玉依姫 八咫烏シリーズ 5

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  • / ISBN・EAN: 9784163904894

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  • 978-4-16-390489-4
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    玉依姫 (たまよりひめ)
    八咫烏シリーズ 1章5巻

    2016/07/20. 第1刷

    著者:阿部 智里 (あべ ちさと)
    発行所:株式会社 文藝春秋

  • 現代側の話だった。
    最終的には、神々の気まぐれの結末、という感じ。

  • 八咫烏シリーズの5作目

    今回は八咫烏の世界ではなく、その山内が存在する理由となる山神と人間界の話。

    色々な伏線を最後に回収していくのだが、最後が禅問答みたいな終わり方で、少しモヤモヤした読後感。

    人が神様を祀る意味だとか、色々考えるところがありました。

  • こんな展開も、あるのだと感動しました。あと一巻で、一部終了、ハッピーエンドだと良いなあ、、、

  • 夏休み中をいいことに、夜更かしで一気読み。八咫烏シリーズ5作目も、今までと描かれる世界は違えど楽しめた。いつもクールな上から目線の若宮が、仕える立場として描かれているのも新鮮味があったが、やはり脇役扱いなので、八咫烏シリーズ外伝…といった感は否めない。子供はいつの時代も、神であれ人であれ、親からの無償の愛を受け独り立ち出来るとしたら、最近の未成熟な世の中は、無償の愛を知らぬ親の責任なのかな…と思ったりもして。

  • 人間界との繋がりが分かったし、今まで謎だったことがどんどん明らかになっていってとても面白かった。
    実在する伝記などに基づいていてワクワクした。
    若宮も記憶が色々戻って良かった。今後どうなるんだろう、志帆や椿は今後も関係してくるのかなぁ、、
    雪哉が恋しい!

  • 文章が好き
    作品全体の雰囲気が好き ◯
    内容結末に納得がいった ◯
    また読みたい
    その他 ◯

    謎そのままで、余韻を楽しむのもいいけど、
    謎をきちんと明かしてくれる作品もいい。

  • ・伯父の住む山内村に行くといきなり人身御供にされてしまった志帆。
    ・お馴染みの「奈月彦」という名の青年も出てくる。だが今回の奈月彦はどうも頼りない。雪哉は出なさそうか? 地味な役割やけど「ますほ」も出るよ。
    ・ずっと嫌がっていた志帆だがあるときターニングポイントを迎える。
    ・食い違う志帆と祖母の思い。大天狗と八咫烏の主の考えは志帆より真実を見据えているのか? どこまでが「山の意志」なのか。
    ・かつて何があったのか? 何が山神をそうさせた? 山神の名は? 英雄の存在は? 玉依姫システムとは? いくつものミステリが重なっていて推理はほぼ不可能かな。

    ▼八咫烏についての簡単なメモ(一巻から累積…データ消滅により欠損あり)

