戦争前の東京での生活や社会情勢が丹念に描かれているところが、ミステリーとはあまり関係ないけど良かった。

  • ベッキーさんの過去が少し見えてきた、第二弾。すてきな軍人さんも現れ、早く三作目が読みたくなった。ぜひ、あの軍人さんと英子の話の続きがあってほしい。
    今回は、どの話にも戦争や思想について共感できる部分があった。また、与謝野晶子のエピソードなど、初めて知ったものもあった。

    教養あるひとの会話に、とてもときめいた。
    この作品に出会えて、「うれー」

    2013.06.23

  • 教養を積んだ人たちの会話とはこういうものか!と感じ入りながら読んだ。古今東西の書物を深く読み込むこと、それを下敷きに会話が成り立つ醍醐味を残念ながら私は知らない。でもそういう世界があることを、この本は垣間見させてくれた。

  • (収録作品)幻の橋/想夫恋/玻璃の天

  • ベッキーさんシリーズの第2弾。
    「幻の橋」「想夫恋」「玻璃の天」

    「想夫恋」が一番好き。
    3編とも、大筋やミステリよりも、間に挿入されるいくつかのエピソードの方が強く印象に残った。
    軍人さんとのはなしとか、与謝野晶子の「君死にたまうことなかれ」の解釈とか・・・

    戦争に向かって進んでいく、きな臭い雰囲気たちこめる日本で、英子やベッキーさんのように違和感を覚える人たちがいたんだと、当たり前ながら再認識させられた。こういう人は少なくはなかったろう。それでも戦争は避けられなかったのか。。
    与謝野晶子が、たとえ弟を犠牲にしても日本中の「弟たち」に訴えかけたこと、そうやって声をあげることがいかに難しい時代であったか、ひしひしと感じた。

    「戦う相手を、同じ人間と思えなくするのが戦争です。わたくしは、軍人です。軍人になるしかなかったのです。しかし、戦争のそういうところを最も憎みます。わたくしの部下の一人一人も、戦のための道具ではありません。生きた人間です。そして戦場で向き合う相手も、命を持つ人間なのです。そう思うことが銃を向け合う時の、わたくしにとっての、礼なのです。」

    この軍人さん、また登場しないかな。英子といい雰囲気に発展していくのかと思ったんだけど・・・

    英子はおひいさまなのにこんなに賢くて、すごい。
    作中自分のことを「気が弱い」と言っていたが、うそおっしゃい!と突っ込みを入れてしまった。。気が弱い人の言動じゃないよ~

    「玻璃の天」では直木賞候補になり、第3弾「鷺と雪」で受賞されたそうで、「うれー」笑

  • 再読。
    シリーズ2作目。
    1作目から少しだけ時間が進んだこの作品。
    前作よりも色濃く描かれる、戦争へと時代の歯車が動き始めたきな臭さ。
    抗えない予感。
    北村氏の丁寧な時代考証の上に書かれたこの作品からは、当時の息遣いまでも感じる。
    想いを素直に語ることの出来なかった時代において、英子の胸に宿る自由への想い。
    国家と自由思想。
    作中で語られる与謝野晶子の有名なあの詩の解釈は、初読の時には言葉では簡単には言い表せない程に心を揺さぶられた。
    そしてもう1つ。
    『漢書』からのあの引用。
    鳥肌が立ちます。
    再読の今、心から離れません。

  • 久しぶりの北村薫さん。綺麗な表現で良いですね。

  • 女学生の日常の中に起こるさまざまな謎、そして忍び寄る戦争の気配。主人公の英子の出会う男性は、みなそれぞれに魅力的で、女性はみなそれぞれに芯を持ちまっすぐに歩いている。

  • ベッキーさんシリーズ。
    お上品な感じと時代の雰囲気の良さで乙女心は鷲づかみにされました。

  • 昭和初期の香りがして、とても良い感じだった。
    推理を詰めていく部分がとても面白い。

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著者プロフィール

1949年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。大学時代はミステリ・クラブに所属。母校埼玉県立春日部高校で国語を教えるかたわら、89年、「覆面作家」として『空飛ぶ馬』でデビュー。91年『夜の蝉』で日本推理作家協会賞を受賞。著作に『ニッポン硬貨の謎』(本格ミステリ大賞評論・研究部門受賞)『鷺と雪』(直木三十五賞受賞)などがある。読書家として知られ、評論やエッセイ、アンソロジーなど幅広い分野で活躍を続けている。2016年日本ミステリー文学大賞受賞。

「2021年 『盤上の敵 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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