スリーピング・ドール

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163274706

感想・レビュー・書評

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  • 前作「ウォッチメイカー」にも登場していた女性をヒロインにしたスピンオフ作品。
    キャサリン・ダンスは、カリフォルニア州捜査局(CBI)の捜査官。
    人の表情や仕草で感情や真意を読み取るキネシスク分析の天才。人間嘘発見器ともいわれる。

    カルト指導者的な殺人者ダニエル・ペルが脱獄、尋問に当たっていたキャサリンが指揮官に。
    保安官オニールやFBIのケロッグ、犯罪実話作家ネーグルなどと捜査に。
    脱獄は周到に用意されたらしく巧みな追跡はあと一歩でかわされ困難を極める。
    なぜかモンテレー郡を離れずに隠れているらしいペルの目的は何か?

    二人の子の母である未亡人のキャサリンの家庭やこれまでの経歴、父母や同僚などしっかり書き込まれた背景もディーヴァーにしてはゆったりと読ませます。
    かってペルと集団生活をしていた女性達に話を聞き、被害者の生き残りの少女テレサとも会おうとするキャサリン。尋問の天才の面目は?

    事件の真相も単純ではなく、人間の色々な面が描かれているのが面白い。
    後半は展開が早まり、期待通りに二転三転。面白かったです。
    2007年の作品、2008年10月発行。

  • ☆5つ=面白いという評価をしている人もひじょうに多い作品であることはじゅうぶん承知の上での読後の正直な私の感想。

    「もう、ディーヴァーはしばらくいいかな」

    2段組みの超大作だが、私にはななめ読みで十分だった。


    本書はリンカーン・ライムの「ウォッチメイカー」で初登場した“人間嘘発見器、尋問の天才”と異名されるキャサリン・ダンスを主役に据えた初のシリーズものだ。

    彼女の武器は、容疑者や証人のボディランゲージや言葉遣いを観察、分析して心理的に真相を暴いていく科学技術=キネシクスである。

    「ウォッチメイカー」のときはそれがとても興味深く思えたが、本書ではその伝家の宝刀=キネシクスの見せ場は脇役として登場していた「ウォッチメイカー」と変わりないように思った。

    今回は脇役じゃなく主役なんだから、それではとっても物足りない。

    それなのにこの本はとにかく長いのだ。
    忍耐を必要とするほどに長いのだ。

    なぜ長いのか。

    事件とは直接関係のないキャサリン・ダンスの私生活の描写が多すぎるから。

    おそらく新たな女性主演登場人物ということで、作家であるディーヴァーさんは彼女の家庭環境から職場の人間関係に至るまで念入りにそのキャラクターを造ったんでしょう。

    だからって、それ全部を語ってくれなくていいわ~。
    この人がギターがうまいとか、正直どうでもいいわ~。


    そういう描写がひじょうに多いので、事件そのものに集中できない。
    事件自体は「他人をコントロールする天才カルト教主との攻防」という、けっこうおもしろいものなのに。


    また、タイトルも失速させる理由の一つだと思う。
    タイトルなんだから、それってものすごく重要なものと期待するじゃない。
    たしかにそのおかげで真相に近づけるわけだけど、うーん、でもストーリーの中心とは遠すぎると思う。


    またディーヴァーさんの代名詞となっている“どんでん返し”についても不満が残る。

    今回は残りページの具合から、あ、ラスボス、ほかにいるね、とわかってしまうし、そのラスボスだって、これ、どうなの?
    体よく情報を隠されていただけなんじゃないの、それって“ズル”なんじゃないのと思わなくもない。

    そもそも“どんでん返し”であっといわせるためには、途中で情報を漏らさず伝えておくべきで、その情報を思わぬ方法で回収されるからこそ“どんでん返しであっと驚く”が成立するわけだから。

    操っていたつもりのはずが逆に操られていたという構図はなかなか読ませたので、そこでやめておけばよかったのに…。

    ディーヴァーものなんですよ、いいですか、このままでは終わらせませんよ、もういっちょいきますよ、どんでん返し、みたいなのが鼻についてしまった。

    マインドコントロールされていた女性たちが、最後に見せる自分を取り戻した姿の描写はよかったし、ほかにも読ませるシーンはなくはないのに、全体的にとっても残念でならない。
    なんかバランスというかまとまりが悪いというか。

    それにしても、今回「翻訳者ってすごいんだな~」と感心した。
    ディーヴァーは池田真紀子さんがずっと訳されていると記憶しているが、そしてあとがきで賛辞を贈られているが、「またこの展開か~」とか思わないんだろうか。

