とっぴんぱらりの風太郎

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (752ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163825007

感想・レビュー・書評

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  • (文庫版 上巻 p299〜230)
    ひさご様は何とか体勢を立て直し、足を伸ばした。確かに右足は鞠をすくい上げたが、よほど力をこめてしまったのか、今度はとんでもない方向に大きく跳ね上がった。
    そのまま、竹矢来を超えて、囲いの外まで鞠が飛び出ようとしたとき、
    「御免」
    という声とともに、俺の肩に何かがのった。
    驚いて顔を上げた正面に、黒弓の下帯が見えた。
    そのまま黒弓は高々と宙に躍り上がると、身体をねじりながら一回転し、ついでに鞠を蹴り返した。
    鞠の落下する場所に素早く常世が走り、無事右足で落ち着かせた。黒弓は赤い小袖を鮮やかに翻し、音もなく着地した。


    (文庫版 下巻p302)
    己の腰に刀を立てかけ、常世はたもとから一本の組み紐を取り出した。手早く髪を解いて後ろで結び直し、さらに腰の帯を解き始める。帯とともに脱ぎ捨てた着物の下からは忍び装束が現れた。常世、とひさご様の口から漏れた声に、もはや反論の言葉を返すことなく、
    「命に替えて、御子をお守りいたしまする」
    と低く発し、刀を手に取った。呆気に取られている大助と侍女の視線を受けながらら鯉口を切り、刃の具合を確かめる。俺と目が合うと薄く笑い、常世は刀を腰に差した。



    かっっっこいい!!「御免」の一言がめちゃくちゃかっこいい!!!
    アクションシーンが読んでて脳裏に映像が浮かぶくらい臨場感があって良い!

    常世の実は男でした暴露第2弾、、、
    今まで完璧に外見だけでなく声も変えていたからこそ大きなギャップを生む、地声の激カッコいい低音ボイスで激カッコいいセリフを言う今週のアンケートは常世が1位なベストシーン!!演出最高すぎかよ、、
    ここの大一番のためにアニメ化の際は柘植屋敷メンバーの時だけでも地声隠しとくか悩むね〜!でも多分隠さずやるかな〜!!

    ラスト主人公死んじゃった泣く
    でも残菊決戦は総力血みどろ泥試合ぶりが鬼滅の刃クライマックスみたいで、相変わらず映像がバッチリ浮かぶ文章と迫力でした。
    百市せつない黒弓生きてて………

  • 天下は豊臣から徳川へ──。重なりあった不運の末に、あえなく伊賀を追い出され、京でぼんくらな日々を送る“ニート忍者”風太郎。その人生は、1個のひょうたんとの出会いを経て、奇妙な方向へと転がっていく。やがて迫る、ふたたびの戦乱の気配。だましだまされ、斬っては斬られ、燃えさかる天守閣を目指す風太郎の前に現れたものとは──。
    (2013年)
    — 目次 —
    第一章
    第二章
    第三章
    第四章
    第五章
    第六章
    第七章
    第八章
    第九章
    終章

  • ちょっといまいちです。ニートの忍者という設定は面白そうなのだが、そこから面白くならない。

  • 最初は本の分厚さに圧倒されたが、意外とすいすい読み進み、読み終えた。時代劇仕立てだが、登場する人物は現代的な万城目ワールド。

  • 後半は良いが、それまで辛い。

  • ひょうたん観察日記を読んでたはずが、
    村上龍ばりの大爆発戦争?になっていきました。

    ラストシーンは、とても悲しいですが、
    でも、よかったね風太郎、と言ってあげたくなりました。
    読み終わった後、自分で勝手に
    「とっぴんぱらりのぷう。」
    を付け足してみたら、なんというかやはり昔話みたいになって、自分が平成の世の中まで飛んで帰ったような気持ちになりました。

  • 面白かったです、が、普通に面白かったのが残念。万城目本の面白さというと日常の中で起きる恐ろしく非日常なことを日常的に表現していくことによって、読み進むに従ってそれが”普通なんとちゃうの”的な錯覚を起こしていく面白さがツボなんですが。こちら舞台が非日常で豊家滅亡のくだりのニンジャ劇、そこでおこるなんかまさに今の時代の常識というかサイキーを持っているやたらと”普通”な男の話なので、いままでのものとは逆転型。ちゅうことで、単に個人的に今時の思想的なノリをもった忍者に違和感がありすぎてありすぎて中途半端なところで冷めてしまった。でもまぁ、おもろいことはおもろいです。ラストは私の好みではない。プリンセストヨトミをもっぺん読みたくなった。

  • 落ちこぼれ忍者の風太郎
    伊賀を追われ、京都でふらふらしているうちに
    ひょんなことから、ひょうたんのモノノケに出会う

    やがて否応なしに豊臣と徳川の戦いに巻き込まれてゆく

    ラストがあまりにもせつなくてせつなくて。
    いつもの万城目ワールドとはひと味違って
    歴史の波に飲み込まれる風太郎や周りの人間たちが
    哀しい。

    ひょうたん屋になってほしかったなぁ

    風太郎たちが命懸けで救った存在が
    やがて「プリンセス・トヨトミ」へ繋がっているのだな・・・

  • 普段私が苦手とするような、血なまぐさく残酷で暴力的なシーンも多いのに、引っ張られるように読んでしまった。登場人物がみんなとても哀れで、切なかった。

  • 耐えられないほど,冗長ではない.でもかなりしんどい.とくに冒頭の導入部.主要な登場人物がでてくるとこが,わかりにくい.7割をこえたら,あとは一気によめます.せめて,2割減らないだろか.長い話が好きな人はこまらないだろうけど.

著者プロフィール

万城目学(まきめ・まなぶ)
1976年生まれ、大阪府出身。京都大学法学部卒。
2006年、『鴨川ホルモー』(第4回ボイルドエッグズ新人賞受賞)でデビュー。主な作品に『鹿男あをによし』、『プリンセス・トヨトミ』、『偉大なる、しゅららぼん』などがあり、いずれも文学賞ノミネート、映像化等など、大きな話題を呼ぶ。また、エッセイ集に『ザ・万歩計』、『ザ・万遊記』、対談本に『ぼくらの近代建築デラックス!』がある。

「2013年 『ザ・万字固め』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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