夜と女と毛沢東

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163530109

作品紹介・あらすじ

オウム事件から、戦争、性、臨死体験、資本主義の行方まで…現状に苛烈な異議を申立てる、率直無比な剛腕対談。

感想・レビュー・書評

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  • 辺見「セックスが最高だと言われるのが、僕の夢ですね、というより人間的にそうあるべきじゃないかとどこかで思っている」
    性愛論に関するこの一文を読むためだけに本を手にいれました。満足。

  • 初読。図書館。辺見庸×吉本隆明の対談集。タイトル以上に幅広いテーマでの対談のため、深いところまでいく手前で終わっている気がする。ここをとっかかりに深く入っていくとしましょうか。

  • 2人の巨人の話し合いが楽しい。過激、歯に衣を着せず痛快。「女」の章はほとんど猥談のような部分も。吉本が今では保守派に受け入れれる存在だったとの辺見の言葉を否定しない吉本に歴史の流れを感じた。吉本の毛への厳しい姿勢は文革の頃から一貫していたのだ!知らなかった。「夜」が無くなったのは、文字通りの暗闇が無くなっただけでなく、陰影のある人物が減った、ドラマがなくなったということでもある。中国から帰国した共産党の伊藤律の顔の業の深さの表現が出てくる。レーニンや毛沢東の俗人ぶりを2人が話している姿を見ると、実際にそうだったと思い知る。その俗人であるが故の大人物性というのは今でこそよく分かる。連合赤軍、オウムの異常性を追及するマスコミ、そして一般人が、ではあの時地下鉄で果たして傍観者ではなく、救助をしたのか!素通りした一般人が「事後に安全な場所で、オウムを怨み極刑にせよと叫ぶ!」。この批判は恐ろしく根源的。吉本や宗教学者の島田裕巳がオウムに擁護的として批判されたことへの批判はマスコミの底の浅さを感じさせられる。

  • 「毛沢東」?なんて気になり手に取った一冊。
    本当にリベラルな吉本隆明さんと中国の北京記者であった辺見庸さんとのさまざまな会話を綴ったような本です。18年も前の本ですが面白かった。

    毛沢東とオウムは同じ。
    オウムの事件・・・憎くて殺したわけじゃない。世界観が殺した。理念が人を殺すわけです。これは人間の根幹にかかわるテーマである。

    なにか極悪な事件があると、日本人の「一億総検察化」は恐ろしい。一つの事態を多角的に考えてみるという雰囲気、絶対少数の異論にも耳を傾けてみるという空気が本当になくなった。
    ファシズムといううのは一握りの軍国主義者たちが思想・言論・何から何まで統制して軍国主義化してく現象だということになる。しかし、民主的な手続きを踏んで円滑に進むファシズム<メディアファシズム>社会を覆う意味の一方向的な支配がどんどん進む状態もある。
    ある方向のみの意味を許してそれ以外を認めないという気配。メディアが意味総体を収奪して無化してしまう状態。今はジャーナリズムもメディアも視力が落ちている弱視状態。…だと書いてあるのを読んで頷く。

    李志綏「毛沢東の私生活」を読んでみたい。
    BBCのシュミレーションによると2020年に中国は3分割。北京政府・上海政府・広東政府となるとか…書いてあったのも、あり得ると思った。

  • 部屋の中で思考する吉本さんと、経験行動派の辺見さんという面白い組合せではありました。軽い気持ちで読めました。

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著者プロフィール

1924年、東京・月島生まれ。詩人、文芸批評家、思想家。東京工業大学工学部電気化学科卒業後、工場に勤務しながら詩作や評論活動をつづける。日本の戦後思想に大きな影響を与え「戦後思想界の巨人」と呼ばれる。著書多数。2012年3月16日逝去。

「2023年 『吉本隆明全集33 1999-2001』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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