老いの入舞い 麹町常楽庵月並の記

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163900766

作品紹介・あらすじ

【直木賞作家・松井今朝子の新感覚捕物帳スタート!】北町奉行所の定町廻り新人同心・間宮仁八郎が、上役から命じられたのは、麹町の平河天神社の近くにある「常楽庵」なる庵を月に一、二度立ち寄ること。詳しい理由は聞かされぬものの、庵主は元大奥の女中でかなりの要職に就き、一筋縄ではいかない人物らしい。おそるおそる地元の御用聞きの文六と常楽庵を訪れた仁八郎だったが、かつて大奥で「滝山様」と呼ばれ、現在は比丘尼姿となっている年齢不詳の庵主の志乃は、案外に仁八郎を気に入ってくれた。しかし、個性的な女中たちの鷹揚な態度や行儀見習いの若い町娘たちのかしましさに居心地悪く、仁八郎自身はなるべく関わりあいになるのはよそうと決めた矢先、常楽庵に出入りしていた祝言間近の娘・ちせが「巳待ち」の夜に行方不明に。事件解決のため奔走する仁八郎だが、庵主が何か事情を知る模様で――(『巳待ちの春』)!? ひとつめの事件に辟易した仁八郎だが、麹町界隈の見回りを受け持ってから、何か事が起きるたびに常楽庵が関わってくる。不審火で父を亡くしたと訴える娘・りつは常楽庵に行儀見習いに通っており(『怪火の始末』)、ある死骸を発見したのは常楽庵の女中・ゆい(『母親気質』)。挙句、奉公先から戻らなかった娘の水死体と赤坂田町の相対死となった男女の事件の真相を探るべく常楽庵の関係者たちはとんでもない行動に出て……(『老いの入舞』)。 知恵も胆力も底知れぬ元大奥の隠居と、若気ばかりはやるひよっこ同心の丁々発止のやりとりも楽しい謎解きは、新しい江戸の名コンビの誕生を予感させます。「入り舞い」とは舞い手が退場する寸前にもう一度舞台の真ん中に引き返して華やかに舞って見せるもの。それゆえ年寄りが最後に花を咲かせる姿は「老いの入舞い」と呼ばれるが、志乃の活躍は、まだまだ続きそうです。

感想・レビュー・書評

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  • 2022年10月2日
    大奥の知恵者は政治にも武芸にも長けている。
    なまじのおなごではない。
    真っ直ぐな心持ちを好み、利発な者に目をかける。
    こんな人に目をかけてほしい。

  • うーん、オススメbookに載ってたから再読してみたんだけどなあ。続編をたしか去年秋に読んで、うーんと思った記憶があるが、やはりなあ。
    だいたいがして仁八郎が好きになれないからな。まだ未熟で、文句が多い。主人公は志乃なんだろうけれど、頭脳派なのか武闘派なのかどっちつかずで、言うなれば“向こう見ずのお節介”の一面がどうしても。わくわくもハラハラもスッキリも足りないかんじ。私がまだ歳と経験値が足りないから良さがわかんないのかなあ。すまぬ。

  • 元大奥勤めの尼僧と奉行所の同心が事件を解決する連作短編集。
    若く気性のまっすぐな同心と、底知れない隠居の尼僧のコンビが面白い。
    入舞いとは舞い手が退場する前にもう一度舞台の中央で華やかに舞ってみせることで、年寄りが最後に花を咲かせることを「老いの入舞い」という。同心の目から見ると底知れない尼僧も、内面はわりと普通の人だったりして読んでいて共感できるのがいいのか悪いのか。
    庵に座ったまま事件を解決する安楽椅子探偵かと思いきや、表題作ではまさに入舞いというにふさわしい凄まじい活躍を見せて驚いた。
    続編も出ているようなので読んでみたい。

  • 若い同心仁八郎は上司の命で常楽庵の庵主志乃のご機嫌伺いに。ところが,訪れるたびに志乃に手玉に取られ,毎度腹を立てる羽目になる。一方,常楽庵では「怒った顔もかわいい」などと忍び笑う庵主と梅饅頭こと梅の井の主従。熊のような下女ゆいにも気に入られてからかわれたり,女3人に勝てない。しかも,次々起こる不可思議な事件の謎をあっさり庵主に解かれて… 
    最後はこの3人が大立ち回りまでして,仁八郎の出番なし。老尼に「遅い!」と一喝される情けなさ。

    結局、仁八郎と志乃の関係はよくわからなかったし、奉行との関係も謎のままけど、女3人+首切り浅右衛門と仁八郎の絶妙な関係,続きに期待したい。

  • 大奥帰りの庵主様が持ち込まれた問題を解決に導いていく。

    新刊が出るために再読しました。

  • うーん、なんかイマイチだった。
    松井さんなので期待してたのだが・・・・。

    いわゆる事件もの、なのだろうが、
    捕りもののどきどき感があまりない。
    謎ときをするのは新米同心である仁八朗と元奥女中の志乃になるんだが、
    この2人の関係性がもうちょっと相棒?的な感じとか
    なんとか、なんかこう、あればもっとおもしろかったように思う。
    互いに思うところはあるんだが、
    関係性としてなんら発展していかないところが、
    ちょっと物足りない感じ。
    事件にしても、解決のしようがスッキリしないものが多く、多分、後半の大立ち回りがクライマックスといえばそうなんだろうが、ネズミ一匹殺せばなんとでもなる、というようなその短絡的な様にうんざり。
    キッタハッタの楽しさが感じられない。
    あれ?なんか文句ばっかになっている???
    いや、でも途中で嫌になるってほどではなく、それなりに読めた。

  • これもシリーズになりそう。
    宇江佐さんより、今井さんは表現が回りくどい気がする。

  • 北町奉行・新米同心・間宮仁八郎と縄張りのベテラン岡っ引きが避ける謎の庵の主が絡む謎解き時代小説。巳待ちの春:弁財天を祈った翌日、祝言間近の娘が消えた。三百両の身代金を請求してきたが…。怪火の始末:火事で不運に命を落とした嘉村屋惣兵衛。一人娘のりつは火付けが原因と訴える…。他、母親気質・老いの入舞い。奉行に顔を出せと言われた大奥出身の尼僧が住む庵が、事件に絡み話を聞くため主の志乃に面会を求め気に入られる。町方の同心では手の届かない武家屋敷で起こった事件を大奥絡みで解決に導く。これからの展開に期待大。

  • 図書館で借りる。新聞で紹介されていて興味を持って借りたが、正直期待外れだった。話の展開自体は分かりやすいが、登場人物に好ましいと思える人がいなかった。
    単純に好みの問題だが、もうこの作者の作品は読まないと思う。

  • 【新米同心&庵主の江戸事件簿】若き定町廻り同心の仁八郎は、上役の命で訪れた先で元大奥勤めの年齢不詳の庵主と出逢う。その周囲で次々に怪しい事件が起こり――。

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著者プロフィール

1953年京都生まれ。小説家。早稲田大学大学院修士課程修了。松竹株式会社で歌舞伎の企画・制作に携わる。97年『東洲しゃらくさし』でデビュー。『仲蔵狂乱』で時代小説大賞、『吉原手引草』で直木賞受賞。

「2018年 『作家と楽しむ古典 好色一代男 曾根崎心中 菅原伝授手習鑑 仮名手本忠臣蔵 春色梅児誉美』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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