    【明留/あける】西家の次男坊。子どもの頃から奈月彦の側近になりたいと考えていた。勁草院で雪哉の同期となる。宮烏らしく身分を重視する考え方を持つ。「空棺の烏」で最も成長した人物と言える。このシリーズはアニメ化争奪戦がおこなわれてるんじゃないかと思われるけど、キャラに当てたい声優さんも考えてみた。明留は櫻井孝宏さんあたりがいいかな?
    【あせび】東家(とうけ)二の姫。奈月彦の嫁候補の一人。一の姫双葉に代わり登殿する。仮名を持っていなかったので大紫の御前が「あせび」と名付けたがあまりいい意味ではないらしい。宮中のことをほとんど知らない箱入り娘で天然系。権力闘争には興味なし。長琴(なごん)の演奏が得意。イメージカラーは桜のピンク。声優当てるなら花澤香菜さんでしょう。
    【市柳/いちりゅう】勁草院で修行中。雪哉とかかわりあったっけ? なんかひどい目にあったらしい。
    【羽林天軍】中央鎮護のための軍隊。
    【景樹/えいじゅ】黄烏(博陸候)だった人物。先代の真の金烏だった那律彦が消息不明になったとき一緒についていき景樹のみ戻ってきた。裏切って見捨ててきたとも考えられないではないがどんな人物だったのかは不明。のちに黄烏にまで登り詰めた。南家出身でここから南家の繁栄が続く。
    【英雄】「玉依姫」で、山神と大猿を倒してやると言う謎の少年。
    【大猿】猿のボス? 山神につかえているのは八咫烏と同じ。名月彦と同様、人間の言葉を解する。
    【大紫の御前】現在の王さまの正室。自分の子である長束が奈月彦に追い落とされ「前<日嗣の御子」となったのでおもろないらしいし、心は今だ南家の人って感じ。声優当てるなら三石琴乃さんあたりがおもろそうな気がする。
    【珂杖/かじょう】勁草院の学生たちに預けられる竹刀。学生証みたいなものでもあってこれを紛失したら退学となる。
    【葛野志帆/かどの・しほ】→志帆
    【華信】勁草院の実技を担当する厳しい教官。
    【一巳/かずみ】白珠のとこで庭師をしていた。登場は少ないけど声優当てるなら中村悠一さん。まあ「劣等生」つながりで白珠に合わせてみました。実際にアニメ化するならもっと相応しい役があるでしょう。
    【神】十分に祀られなければ祟るのが本質。巫女が荒ぶる神をなだめる。《この山の神は、名前によってラベリングされた容れ物を乗り換えて生き続ける、記憶を持った一つの自我だ》「玉依姫」p.213
    【金烏】すべてをクリアしてくれる存在。金烏が誕生したときは世が乱れるとも言われているが、世が乱れそうになったときそれを正すために金烏が登場するという認識のほうが正しそうだ。真の金烏が不在の間政治を執り行うのが金烏代、神事を執り行うのが白烏。現在、奈月彦が真の金烏と言われている。
    【禁門】宮中にあり真の金烏が誕生したら開き死んだら閉じられる門。その向こうには神域があるとされているが異界ということになるのだろうか。
    【空棺/くうかん】詳しくはネタバレの危険もあるので書かないが金烏の存在にかかわるものとだけ。
    【勁草院】「空棺の烏」の主舞台。いわば王の近衛兵を育てる学校。とても厳しく卒業も大変。初年度の学生を「とうじ」、二年目を「草牙」、三年目の最上級生を「貞木」と呼ぶ。三年間で「風試」「霜試」「嵐試」の三つの試験に合格せねばならない。「六芸四術二学」を学ぶ。礼楽、弓射、御法、書画、算法が五科目で六芸。兵術、剣術、体術、器術が四術。医薬、明法が二学。
    【黄烏】博陸候とも呼ぶ。朝廷における最高の称号。常にいるわけではなく宗主の統治に不安があるときなどに政治を行う。常に、歴史に名を残すほどの大官。
    【小猿】友好的かもしれない猿。
    【猿】八咫烏の敵とされている。洞窟から出てきて烏を殺し食らう。そうでない猿もいるとのことだが? 人界と八咫烏の世界の間にいるような感じもある。いったいどういう位置づけの存在であるのか不明。
    【彩香/さやか】志帆の伯父の娘。
    【山内村/さんだいむら】山内祭が行われ志帆はそれを見にきた。龍ヶ沼のほとりにあり、龍ヶ沼は龍が住むと言われている。また、龍は本来そばの荒山(あれやま)の山神でもあるとされている。和洋の豪邸が数多くある。
    【志帆/しほ】葛野志帆(かどの・しほ)。人の世界の少女。大沼口に行くつもりで大沼淵に行ってしまった。伯父は「山内村(さんだいむら)」に暮らしている。あるときいきなり山神への人身御供にされた。嫌がり嘆き悲しんでいたが、実は相当タフな精神力を持っていたようだ。祖母の久乃によると《志帆はただのお人好しではない。度を越した、異常なまでのお人好しなのだ。》「玉依姫」p.180
