あかんやつら 東映京都撮影所血風録

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163768106

感想・レビュー・書評

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  • 京都弁の「あかんやつら」のニュアンスはきちんとは判らないが自分の語彙から言えば「食えない奴ら」である。
    東急グループのもと映画館経営をしていた東横映画が戦後映画製作に乗り出しマキノ雅弘の弟光雄が招かれ、京都の大映太秦撮影所の賃貸しから独立、痛快娯楽時代劇を制作して大手5社のトップランナーとなり、その後浮沈を繰り返しながら任侠映画、実録ヤクザ映画、大作映画を作り続けた「東映京都撮影所」の一代記である。
    登場する殆どの映画を実際に見ていないのが悔しいが、映画会社に限らず「あの時代」の勢いが感じられる。

  • マキノ雅弘時代からの東映京都の浮き沈みを描いた風雲録。時代劇の時代から、任侠映画へ。ヤクザ映画からピンク映画へ。たくましく時代とともに変容しながら守ってきたのは「映画」の意地だ。ホンモノのヤクザも出入りしていたり、出演したりしたという、その匂い立つような危うさが魅力的。これを機会に、「仁義なき闘い」を見てみたい!

  • 東映京都撮影所の遺伝子がいまの仮面ライダーや相棒、おみやさん等の人気TVシリーズにつながっているとは知らなかった。復員兵パワーってすごいなぁ。

  • マキノから岡田、そして今へ到る怒涛の東映血風録。単純な東映賛美ではなく、その栄枯盛衰を面白おかしい現場のエピソードと同時に、クールな俯瞰の視点も忘れない絶妙のバランスがすばらしい。今では考えられない撮影現場のドタバタ喜劇だけでなく、戦後メディア史を考察するヒントもぎっしりつまった必読書。

  • 東映京都撮影所の物語。他の本で読んだエピソードもあるが、躍動感のある筆致で面白い。

  • 熱い。映画の現場はチミドロ。

  • 全編を通してすごい熱量の本。リアル地獄でなぜ悪い。
    仁義なき戦いが観たくなった。

  • 「時代劇は死なず!」「天才勝新太郎」「仁義なき二本沈没」に続く日本映画の製作会社(撮影所)をめぐる物語。嗚呼、何とも濃くて熱い映画人たちよ。何というか、自分にはとても真似ができないが、だからこそ憧れる世界であるなあ。ところでマキノ光雄という人は、マキノ雅弘監督の自伝なんかで読むとどうもあまりよい風に描いてなかった(いわゆる出来ない人っぽい)と思うのだが、本書を読んで印象がガラリと変わったなあ。そしてタダのノスタルジーではなく、未来に繋がるラストの書き方にじーんと来る。

  • 知らない事があるのは幸せだとTBHのBOSSは言っていたが、知らない歴史や熱い人々と様々な思惑や時代の流れ、多くの人たちの人生が交差した場所をまったく知らない僕のような人間ですら読めばどんどんページが進んでいく。
    著者の想いと関わった人たちの生きた証としてこの本が世に出されるのには時間も大変なこともあっただろうと思う。でも、この本は残っていく書物の強さを持っている。

    魅力的な人たち、ダメな部分、生きていた想いが詰まった本。こういう本は映像関係だとか勉強するような人には教科書的に読ませた方がいいと場所や時代やテクノロジーは変わっていっても、伝わるものはここにはあるのだから。

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著者プロフィール

映画史・時代劇研究家。1977年東京都生まれ。日本大学大学院博士後期課程修了。映画界を彩った俳優とスタッフたちのインタビューをライフワークにしている。著書に『時代劇聖地巡礼』(ミシマ社)、『天才 勝新太郎』(文春新書)、『ドラマ「鬼平犯科帳」ができるまで』(文春文庫)、『すべての道は役者に通ず』(小学館)、『時代劇は死なず! 完全版』(河出文庫)、『大河ドラマの黄金時代』(NHK出版新書)、『忠臣蔵入門 映像で読み解く物語の魅力』(角川新書)など多数。

「2023年 『時代劇聖地巡礼 関西ディープ編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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