まったなし まんまことシリーズ 5

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 69
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  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163902715

作品紹介・あらすじ

NHK木曜時代劇「まんまこと」のシリーズ最新作! 江戸町名主の跡取り息子・麻之助が、幼なじみで町名主を継いでいる色男・清十郎と、堅物の同心・吉五郎とともに、さまざまな謎ともめ事の解決に挑む、大好評連作短篇シリーズの第5弾! 今回の密かなキーワードは実は「女難」。独身で嫁取りの話がひきもきらない清十郎ですが、いったいその理由は? 未だ妻を亡くした悲しみが癒えない麻之介、養子に入った家で年齢の離れた許婚のいる吉五郎、そして彼らの親友で大金持ちの金貸し丸三とその妾のお虎。いずれも清十郎の運命の人が現れることを願っているが、様々な障害や思わぬ事件に巻きこまれ……。

感想・レビュー・書評

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  • 人の縁というのはどこでどうつながるのか、どこで切れてしまうのか、不思議だと感じた。

  • 「まったなし」
    町名主の高橋家は多忙を極め,麻之助には父から次々と仕事が振られていた,その手伝いとして別の町の町名主西松家から手代の辰平が使わされてきていた。西松家では若い哲五郎が後を継いだばかりで,しかも祭りのための寄進が例年より集まりが悪くこのままでは祭りが執り行えない事態になるということで高橋家に助けを求めてきて麻之助の父はそちらにかかりきりなのである。麻之助に回された仕事の中に,扇屋吉田屋の長女おときに狐憑きだと噂を立てられて困っているというものがあった。そしてこの件の調べを進めるうちに,西松家の寄進不足の原因も明らかになる。
    「子犬と嫁と小火」
    大工の吉蔵棟梁の娘お松がいなくなった子犬を探してほしいと麻之助に頼みに来る。しかも最近は天狗が子犬や子猫を攫っていくという噂があって,他にも3匹が行方不明だという。一方で町では小火騒ぎが続いている。一見無関係なようなこの2つの事件が調査を進めるうちに意外なつながりを見せる。
    「運命の出会い」
    江戸の町に麻疹に似た流行病が広まり多くの死者を出した。そのせいで町名主の仕事も増え,麻之助も清十郎も病人の間を走り回っていたが,その中で自分たちも病を拾ってしまう。その二人が遅い刻限に町を歩いていると,提灯も持たずに道に迷っている竹之助という若者に出会う。そしてすぐ後,少し前まで竹之介の道案内をしていた大江という怪しげな男とも出会う。そしてそろそろ家に帰ろうとしていると,何処からともなくお由有の声が聞こえたり,覚えの有る独特の香りがしたりする。麻之助は段々現実の世界でないことに気付き始める。
    ちょっとオカルトチックな話。
    「親には向かぬ」
    質屋の明松屋が病気になり,身寄りがない中,幼い息子のことを心配して,麻之助に頼る。麻之助は子供を,丸三に預けることにする。もちろん丸三に子供の面倒など見られないから妾のお虎に任せられる。そこに与一という剣呑な男が現れる。与一は明松屋の実の兄で,何十年か前,悪い連中と付き合い,家の金を根こそぎ奪って逃げたのだ。そのせいで,明松屋は立ち行かなくなり先代は与一との縁を切る。そしてまもなく先代も姉もこの世を去る。そんな与一が弟の病気を聞き,すべてを乗っ取るつもりで戻ってきたのだ。麻之助は与一のことを既に承知の上で,だからこそ丸三に頼ったのだ。しかし与一は丸三に怯むことなく,弟とその息子の身柄を確保しようと動き,そのついでにお虎を誘拐までする。これに丸三が怒り心頭,麻之助たちの前では見せたことのない怖い一面を見せ与一に徹底抗戦する。
    「縁、三つ」
    麻之助は父から見に覚えのない裁定を勝手にしたと叱られる。しかしその裁定は麻之助ではなく,新任の書役正吾が勝手にやったことだった。そんなことちょっと聞けばすぐわかるよねぇ。宗右衛門さんよ。
    裁定の対象となった揉め事とは,大工の棟梁の娘・お真知と棟梁のもとで働いている長治郎という若い大工の婚礼に関わる話だった。長治郎は元々仕立物を請け負っているおしんと仲が良かった。しかしお真知との婚礼が決まると,お真知は白無垢の仕立てをおしんに頼んだ。仕立て上がった後,お真知が白無垢にひどい染みがついているとクレームを付けたのだ。おしんには心当たりがないが正吾は自分がつけていた天気の記録で受け渡しの日に雨が降っていなかったことから,お真知の言い分を通してしまったのだ。高額な白無垢の弁償を求められたおしんの側が怒って,高橋家にやってきたのだった。

