ワンちゃん

著者 :
  • 文藝春秋
3.24
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感想 : 48
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  • Amazon.co.jp ・本 (146ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163268804

作品紹介・あらすじ

芥川賞候補作!初の中国人作家登場。「王愛勤」ことワンちゃんは、名前のとおりの働きもの。女好きの前夫に愛想をつかし、見合いで四国の旦那のもとへ。姑の面倒をみながら、独身男たちを中国へ連れていき、お見合いツアーを仕切るのだ。各紙絶賛の文學界新人賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 再読。深層部分が描ききれていない感はあるが、軽妙なタッチで一気に読めた。

  • 「ワンちゃん」「老処女」の二編。
    どちらも常識や社会情勢、家族などに翻弄される中国人女性の話。
    「老処女」が特に辛く悲しかった。

  • ワンちゃんより老処女が面白かった。女とはかくあるべし。その呪いにかかっていない女性っているんだろうか。

  • ワンちゃん

  • 2編が収められていた。日本で暮らす中国人女性の物語。中国の文化も垣間見られ面白く読んだが、どちらもアンハッピーな結末。30代、40代女性のお話だったが、他の著書も似たような設定なのだろうか。読んでみたい。2017/1/16

  • 中国での結婚に失敗し日本に逃げるように来たワンちゃん。
    日本での結婚も、失敗しただ一人心をつなぐのは病身の姑。
    中国からの花嫁を仲介する仕事をするバイタリティー溢れるワンちゃんの話。
    老処女は、日本で言う所の『行かず後家』とでも言うのか、オールドミス。中国で秀才で鳴らした女性、日本に留学し、大学院へ行くも、博士号歯習得できず、独身でいることと、肩書きができないことへの不安で精神も体も不調をきたすように。
    少し前の中国事情、または今でも、そう言う価値観があるのかもしれないが、事情を覗き見るような作品。

  • ワンちゃんは成功者なのかしら。

  • 在小王和老処女的2編。我学了中文:貴人多忘事。 万时嬉 。 树倒猢狲散。 人走茶就凉。 鱼和熊掌不可兼得。 女大当嫁。三十而立。老処女。东施/西施。人生自古傷離別。 我听听蘭意义。

  • 中国人作家さんですが、思った以上に読み易い文章でした。旧制が王さんだから ワンちゃんの呼び名で呼ばれる中国人妻。
    中国で仕事に成功するものの、金をせびりにくる女好きの前夫から逃げる為に四国の片田舎の日本人とお見合い結婚。結婚した相手との生活は嬉しくないものの、自らが仲介をして中国人と日本人をお見合いさせる。中国人の女性、日本人の男性、それぞれが結婚できない理由を抱えてのお見合い。
    もう一編が「老処女」日本に留学し、博士号修士まで取り、大学の臨時講師にまでなった女性。三つ下の後輩は結婚し、子供が二人。遅れはしたものの確実に自分の道を切り開く。そんな彼女を羨みつつも、現実は実家に帰ると老いた親が結婚して子供を産めと催促。
    結婚するような相手もなし。
    どちらも 未来の見える終わり方ではないけれど。なぜか とても頷いて納得してしまう話。中国人留学生、中国人妻でなくとも
    日本人の女性でもありうる話しだからなのか。
    するすると読め、内容の割りにはすっきりした読了でした

  • 「ワンちゃん」はわかりにくい 日本文で 時折 つかえて 読みにくい。ただ、中国人女子のたくましさが 「ワンちゃん」には表現されていてその人物の 掘り下げ は 巧みだと思った。

    私も 中国にいて 女子のたくましさは いろんな場面で見てきた。
    いろんな状況でも へこたれず、ニコニコしている。
    『ビンボーはたのしい』という 女子にも出会った。
    それで、一生懸命働き 病気がちな父親に仕送りをする。
    なんてたくましいのだろう。そして、家族思いなのだろうと思った。

    ココに出てくる「ワンちゃん」は 王愛勤 という名前をもらことで
    勉強は嫌いだが「勤=よく働く」という ニンゲン である。
    兄は「愛軍」と名づけられ、高卒後 人民解放軍に入って 
    退役してから 市の商工局の課長になっている。
    姉は「愛学」と名づけられ、大学を卒業して 大手銀行に入っている。そして 地元の支店長になっている。

    ワンちゃんは 中学を出て 母親の働いていた工場で すぐに働き始めた。18歳のときに 洋服の露天の店をだして、仕事を順調に進めた。かっこいい 教師と結婚して 順調のように見えたが その男は仕事をやめ遊びだしてしまった。そのときには 子供が出来ていた。

    ワンちゃんは 一生懸命働くが その男が お金をせびりに来る。
    しまいには 店の女と一緒にベットにいるのを見つけて 別れる。
    子供は 男のほうに 預けることになる。
    (ここで、兄が 市の役人、姉が銀行の支店長ならば・・・
    ワンちゃんは もっといい仕事は紹介してもらえたはずなのであるが・・物語は そうなっていない。

    別れた男はワンちゃんが場所を変わって一生懸命働いてもお金をせびりに来る。
    息子が 18歳となり 5年ぶりにあった。身長は180cmくらいになっていて、別れた男とそっくりの美少年になっていた。
    息子は 髪を枯れ草のような黄色に染めてすっかり大人だった。
    高校は とっくにやめていた。
    『お母さんのDNAを受けついたので勉強が嫌いなんだよ』と息子は言う。
    息子はさらに言う
    『あのさ、お母さんは苦労したかもしれないけどさ、オヤジは結構楽しく遊んでいるよ。それも悪くないなぁとおもってさ・・・だってお母さんみたいに働きに働いて、何かよいことでもあった?オヤジって頭が結構よいよな。』と。
    ワンちゃんは 黙ってしまった。

    このような息子が 今の中国にはいっぱい いる。
    親が役人でいい思いをしていると 親のお金を消費するだけの若者もいる。そういう姿をリアルに描いているのがいいと思う。

    結局 ワンちゃんは 無口な日本人と結婚するのであるが、
    その無口な男のおぞましさ。
    そして 四国の松山のさらに奥の田舎で、
    独身の男の中国人の女子との結婚斡旋業をやる。
    そこにでてくる 日本人の男のものがさしさ。
    中国へのしたたかな目は日本へも向けられている。
    楊逸は問題意識が鮮明なので今後の作品が、期待できそうだ。

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著者プロフィール

(ヤン・イー、Yang Yi)
作家。1964年、中国ハルビン生まれ。
87年、留学生として来日。95年、お茶の水女子大学卒業。
2007年、『ワンちゃん』(文藝春秋)で文學界新人賞受賞。
翌08年、『時が滲む朝』(文藝春秋)で、
日本語を母語としない作家として初めて芥川賞を受賞。
『金魚生活』『中国歴史人物月旦 孔子さまへの進言』(以上、文藝春秋)、
『すき・やき』(新潮社)、『あなたへの歌』(中央公論新社)、
『わが敵「習近平」』(飛鳥新社)、『中国の暴虐』(共著、WAC)など著書多数。
現在、日本大学芸術学部教授。

「2021年 『「言葉が殺される国」で起きている残酷な真実』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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