三国志 第十一巻

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (367ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163816203

作品紹介・あらすじ

老いた呉の孫権は名臣と良臣をつぎつぎに抹殺し、自ら国力を弱めてしまう。魏では曹爽の独裁に対して司馬懿がひそかに反抗の機会を窺っていた…。権力をめぐる暗闘は続く。

感想・レビュー・書評

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  • 宮城谷三国志11巻。 有名な三国志主人公が今回で全て退陣する。次の世代がメインの主人公。しかし、魏は司馬懿の子の司馬師が全権を握り、呉では諸葛瑾の子諸葛恪が大将軍となり、実権を握り呉の政治を縦断する。その後最後にはやはり処断されてしまい、孫静の子の孫峻が実権を握り、また諸葛恪と同じ事をする始末。 結局このまま3国は司馬氏が魏で実権を握り3国統一までされる話が12巻で終わりなのかと推測。まあ、吉川三国志のような話ではなく、本当に三国志、三国の正史のような話ではあった。まあ、歴史の好きな人には結構面白い話だとは思う。自分もこういう話も好きです。

  • 宮城谷版三国志十一巻目。

    本巻にて三国志演義の主要登場人物が全員退場します。
    宮城谷さんの描きたいものは三国通史列伝であると思われます。
    ですので、本巻ではないですが演義では重きを置かれページを割かれるような赤壁の戦いなどもあっさり終わったりしたのだと思います。
    先巻までは魅力的だった司馬懿が本巻ではかなりあくが出てますし、孫権は老醜としか言いようのない状態で晩年を汚します。
    三国の滅亡に向けて百花繚乱というより、入れ代わり立ち代わる権力者の迷走、暴走が止まらなくなってきているようです。
    呉の滅亡前描かれるとすると、あと2,3巻というところかもしれません。

  • 孫権の老衰によって呉が混乱するところから始まる。
    孫権は幾人もの忠臣の諫言を退けるばかりでなく処刑まで課し、さらに息子二人を跡継ぎとして争わせたため自ら国力を分断、
    呉を衰亡の途に導いてしまう。
    孫権の死の寸前まで続いた苛烈な権力闘争に勝利した諸葛恪(諸葛亮の甥)も、そののち自ら墓穴を掘り、粛清の目に――。
    魏では司馬懿が権力を恣にする曹爽の目を欺くために詐病、政治から距離を取っていた。
    そして機が熟した時に司馬懿がとった行動は――。
    劉備、孔明、曹操なき後も続く政治と権力をめぐる戦い――。
    <amazon商品詳細より>

    三国志の英雄たちがすべて世を去った。
    呉は孫権が国力を著しく損なったうえで亡くなり、
    本巻では呉の崩壊を描いている。
    魏では司馬懿が大きな力を握り、司馬一族が繁栄する予兆が様々なところから見えてくる。

  • 劉備、曹操に続いて孫権も亡くなり
    この物語はどこへ向かうのだろう
    知らない人ばかりになってきた

  • 歴史は繰り返されるものだとしみじみ思う。

  • 駿馬も老いれば驢馬となれり。

  • 呉の孫権の老醜ぶり、後継を巡って陸遜を憤死させる!孫亮への後継後も諸葛恪の専制と暗殺など呉の運命は暗い。魏も曹叡が若くして死ぬと、後継の養子曹芳は年若く、工程を蔑ろにする曹爽と司馬懿の対立から、曹爽追放、そして司馬師の専制と暗殺計画など、いずれも暗雲が立ち込め、国力を弱めていく。司馬懿が耄碌を装い、曹爽を騙し、出兵させる場面は迫力に富むし、どれも陰謀が興味深く厭かせないが、人間の醜さを痛感する思いである。しかし、著者は兄弟仲をどれも良く描いているのは救いである。曹爽と曹羲、司馬師と司馬昭・・・。この大著の中で袁紹・袁術兄弟以外はいずれも協力し合う姿が印象に残った。

  • 二世、三世はどうにも小粒だ

  • 孫権、司馬仲達が静かに没する。魏、呉、蜀、どこの国も混濁。逸材が瞬く間に姿を消していく。登場人物はほとんど三国志を輝かせた人傑の子や孫ばかり。抜きんでる者がおら延々とドタバタ劇を繰り返している。当たり前の人間模様を虚飾なく描くとこうなってしまうのとすれば、あまりに侘しい。

  • 呉では陰険な跡継争いの後、孫権がなくなり孫亮が帝位に着き諸葛恪が実権を握るが、司馬懿の死に乗じて蜀の姜維と示し合わせて行なった魏との戦で大敗してしまう。
    その後、諸葛恪の専横を憂いた孫峻によって討たれてしまう。
    一方、司馬懿の後を継いで魏の実権を握った司馬師は、司馬氏の専横を案じ暗躍する者たちを着々と排除していく。

    魏と呉を見比べると、呉は後継争いで人材が払底した感じがあるが、魏の人材の層は厚い感じがします。
    才能はあってもそれ故に他を省みる事なく破滅した諸葛恪、丁奉に対する敗北から成長した司馬師を見ても、権力と才能と人使いのバランスの難しさを感じさせる巻でした。

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著者プロフィール

宮城谷昌光
1945(昭和20)年、愛知県蒲郡市生れ。早稲田大学文学部卒業。出版社勤務のかたわら立原正秋に師事し、創作を始める。91(平成3)年『天空の舟』で新田次郎文学賞、『夏姫春秋』で直木賞を受賞。94年、『重耳』で芸術選奨文部大臣賞、2000年、第三回司馬遼太郎賞、01年『子産』で吉川英治文学賞、04年菊池寛賞を受賞。同年『宮城谷昌光全集』全21巻(文藝春秋)が完結した。他の著書に『奇貨居くべし』『三国志』『草原の風』『劉邦』『呉越春秋 湖底の城』など多数。

「2022年 『馬上の星 小説・馬援伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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