    「昔から来た文」
    前の話の最後で,お安を嫁にすることで腹をくくった
    清十郎だったが周りの期待に反して話が全く進まなかった。そこで麻之助がお安に事情を聞いてみると,お安のもとに女の字で嫌がらせの手紙がたくさん来ているという。清十郎がかつて付き合っていた女からと思われ,自信を喪失したお安は,縁組を受けるという返事ができなくなってしまったのであった。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    町名主の跡取り・麻之助に「真真事」は見抜けるか!祭りのための寄進が今年に限って集まらないのは?(「まったなし」)。消えた子犬が発見された場所と火事の因果関係は?(「子犬と嫁と小火」)。大江戸とは思えぬ見知らぬ景色から帰る方法は?(「運命の出会い」)。幼い子供を悪名高い高利貸しに預けたのは一体なぜ?(「親には向かぬ」)。婚礼用の白無垢に染みを付けてしまったのは誰?(「縁、三つ」)。親友・清十郎の縁談が一向に進まなくなった理由は?(「昔から来た文」)。

    令和4年6月22日~25日

  • 2021年1月17日

    ドタバタいっぱい、揉め事いっぱい。
    好きなシリーズ。

  • 子犬や子猫を悪さに使うガキなんざ、きつい罰与えなきゃいかんよ!所払いなんて甘過ぎる!( •̀ㅁ•́;) あと、性根の賎しい奴が周りを不幸にするのは許せん!そういう奴のとこに行きなさいよ、疫神はさ〜(´-﹏-`;)
    そして今回、清十郎の縁談絡みで大騒ぎだわ。やっと大切な人が見つかって良かったね。

  • まんまことシリーズ第5巻。麻之助も、ときぐすりが効いたのか、だいぶ通常運転できるようになり、今回は清十郎の嫁とり話に。丸三の本領発揮も格好良かった。しかし、後味がいいんだか悪いんだかという話もあった。
    いまいち煮え切らない清十郎だったが、最後の台詞で全部取り戻した。さすがモテ男は違う。お由有絡みが気になるところだが、とりあえずこれで全員一段落したので、あとは麻之助の再婚話なかなぁ。

  • 「しゃばけ」シリーズから読んでいるけど、妖怪も出ない割に、人間の恋愛に絡んで、町名主の跡取り息子の浅之助に真真事(まんまんごと)が、見抜けることが出来るのか、、と、思いながら、今回も、畠中恵氏の本にどっぷりと、はまっている。

    最初から、登場人物の相関図が、なんとも言えないほのぼのとした人相画が、読みながらも、目に浮かんできた。
    6話からなるのだが、、、たいした事件ではないので、浅之介が、清十郎と共に、解決(?)へと、事を運ぶのだが、、、
    少し、恋の話もあって、なかなか自分の思うようにいかないのも面白かった。
    「運命の出会い」の挿絵に、提灯を持った浅之介の絵の足元が、不自然で、なぜか向こう岸へ誘っているように思えたのは、夢の続きなのか???と、思いながら、アッと言う間に読み終えてしまった。

  •  清十郎の縁談について。町名主の娘でしっかり者で聡明なお安、丸三の妾でその名に負けず威勢の良いお虎などが新たに登場。(新たにだと思うんだけど・・・)

  • 清十郎まつり♪
    お安さん、地味ですが本当に賢い!
    これからも活躍するのでしょう、楽しみです。
    そして丸三さんのお妾のお虎さん、初登場!
    これまた印象に残る姐さんです♪
    おばさんだけどかっこいいなぁと思いました。
    事件は、現代に繋がるものもありました。
    思い込み過ぎ・・・付け火・・・人の心理って、
    いつの世も複雑です。

  • 初出 2013〜15「オール讀物」連続6話

    お気楽な江戸の町名主の跡取り麻之助と町名主を継いだ清十郎が、みんなの協力で難題をなんとか解決するいつものお話の4作目で、清十郎の嫁取り話が基調。

    少年たちの放火事件や病気の弟の身代を狙った誘拐事件も鮮やかに解決。丸三の妾で気の強い元芸者のお虎という魅力的なキャラクターも登場する。なんと疫神に三途の川を渡らされそうにもなる。

    お気楽でお人好したちのほんわかしている物語だが、悲しさを知っていて優しさに溢れているのが魅力的なシリーズ。

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著者プロフィール

高知県生まれ。名古屋造形芸術短期大学卒。2001年『しゃばけ』で第13回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞し、小説家デビュー。「しゃばけ」シリーズは、新しい妖怪時代小説として読者の支持を受け、一大人気シリーズに。16年、同シリーズで第1回吉川英治文庫賞を受賞。他に『つくもがみ笑います』『かわたれどき』『てんげんつう』『わが殿』などがある。

「2023年 『あしたの華姫』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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