三国志 第三巻

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163597706

作品紹介・あらすじ

黄巾の叛乱収まらず、朝廷の腐敗につけこむ董卓は逐に洛陽を焼きはらう。曹操、戦塵にまみれ知力を尽くす巻である。

感想・レビュー・書評

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  • 第三巻。時の皇帝は第12代・霊帝。
    皇帝が暗愚であるがために世が乱れる。
    暗愚な皇帝につけ入り、利用しようとする者が権力を握り増長すると、必然的に我欲にひきずられた政治となっていく。

    例えば、霊帝は「人は信じられぬが銭は信じられる」という人物だ。そのため要職も銭さえ出せば買えるシステムとなっている。

    このシステムを利用して人臣最高位まで昇りつめたのが曹操の父・曹嵩だ。しかし、曹操はそんな父を批判的に見ていた。それが世の乱れの要因であることを察知し同調しなかった曹操は、やはり天下を治める大器である。

    王朝内、皇帝周りの諸事に関わるのが宦官であり、霊帝の時代、宦官による甘汁体制は完ぺきにでき上っていたが、それに対する不信・不満が水面下で熱を帯びてきた。

    宦官誅滅を推進したのが袁紹(中軍校尉)と何進(大将軍)で、一掃の大虐殺を行った。一方抵抗も激しく、何進も逆襲の犠牲となってしまった。

    この時に、宦官討伐に利用されたのが董卓だったが、これをきっかけに獰猛かつ残忍な董卓がのし上がってくる。「三国志」の面白さは、こういう大悪人がいるからこそだけれども、それが言えるのは物語上だからだ。

    董卓は、第13代少帝を毒殺し、「董」を名に含むという理由から第14代献帝を擁立し、人質のように献帝を囲い込み王朝を乗っ取る。さぁ、ここからが打倒董卓の流れへと展開していく。

    袁紹は名家の出身だが、我欲が強く、優柔不断で、董卓退治にはおよび腰。不満を蓄積させながらも董卓の狂暴には手が出せない。また弟・袁術と不仲であるため、敵が定まらない。

    そんな中、曹操は勇敢に義軍を起こし、負けてもまた軍を立て直し董卓討伐に挑んでいく。曹操は献帝を見捨てない。

    一方、南方で力を蓄えた孫堅も、董卓を全く恐れない。戦闘能力も高く、董卓配下の猛者・呂布の軍をも撃破し、ついに董卓を洛陽から長安へ追い込んだ。

    袁紹・袁術の兄弟対決も激化してきた。
    袁術・公孫瓚連合vs.袁紹・劉表連合の構図である。
    その公孫瓚の元へ訪れたのが、関羽・張飛ともに黄巾平定で戦果を挙げていた劉備玄徳だった。

    後漢の時代が終わり、いよいよ三国時代へ入っていく。

  • ようやく三国時代らしくなってきた。

  • 黄巾の叛乱収まらず、朝廷の腐敗につけこむ董卓は逐に洛陽を焼きはらう。曹操、戦塵にまみれ知力を尽くす。
    <amazon商品詳細より>

    この巻から、名前を憶えている人物が多く登場してくるので、読みやすさが大幅に上がる。

    太平道、黄巾賊、五斗米道と、世の中が乱れてくると
    怪しげな者たちの反乱が増えてくる。
    戦国時代の日本で浄土真宗が勢いを増し、
    世の中が乱れていったのと構図が似ている。
    その反乱に乗じて権力を握ろうとする者たち。
    宦官の力はほぼなくなるが、代わりに董卓が悪行を尽くす。

    打倒董卓で袁尚や袁術、公孫瓚などが立ち上がるってくるが、
    後の世でも敬愛されるだけあって、曹操と孫堅は魅力がある。

  • そろそろ曹操・孫堅が活躍し出します。
    ちょっと面白くなってきたぞっと。

  • 今回は何進、宦官が倒され、反董卓連合が解散するまでの話
    三国志演義を素にした話では?水関・虎牢関で華々しく戦っているけど、正史ベースと思われる本書では戦いどころか進行すらしていなかった。
    まだ、この頃は曹操も戦下手で失敗してるし、劉備は登場しない。
    そんな中、孫堅だけが大活躍しているのが印象的で、この後に死ななければ群雄割拠の中で非常に有力な勢力になれたと思うと、複雑な心境になる。

  • いよいよ三国志メンバー登場してきた。、

  • 演義とはかなり違う三国志
    董卓軍とはほとんど戦わず
    華雄なんか一行しか出てこない

  • ようやく曹操が出てきて、三国志らしくなってきた。次からはよく知ってる世界に突入ですね。楽しみ。

  • 皇后の兄・何進を倒した董卓が実験を握り、反董卓の動きになってくると正に三国志。しかしあくまでもこの本の主人公は曹操。曹操と鮑信の信頼関係の深さは感動的であるし、曹操の配下の曹仁、曹洪その他の人物の曹操への尊敬の念が伝わってくる。袁紹、袁術らの軽い扱われ方と対照的。そして名将でありながらも董卓に膝を屈した場面で英雄になり損ねたという。皇甫崇も印象的。一方、孫堅は若き日の董卓の弄舌を聴き、「軍法通り斬るべし」と主張した等、骨のある人物に書かれている。本巻までは劉備はやくざの親分のような書かれ方。これからどう展開していくのか。

  • やっと三国時代の英雄が活躍し始めました。この人の三国志は色々な資料を照らし合わせて書いていたり、なんとなく曹操よりだったり、面白いです。

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著者プロフィール

宮城谷昌光
1945(昭和20)年、愛知県蒲郡市生れ。早稲田大学文学部卒業。出版社勤務のかたわら立原正秋に師事し、創作を始める。91(平成3)年『天空の舟』で新田次郎文学賞、『夏姫春秋』で直木賞を受賞。94年、『重耳』で芸術選奨文部大臣賞、2000年、第三回司馬遼太郎賞、01年『子産』で吉川英治文学賞、04年菊池寛賞を受賞。同年『宮城谷昌光全集』全21巻(文藝春秋)が完結した。他の著書に『奇貨居くべし』『三国志』『草原の風』『劉邦』『呉越春秋 湖底の城』など多数。

「2022年 『馬上の星 小説・馬援伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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