笑い三年、泣き三月。

著者 :
  • 文藝春秋
3.76
  • (27)
  • (79)
  • (51)
  • (5)
  • (2)
本棚登録 : 344
感想 : 76
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163808505

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 戦後の浅草を生きた人々の物語。

    それぞれの個性が光り、歯車が動き始めると、おもしろくなる。

    いい加減で、中途半端で、いまひとつパッとしないミリオン座。
    力の抜けたユーモラスな日々に、ふと戦争と死が顔を出す。

    おそろしいほどの自己肯定感の高さと、だれに対しても変わらぬまなざし。
    最初は滑稽なくらいだった善造の人のよさが、だんだんと浸透し、人情味あふれた世界に。

    特に世間ずれした武雄との交流には、グッときた。

    読後感もよかった。

  • 初め何の事か、文は読み易いが頭に入らない現象に陥った、ぐっと我慢し、急速に面白くなった。戦争の死線を乗り越えてきた人々の話。戦争で色々なものをなくした人の再生の物語、辛さがぐっとくる。

  •  「漂砂のうたう」で直木賞、1967年生まれ、木内昇(のぼり)「笑い三年、泣き三月。」、2011.9発行。昭和21年10月、岡部善造45歳、博多を出て30年、万歳芸を極めんと上野に到着。東京を案内するのは11歳の少年、田川武雄。彼らに復員兵の鹿内光秀、浅草ミリオン座支配人の杉浦保との出会い。更に、踊り子のふう子らとの語らい。戦争で傷ついた男女が再生に向かう「泣き」と「笑い」。踊り子の「シュミーズ」「ズロース」、そんな言葉からも戦後の一生懸命さとそこはかとないエロスが漂ってきます。

  • 読了⭐︎2.5
    「櫛挽道守」の作風から、追読
    戦後まもない浅草の混沌とした時代に変わらない善三さんの雰囲気に癒される

    私には盛り上げに欠けてしまうけど、ほんわかが沁みる

    #ブクログ

  • 善三の言葉がいちいち悲しい

  • 終戦直後を直視しながらも、一つ一つのパーツを重くなく切り取る。戦争を生き残ったキャストたちの寄り合い所帯パワーと、個々の未来を目指す執念は力強い。暗黒時代をまさに笑いあり、泣きありで蹴飛ばしてしまう群衆ムービーの様なお話♪。

  • 戦災孤児の武雄、旅芸人の善造、復員兵の光秀、ダンサーのふう子…戦後復興していく浅草で、赤の他人の四人が出会い、奇妙な同居生活を経て、またそれぞれの人生を生きていくまでの物語。

    猥雑でデタラメで貪欲でエネルギーに満ちた空気の中で、『生きのびる』ということは何よりも優先で当たり前。
    そんな中でも、暖かさや優しさを頑として持とうとする善造とふう子の姿に、ほんのり温められる。

  • 2015.10 やはり井上ひさしは天才だな、とあらためて思う。この本もそれなりだけれど。

  • 戦後の浅草での物語。

    それぞれに一生懸命に生きている人達の人間模様、主人公の人の良さ、最後は少し泣いてしまった。

  • 戦後の浅草で、赤の他人が寄り合い生きていくお話。
    決して明るい話ではないのに、すごく心が暖まりました。こういう生きることに一生懸命な話、やっぱりいいです!

著者プロフィール

1967年生まれ。出版社勤務を経て、2004年『新選組 幕末の青嵐』で小説家デビュー。08年『茗荷谷の猫』が話題となり、09年回早稲田大学坪内逍遙大賞奨励賞、11年『漂砂のうたう』で直木賞、14年『櫛挽道守』で中央公論文芸賞、柴田錬三郎賞、親鸞賞を受賞。他の小説作品に『浮世女房洒落日記』『笑い三年、泣き三月。』『ある男』『よこまち余話』、エッセイに『みちくさ道中』などがある。

「2019年 『光炎の人 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

木内昇の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×