FIFA 腐敗の全内幕

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163903637

作品紹介・あらすじ

FIFA会長はスイスの本部から故国に帰国するたびに、金の延べ棒をブリーフケースにいれて持ち帰っていた。税関も外交パスポートを持つ彼をチェックできない。資金洗浄、軍事独裁政権との癒着、韓国戦他での八百長、W杯開催地選挙、会長選挙で飛び交う実弾、放送権、マーケティング権をめぐる賄賂。「今回のFIFA幹部一斉逮捕の端緒をつくりブラッターを辞任に追い込んだ男」(ワシントン・ポスト紙)一匹狼の老調査報道記者アンドリュー・ジェニングスが10年に及ぶ執念の取材のすべてを記す。序 章 逮捕世界を震撼させたFIFA幹部の逮捕劇は、三年前に私がFBIに預けた機密資料がきっかけだった。私に脱税をつきつけられた米国の理事は、おとり捜査を承諾したのだ第一章 リオのゴッドファーザー違法宝くじで一大犯罪帝国を築いたリオのドン、カストル・アンドラーデ。彼のヤミ献金帳簿には、大統領から判事、警察官そして、FIFA前会長アヴェランジェの名前が。第二章 爆殺事件リオデジャネイロの顔役だったカストロの死後、覇権をめぐって血で血を洗う争いがおこる。一方で二〇〇〇年代世界各地のサッカー協会は腐敗の温床となった第三章 FIFA会長の黄金入りアタッシュケースチューリッヒからの帰りの便、アヴェランジェのアタッシュケースにはいつも金の延べ棒がつめこまれていた。FIFA会長として外交官特権を持つ彼の鞄は税関も調べない第四章 秘密賄賂リストを入手する〇一年に経営破綻したイベント会社のISL。その89年から12年間の秘密の贈賄リストを私は入手した。アヴェランジェとその義理の息子は賄賂をいかにむしりとったか第五章 ナイキとの片務契約ブラジルサッカー連盟の会長であるテイシェイラの錬金術はナイキとの片務契約を結んだことから始まる。複雑な金融操作でマネーを洗浄、その金は議会の政治家へ第六章 ドイツW杯決定のスキャンダル06年のW杯は南アへ、そう耳打ちしていたブラッターだったが。結果は、オセアニアサッカー連盟の棄権による一票差でドイツに決定。裏で二五万ドルの現金が動いていた第七章 W杯チケット闇市場W杯チケットは公式には、FIFA公認のチケットしか流通しないことになっている。しかし、実際には四割が非公式ルートで流れる。その闇市場で甘い汁を吸う幹部たち第八章 副会長の錬金術中南米の票をとりまとめるためにプラッターが重用したトリニダードのジャック・ワーナーは、紛らわしい名前の会社を親族でつくり、そこにFIFAの金を振り込ませた第九章 アメリカ理事はなぜ太っているのか後にFBIのおとり捜査に協力することになるFIFA理事のチャック・ブレイザーはアメックスのブラックカードの持ち主だった。美食、有名人好きブレイザーの素顔とは第十章 副会長ジャック・ワーナーを切るトリニダードのワーナーとアメリカのブレイザーが票を集め、アヴェランジェとブラッターは引きかえに利権を与える。が、ワーナーはやりすぎた。ワーナー切りが始まる第十一章 スイス当局の捜査90年代後半から二〇〇〇年代始め、ISLの倒産を契機としてスイスの捜査当局はFIFAの汚職に挑んだ。検察は汚職捜査のベテラン、トマス・ヒルドブラントを投入第十二章 法廷で暴かれた会長ブラッターの関与ISL破綻を契機とする賄賂捜査の裁判がツークで行われた。日本の広告代理店の関与とともに、ブラッター関与の決定的証言が、ISLのCEOから飛び出すことになる。第十三章 結審スイスでの裁判は、二〇一〇年に結審する。アヴェランジェとテイシェイラは、判決を非公開にするかわりに金を弁済することにし、FIFAは捜査費用を肩代わりする第十四章 極秘捜査報告書の公開裁判の結果は非公開。前会長アヴェランジェとティシェイラが賄賂を受け取ったことも、公表されていなかった。しかし、私たちは、裁判所に文書開示の申し立てをする第十五章 アヴェランジェの追放「パノラマ」での賄賂リスト公開後、IOCは倫理委員会を組織し、アヴェランジェの追放を決める。一方のFIFAは、スイス判所での判決が表に出ることを全力で阻止しようと第十六章 軍事政権の虐殺に関与テイシェイラに代わってブラジルサッカー連盟の会長の座に座ったホセ・マリア・マリン。が彼には、軍事政権時代のジャーナリスト虐殺への関与があった。第十七章 FIFA「捜査局」の実態ブラッターは、FIFAでの腐敗を一掃するために、ニューヨークの凄腕法律家を雇ったと宣言。が、その弁護士ガルシアの調査は、ライバル追い落としのために使われる第十八章 倫理コードを書き換えるアヴェランジェのもとに賄賂が届けられた事実をブラッターは知っていた。それが確認されたにもかかわらずブラッターが追放されないのは、FIFAの倫理規定のためだ第十九章 ブラッター、家族の墓を移すスイスにあるブラッター家の墓は実は、FIFA疑惑を追及したヒルドブラント検事の家の墓のすぐそばにあった。そのことを知ったブラッターは、どうしただろうか?第二十章 靴を投げつける記者ブラッターが主導権をもった最後の総会がFBIの捜査が続くなか一四年六月にブラジルで開かれる。腐敗の帝国の滅びの予感のなか、新時代の息吹を感じる編集部解説

