その数学が戦略を決める

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163697703

感想・レビュー・書評

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  • 統計と確率計算が高度に発達した現代では、コンピューターの予測が専門家の経験則を超えてしまった……という本。ワインの価格から映画の興行収入まで「絶対計算」の方法論が静かに浸透している世の中をルポルタージュしている。

    この本の良いところは1章ごとに「まとめ」が書かれていて、これを読むだけでだいたいの文意が掴めるところにあると思う。膨大なデータと、それを蓄積できるだけの記憶容量と、有用な数字をはじきだす計算式によって、現代の大きな潮流が読み取られているというのは、これからもっと目に見える分野にまでその成果が及ぶことを踏まえると、とても衝撃的だった。

    これからはどんなビジネスパーソンも「統計」的に物事を考える必要がでてきそうだ。そして、その先にはどんなビジネスパーソンも必要でなくなる日がくるかもしれない。

  • 確率がこんなに台頭してきたとは、知らなかった。

  • 絶対計算の本

  • 初歩的な統計学についての初歩的な入門書です。回帰分析と無作為抽出テストから話を始め、身近な具体例を交えながら旧来の伝統的な手法を統計アルゴリズムが超えていくストーリーを描写しています。内容は『ヤバイ経済学』と似ていたり、またかぶっている部分もあります。臨床医の手を洗うかどうかでの患者の死亡率の差などは『ヤバイ経済学』と丸かぶりです。『ヤバイ経済学』の著書スティーブン・レビットとこの本の著書であるイアン・エアーズが友人でもあるのでやむきことではあります。

    この本は統計も統計にまつわる逸話も全くノータッチな人なら、今現実で行われている統計処理を読書体験よりしることができます。最近ビッグデータなるバズワードも登場しつつあり、書店で統計関係の本もぼちぼち見かけるようになりました。統計学に詳しくなることイコール数字に強くなることであり、科学者や学者だけでなく一般のサラリーマンも会社で結果を求められる以上身につけたいスキルではあります。しかしそうは言っても統計学を大学で履修した人にとっては回帰分析は最低でもイントロダクションレベルで知っているわけで本書は新聞のコラム程度の読み応えしかないかもしれません。技術的な話はさて置いて、統計の利便性について書かれた話です。ですので統計に元から精通している人は専門書でも読んでおくべきでしょう。

    冒頭のつかみにワインの出来についての統計予測が設けられていますが、決して誇張されたものではなく事実のみが描かれています。気温・土壌・水分等を変数に設定すると暫定的なワインの美味しさという出力結果が求められます。ワインといえばソムリエなる専門家が幅をきかせる世界ですが、数学に強い人達がそれにとって代わるのは真新しい話ではありません。というのもギネスビールの醸造でもそういった統計手法が用いられていました。ギネス記録のあのギネスです。ギネスビールの社員がt検定を生み出したのは割りと有名なエピソード。つかみとしてこのエピソードは初学者を十分に惹きつけると思います。

    様々なエピソードが述べられデメリットがあろうともそれを打ち消すほどのメリットが「絶対計算」にはあるというのが筆者の意見。しかしそうやって考えていくと人間のやることってなくなるのではないか?という疑問が湧いてくる。『1984』のようなコンピューターとテクノロジーが支配する世界が人類の帰結なのか。そうではないという人情ある答えが筆者の意見。与えられた変数を計算するのはコンピューターだが、その変数の設定や条件の捨象を行えるのは人間だけだ。社会科学ならミクロ経済やゲーム理論やORの領域だろう。モデルの設定ができるのは非合理な人間だからこそできる。筆者の意見としましたが、科学の世界では一般的な考えでしょう。

    読んでいて楽しくはあったのですが、あまりに初歩的なので退屈も感じたのもまた事実。Hayashiのエコノメを読了したあとに読む本ではありませんでした。

  • 統計的データvs専門家の経験則
    実例を交えながら紹介していく。身近な問題から学問的な範囲までわかりやすく説明している。

    データを集める企業がこれからは増えるとのこと。それを使って企業にとってより良い消費者を選び、良い消費者に合わせた商売をするというアマゾンの例がもし今でも続けられたらショックだったかも。

  • 著者は絶対計算、つまり統計分析を積極的に取り入れている人であるため、絶対計算がどのような分野で活用されうるか、また、絶対計算を信じずに古い知識や長年の経験からくる勘だけに頼る専門家たちへの批判が主であり、絶対計算の問題点や太刀打ち出来ない論点などについては述べられていない。
    200ページ超そのような内容であり、最終章以外はそれぞれ舞台は違えどたいして違ったことは述べていないため、途中で読むのをやめようかどうか迷ったが、最終章に到達して初めて読むべきはこの最終章にあったのだと気づいた。
    最終章では標準偏差の2SDルールとベイズ理論が説明されており、この2つは統計結果に惑わされないためにも是非抑えておきたい知識であると思われる。
    2SDルールとは、「正規分布の場合平均値から正負それぞれ2標準偏差に属する確率が95%である」というもので、これで選挙のリード確率が開設されている様は大変わかりやすい。A者の支持率が52%、B者の支持率は48%(誤差範囲は±2%)と聞かされると、接戦であるように感じてしまうが、この2SDルールを使ってリード確率を計算すると、A者がリードしている確率が97.5%となりほぼ当確だという説明は、新聞記事の見方を大きく変えてくれそうだ。
    また、ベイズ理論により、よく数学パズルで取り上げられる、マンモグラフィで陽性を示した人の内、その人が乳ガンである確率は、という計算をわかりやすく説明してくれている。(ここでのキーは実際に乳ガンである人がマンモグラフィで陽性になる確率をそのままマンモグラフィで陽性を示した人が乳ガンである確率としないこと)
    そして、最終的に著者は絶対計算は直感に代わるものではなく、それを補完するものだと述べているあたり、絶対計算至上主義ではないと知って一安心する。しかし、どちらも過信しすぎてはいけない。どちらも生み出し、そして利用するのは人間であるから。

  • 情けないことに十分に理解出来なかった…やっぱ統計はもうちょい勉強しなきゃなぁ。

  • 大相撲の八百長はかなりの信ぴょう性。割れ窓理論もなんか「道徳垂れてます」が強くて素直に受け入れなれないと思っていたら中絶ですか。ほんと悪ガキ感満載で面白かった。それに訳もなんかフツーじゃなくて新鮮だ。

  • レビューはブログにて
    http://ameblo.jp/w92-3/entry-11100534205.html

  • 絶対計算によってはじき出される世界は、より人々の暮らしを良く出来ると感じた。「伝統的な専門家」の人はどんどんこういうものを使いこなせないと生きていけなくなってくるのだろう。
    標準偏差を日常生活で取り入れるのはちょっと楽しそうである(笑)

    統計手法やデータマイニングについて興味が沸いたので、「導入書」である本書の次を手にとってみたいと思う。「ヤバい経済学」あたりでいいのかな?

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著者プロフィール

経済学者、弁護士。イェール大学ロースクール教授
NYタイムズ、ウォールストリート・ジャーナル、FTなどに寄稿。彼の研究はプライムタイム・ライブ、オプラ、グッドモーニング・アメリカ(いずれもテレビ番組)でも取り上げられている。ベストセラー『その数学が戦略を決める』など、著作は10冊に及ぶ。イェール大学およびMITで学位を取得。

「2019年 『ライフサイクル投資術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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