    【修一】志帆の伯父。亡くなった母の兄だが没交渉だった。母(志帆の祖母)とは互いに嫌いあっているようだ。
    【修吾】志帆の伯父の息子。
    【潤天】→谷村潤(たにむら・まさる)
    【白珠/しらたま】北家三の姫。日嗣の御子の嫁候補の一人。冬殿に住まう。光沢のある長い黒髪に信じられないほど白い肌。恐ろしいまでに選ばれることに執着している。おっとりしているあせびにあきれた。イメージカラーは白。声優当てるなら早見沙織さん。このキャラは多数決取ったらこの声優さんになりそう。
    【神祇大副/じんぎたいふ】ここ数年体調を崩している白烏の代理になっている。
    【翠寛】山内衆で今最も用兵に優れている細くて神経質そうな男。勁草院での最初の「兵術」の演習で雪哉を圧倒した。
    【すみ】最初の章に登場した子どもの頃の日嗣の御子と思われる人物の友人。「澄尾」という日嗣の御子の側近かと思われたが読み進めてみるとどうも違う人物の感じ。
    【澄尾】奈月彦専属の護衛。
    【西家】現在の王さまの側室の出身家。職人の西。
    【清賢】勁草院で座学系を担当する教官。隻腕。礼楽では近衛の任は解かれているが生徒に力の使い方を教える。
    【谷村潤/たにむら・まさる】龍ヶ沼のほとりに別荘を持っている男。正体は大天狗の潤天。
    【玉依姫】乳母として山神を育てる女。元々は産んで育てるまでが任務だったようだ。今の山神を産んだ玉依姫は裏切って喰われたという話。新たに選ばれたのが志帆。有名な「玉依姫」としては神武天皇の母の玉依姫尊、大物主神(おおものぬしのかみ)の妻の活玉依姫、賀茂別雷神(かもわけいかずちのかみ)の母の賀茂の玉依姫などがある。
    【千早】雪哉と勁草院で同期の中ではとても強い。
    【椿】→山神
    【転身】人から烏に、烏から人に変身すること。変身ではなく転身。日が暮れると転身能力がなくなるのでそのとき人なら翌朝まで人、烏なら翌朝まで烏でいるしかなくなってしまう。ただし真の金烏だけは夜でも転身可能。また、三本目の脚を切り落とされると生涯人に戻れなくなり「斬足」という死刑、山内追放の次に重い刑罰もある。
    【東家】あせびの父は南と西のどちらにもつかないつもりだったようだが自然に南についたような形になった。ただ、東家は娘を日嗣の御子の嫁にし権力を得ようとはハナからしていなさそうな余裕がある。楽人の東。
    【撫子】南家の姫。
    【長束/なづか】奈月彦の実兄。性格、能力ともに秀でており次の金烏代になる予定だったが真の金烏である奈月彦が現れたのでそれはかなわなくなった。彼を中心に宗家のお家騒動が起こりそうな雰囲気もあるが当人は弟を立てようとしている。声優当てるなら端正な声が欲しいので山寺宏一さんあたりかな?
    【奈月彦】現在の金烏。宗家の次男。「若宮」とも「日嗣の御子」とも呼ばれる。うつけの青瓢箪とか言う人もいる。飄々としつつクールなリアリストでもあるという感じで登場したがだんだん優しい人物になっていってるような気がする。人間の言葉を解する。声優当てるなら福山潤さんかなあ。宮野真守さんあたりも考えたのだけど。
    【那律彦】先代の金烏。現在の金烏代の四代前の宗主。禁門の向こうに行き消息不明となった。死んだとされているがどうかはわからない。猿を操っている敵だと考えることもできないではないが? さすがにそれでは救いがないか。
    【南家】現在の正室である大紫の御前の出身家。天狗との交易権を独占するなど特権をほしいままにしている。商人の南。
    【白烏】神官の長。奈月彦を金烏と認めたが後に判断を保留に変更。
    【浜木綿】南家一の姫。日嗣の御子の嫁候補の一人。夏殿に住まう。気が強そう。冷静でけっこうフランクで蓮っ葉な物言いをする。権力闘争に積極的(少なくともそう見せようとしている)。背が高くすらりとした肢体で豊満。イメージカラーは水の青。声優当てるなら沢城みゆきさん。
    【治真/はるま】勁草院で雪哉の二級下の青年。雪哉を尊敬している。
    【久乃/ひさの】志帆の祖母。
    【日嗣の御子】→奈月彦
    【藤波】内親王。奈月彦の実妹。「烏に単は似合わない」では十二歳を越えたばかり。あせびとは親しく「おねえさま」と呼ぶ。