    私は文字通り「ページターナー」だったディーヴァーの昔が懐かしい…。

  • ライムシリーズに以前出てきたキネクシス専門のキャサリン・ダンス・・が主人公。さすがのディーバー、どんでん返しで今回も楽しませてくれた。
    ただ、どうしてもどんでん返しがあるだろうなと予測して読んでしまうため意外性はなかった・・
    でもこれもシリーズになるといいな。

  • クローザーって海外ドラマがあって、それがすごく好きで。
    今や刑事ドラマってあらゆるパターンがあるが、これはドンパチやカーアクションはそれほどでもなく、証拠を中心に科学捜査がメインでもない。一人の女性捜査官が容疑者のウソを見抜き、自白させる。当然相手も巧妙に嘘を隠そうとするわけだから、取調室という狭い空間での会話を中心に駆け引きが行われ自白に至る、というプロセスが見もの。
    このドラマのもとになったのが本作である。

    著者のリンカーン・ライムのシリーズを読まなくなったのは、”どんでん返しが過ぎる”ので、ちょっとありえない、ファンタジーな感じになってしまうから。

    本作も。。。何度も。ぎりぎり許容範囲でした。

    どんでん返し好きにはおすすめです。

  • 久しぶりのダンス捜査官
    めっちゃ嫌なヤツで
    イライラしながら読んだ
    スカッと・・・せんわ〜〜

  • キャサリン・ダンスシリーズ。リンカーン・ライムシリーズのスピンオフ。カルトの元リーダーのペルが脱獄し、ダンスが「キネシクス」を活用し追跡する。自らの利益のためなら無関係な人の殺人も厭わないペルは洗脳のスペシャリストで、脱獄したにもかかわらす何故か近場に潜んている。リンカーンシリーズとはちがい犯人の心理と行動を分析する捜査方法は他作品の刑事物と似通っているが作者のどんでん返しがこの作品を唯一のものにしていると思う

  • キャサリン・ダンス―カリフォルニア州捜査局捜査官。人間の所作や表情を読み解く「キネシクス」分析の天才。いかなる嘘も、彼女の眼を逃れることはできない。
    ある一家を惨殺したカルト指導者ダニエル・ペルが、脱獄、逃走した!捜索チームの指揮をとるのはキャサリン・ダンス捜査官。だが、狡知な頭脳を持つペルは大胆に周到に裏をかき、捜査の手を逃れつづける。鍵を握るのは惨殺事件の唯一の生き残りの少女テレサ。事件について何か秘密を隠しているらしきテレサの心を開かせることができるのは、尋問の天才ダンスしかいない…。
    ハイスピードで展開される逃亡と追跡。嘘を見破る天才ダンスvs他人をコントロールする天才ペルの頭脳戦。「言葉」を武器に悪と戦うキャサリン・ダンスの活躍を描くジェフリー・ディーヴァーの最新作。ドンデン返しの魔術師の超絶技巧がまたも冴えわたる。
    原題:The Sleeping Doll
    (2007年)

  • 2019.11.19.読了
    わたくし、長編が好みです。上下巻、上中下巻など、垂涎物
    でも、よくあるのがコレ、上下巻にする必要あった?という作品。無駄にダラダラと長くて余計な話が合間合間に挟まれていたりして、本筋が見えてこないもの。
    この作品もこんなうまくいかないでしょ?!なんでここで捕まえられないのよ!?の連発。
    最終的にはどんでん返しもあり、まとまった感じですが、始終面白かったか?先が読みたくて仕方なかったか?といえばそうではない。
    もう、めんどくさっ!となって丸一日触らなかったり最後はもう、はやく終わらせよーよーって感じでした。
    最近本当にいい作品に出会えない。
    悩みです。読書は最大の趣味。だれかいい作品教えてーーー!!

  • 長い。
    長すぎる。
    エンジンかかったのが最後の5分の1。
    そこまで行くのに、つまらなくはないがなかなか乗れない助走期間が、幾度私を安眠へいざなったことか。
    スリーピング・ドールだけに。

    リンカーン・ライムシリーズのスピンアウトで、どんでん返しもあるし、犯人との接戦も面白い。
    家でのんびり楽しみたい人にはお薦め。
    通勤で持ち歩くには重い。(持ち歩いたけど)

  • 面白かった。

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著者プロフィール

1950年、シカゴ生まれ。ミズーリ大学でジャーナリズムを専攻。雑誌記者、弁護士を経て40歳でフルタイムの小説家となる。科学捜査の天才リンカーン・ライムのシリーズ(『ボーン・コレクター』他)や“人間嘘発見器”キャサリン・ダンスのシリーズ(『スリーピング・ドール』他)は全世界でベストセラーになっている。ノンシリーズ長編小説、短編小説など人気作品も多数刊行
『ブラック・スクリーム 下 文春文庫』より

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