またたび浴びたタマ

著者 :
  • 文藝春秋
3.34
  • (27)
  • (38)
  • (125)
  • (17)
  • (2)
本棚登録 : 495
感想 : 58
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163565101

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 早稲田大学4号館にできた〈村上春樹ライブラリー〉こと早稲田大学国際文学館、行ってきました!
    国内外にて出版された春樹さん著作本・翻訳本がずらっと並ぶギャラリーラウンジを始めとし、最高の音響機器でジャズが流れるオーディオルーム、ピーターキャットのライブで使われていたという実際のグランドピアノと貴重なレコード類の展示、完全再現された春樹さんの書斎と、そんな素敵空間を眺めながら珈琲とドーナツが楽しめるカフェ〈橙子猫 orange cat〉などなど……村上主義者の聖地ですよここは。

    期待に胸をふくらませ、世界にあいた孔のようなエントランスをくぐって入館すると、すぐ目の前にひらけるのは木の温もりを感じる階段スペース。
    ここは両サイドが大きな書架となっていて、川上未映子さん、柴田元幸さんら各界の識者が選りすぐった世界文学のほか、村上作品の副読本となるような書籍がテーマごとに抜群のセンスで配架されている。
    並んだ本はみんなどこか誇らしげで手に取られるのを待っているように感じて、心底一冊ずつ目を通したかったんだけど、時間制限もあったしカフェでも読書したかったしで、どれを読むか迷いに迷ってたときにズバッと目に飛び込んできたのがこの「またたび浴びたタマ」でした。ずっと読みたかったやつ。
    春樹さんがひねりだした回文と、その解説のような小説のようなものが50音順に繰りだされるという、遊び心あふれる本。
    「心はマルクス、車はロココ」、「そうよ、私したわよ。……嘘」、「トナカイ好きな鱚、いか納豆」などなど、その独特な世界観がおもしろいのなんのって。
    ちょっと緊張してた心がいい塩梅にほぐされて、珈琲すすりながら何度もくすっとしちゃいました(ニヤニヤ顔で他の人がみたら怖かったと思う)。

    駆け足で30分ぐらいで読了。館内を見学してお茶して読書して……とやっていたらあっというまに退館の時間になっちゃうね。
    オープンしたて&コロナ禍だからということなのか、今は各回とも90分ごとの時間枠になっているのだけれど、ゆくゆくはどうなるんだろうな。だっていくら時間があっても足りないし一生いられるよこんな最高な場所……。ただおかげで全然混雑は無く、ゆったり寛ぎながら時間いっぱいまでじっくり楽しめました。早稲田の学生さんが羨ましいなぁ。

    興奮冷めやらぬでぐちゃぐちゃな感想になっちゃったけど、とにもかくにも一つの独立した図書館として、本当に居心地の良く、調和のとれた素晴らしい空間でした。
    またすぐに一ヶ月後の予約をいれたという。

  • (2020/6/10読了)
    カルタのように、五十音分の回文が紹介されている。友沢ミミヨさんの絵もナイス!
    後書きに、小説を書かないと決めた年の正月に、手持ち無沙汰でメモ書きで作ったとある。
    だから、読み手も、読んだと言うより遊んだ?って言った方がいいかな。

  • 村上春樹の五十音回文集。絵がとてもかわいい。
    ねだんたしたんだね(値段足したんだね)
    ひまな授業中に自分でも考えてみるけど、やっぱり難しい。村上春樹はすごい。

  • Hewさんのお勧め本。
    最近、フジモトマサルの回文本を続けて読みましたが、よもや村上春樹まで回文本を出しているとは思いませんでした。

    発行年を見てみると、この本が2000年、『ダンスがすんだ』は2004年、『終わりは始まり』は2008年なので、フジモト氏の方がアイデアをもらったのでしょうか?

    とはいえ、似ているのは作り方だけで、イラストレーターのフジモト氏は、イラストと回文を、作家の村上氏はショートショートストーリーと回文を担当しています。
    今回のイラストは、丸みを帯びた脱力系の絵を描く友沢ミミヨでした。

    あいうえお…と、50音順の言葉から始まる回文が掲載されています。
    『ダンスがすんだ』を読んだときには「旦那がなんだ!」が気に入りましたが、この本には
    「蓋がなんだ!旦那がタフ」
    というバリエーション(?)が載っていました。

    おもしろかったのは
    「裸体が渋い武士がいたら」 です。
    (渋い裸体って、どんな感じ?)と笑ってしまいました。
    村上氏は『七人の侍』での三船敏郎の裸体がまぶしかったそうです。
    まぶしい裸体だったらわかるんですけれど、このちょっとした収まりの悪さが、回文の味わいですからね。

    ただ、この本も、『ダンスがすんだ』同様、ページがふられていませんでした。
    なぜ書籍なのにないのでしょう?腑に落ちません。

    村上春樹は、深刻で哀しげで謎に満ちた作品を書く人、というイメージを強く持っていますが、この本は、別の意味で謎いっぱいの一冊になっています。

  • 画/友沢ミミヨ
    装幀/大久保明子

  • 確実になんの役にも立たないであろう回文の本です。
    読んでいると笑えます。
    確実に笑えます。
    私は超笑いました。
    しかし本当になんの役にも立たない本です。
    でも面白い。
    あまりにも面白すぎて笑えてしまうので、電車の中では読まないほうが良いです。
    電車の中でも思わず笑ってしまいますから。

  • 村上春樹による回文集。
    ・心はマルクス、車はロココ
    って意味ありげですごい。

  • 回文です。
    あいうえお順にイラストと短い文章のものです。
    楽しく読みました。
    ちょこっと書いてある文章がまた楽しい。
    イラストもこの本にピッタリだと思いました。

  • 京都・知恩寺の古本市で購入しました。
    村上作品ですが、出版当時は「回文なあ…」と思って買わず。
    今回見かけた時、値段を見るために箱から出したらオシャレな装丁で、回文ひとつひとつに短文が付いてたので買いました。

    内容はまあ取るに足らないものですが、「七人の侍」のセリフについて書かれてたりして、ほうほうと思ったり。

    これだけの回文を考えるのって大変でしょうね(当たり前の感想)。

  • テーマはおもしろいですが、内容はそんなにおもしろくありませんでした。

    回分の労作が五十音にしたがって紹介され、それにイラストとミニエッセイが添えられていますが、どれもまあ、なんというか。ときの日本人メジャーリーガーがかなりの頻度で登場しますので、どうしても時代を感じてしまいます。

    本自体の形態も独特ですが、ちょっと読みづらかったです。

全58件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

村上春樹の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×