感想・レビュー・書評

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  • 金が動くところに上手く入り込む輩は多いんだろうな...
    かなりびっくりな事実も多々。

  • FIFAの金を巡るスキャンダルが、これでもかと続く。あまりの醜さに吐き気さえ覚える。
    FIFAの幹部が摘発されたのは今年の5月のことであったが、それまでもBBCなどでは報道がなされていたようだ。なぜ、ここまで放置されていたのか。
    著者はこれまでもIOCのスキャンダルを報道してきたようだ。爽やかな善のイメージを振りまくスポーツの裏側に戦慄する。

  • 正直書籍としては読みにくいし、翻訳としてこれでいいんだっけ?という部分もありますが、内容は非常に生々しいFIFAの汚職に迫った内容です。このリポートが元になりFBIが動き、ブラッター以下が窮地に追いやられ、でもIOCサイドではバッハはいて、リオ五輪が開催され、ロシアW杯もカタールもと…。

    FIFAゴールプロジェクトと票の関係、バイロンとW杯チケット。リヒテンシュタインやスイスの銀行、カリブ海のタックスヘイブンの国。最高の弁護士と組織全体にはびこる腐敗。リオのマフィアたち。「僕、何の為に仕事してるのかな…」とつくづく思うし、クラブW杯の時期になるとコンラッド(電通の横のビル!!)にFIFAの旗がはためいているのを知っていたりすると、もういろんなことが想像されますw スポーツビジネスに関わる人で読んでないとやばい一冊です(2015.12.20ごろ読了)

  • 資金洗浄、軍事独裁政権との癒着、韓国戦他での八百長…。幹部一斉逮捕の端緒をつくり、ブラッター会長を辞任に追い込んだ英調査報道記者が、15年に及ぶ執念の取材のすべてを記す。賄賂リストの写真も掲載。

    調査報道の手本のような力作だった。アヴェランジェ、ブラッターらがいかに長年FIFAを食い物にして私腹を肥やしてきたかがよくわかった。ついでにIOCも似たようなものだということも。またさんざん言われてきたことだが、日韓W杯における韓国戦絡みの八百長のこともしっかり書かれていた。
    (B)

  • 腐敗のフルコースに途中からお腹いっぱいに…。FIFAで汚職に絡んで大量逮捕があったのは記憶してたけど、ここまでとは…。細かい汚職の手口は難しいしそもそも読みやすいとは言えず飛ばし気味に読んだけど、FIFAのドス黒さはよく分かった。
    子供ながらに昔思ってた、アベランジェっていかにも悪者みたいな顔してるなーとか、ブラッターで絶対裏で悪いことしてそーだな〜とかの印象論は外れていなかったのか…笑
    でもこの2人は逮捕されていないし、W杯はカタールで開かれるし、まだまだ闇は深そう。
    見えてるものじゃわからないのな、世界は。

  • 2018/5/31

  • これはヒドイ!って、本でなく、ここに書かれている出来事。我々が愛するサッカーの総本山であるFIFAがここまで腐敗しているとは。こうした事実を丹念に調べ上げた著者の執念に敬服です。

  • 暴露事項が切れ切れに述べられているだけで読むに耐えず.
    翻訳の問題ではないと思う.半分でやめた.

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