    【鬼灯祭】花街の祭。花街に慣れているはずの明留ですら見惚れるほど幻想的で美しい。
    【北家】西家についた。最大武力を持つ。武人の北。雪哉は北家のトップ継承権第四位。
    【真赭の薄/ますほのすすき】西家一の姫。日嗣の御子の嫁候補の間秋殿に住まう。色っぽくて別格に美しいが自分の美貌を鼻にかけているところもある。赤い髪。浜木綿によると男たらしの家。独善的で高慢で強烈で他者を疲れさせてしまうタイプ。現在の日嗣の御子と藤波は西家出身の側室が生んだ子なので縁戚関係がある。プライドが高く駄々っ子的なとこはあるが悪人ではない。権力闘争ではなく恋のために嫁候補として参戦。イメージカラーは赤。声優を当てるなら悠木碧さん。とりあえず第一印象で。
    【モモ】一度人間界に逃げ帰った志帆が連れてきた仔犬。人懐っこくて山神にも猿にも近寄っていくが猿は犬が苦手のようだ。ここに出てくる猿は昔話の狒々なのかもしれない。
    【山神】山内村で祀られている神。数十年に一度のスパンで肉体を乗り換える必要がありそのときは赤ん坊から育ってゆく。先代の人身御供が育児拒否をしたので育つことができず新たな人身御供として志帆が選ばれた。後に志帆は山神のことを自分が一番好きな花である「椿」と呼ぶようになった。
    【山内衆】羽林天軍とは異なり宗家一族を護るための軍。いわば王の近衛隊。権限も大きい。勁草院で育成する。
    【山の意志】山神のいる山では山神を育成するためのシステムが成立している。それによりそこにいる者たちのありようや意識を変えてしまうこともある。
    【結/ゆい】千早の妹。琵琶と唄をやっていて花街の鬼灯祭に駆り出された。目が見えない。
    【雪哉】全編通しての主人公とも言えそう。北家氷郷の郷長雪正の、ぼんくらとして有名な次男雪哉は心ならずも、うつけとして有名な日嗣の御子(金烏)である奈月彦の側仕えとして朝廷に入ることになってしまった。そっから彼の苦労が始まる。実は北家のトップ継承権の第四位に位置するけっこうな御曹司。勁草院に入ってから他者に何かを教えるのが信じられないほど下手だったとわかりショックを受けた。どうやら天才ゆえに自分の理解できることと他者の理解できることの差異がよくわかっていないようだ。当人以外からはけっこう胡散臭く見える。特に勁草院に入ってからはオタオタするところのまったくないふてぶてしさが目につく。声優当てるなら普通に考えたら梶裕貴さんかな? 昔なら山口勝平さんで決まりって感じやったけど。
    【裕美子】志帆の母。
    【龍ヶ沼】大沼とも呼ばれているようだ。
    【路近】目茶苦茶強い八咫烏。一対一なら猿に負けることもまずないだろう。知性派でもありあらゆることを独特な視点で見通し現実的な方法を取ることができるタイプ。長束の護衛であり忠誠を誓っているがコントロールの難しい男であり長束が思うような方向性になるかどうかはわからない。敵に回すとこれほど恐ろしい相手もいないだろうし味方につけることができたら頼りになるだろう。いずれにせよ大駒なのでその存在がキーになりうる。「ろこん」とも「みちちか」とも呼ぶようだ。声優当てるなら普通は大塚明夫さんあたりかな。あるいは「キングダム」の王騎っぽい位置付けでもあるので小山力也さんとか。

  • このシリーズの中で、1番すぐ読めたかも。

    今までのお話と違う角度からのお話で初めは少し戸惑いましたが、馴染みのメンバーも出てきて、そして奈月彦が色々思い出したようで何より。八咫烏や山内の成り立ちなども分かったので、これで完結への支度は整ったということかしら。

    それでも私は雪哉が恋しい!(←

    全部読み終えてから装丁を見ると良いですね。烏も猿もモモもいる。そして一面の椿。椿。椿。

    続編読まねば…。

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著者プロフィール

1991年群馬県生まれ。2012年早稲田大学文化構想学部在学中、史上最年少の20歳で松本清張賞受賞。デビュー作から続く「八咫烏シリーズ」は、松崎夏未氏による漫画化、中台翻訳など進行中。19年『発現』(NHK出版)刊行。

「2023年 『烏は主を選ばない(4)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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