- Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163909332
作品紹介・あらすじ
鬼母降臨ーー。あの衝撃のベストセラー「ファザーファッカー」。義父に犯される少女の視点から描かれた、筆者の自伝的作品から25年、同じテーマを、今度は娘を自分の男の魔手にゆだねる母親の視点から描く。昭和10年、九州のとある町で生まれた主人公・逸子は、ダンスホールで知り合った男と、得意なダンスで生きるべく、長崎に出る。ところが、過酷な現実生活に追われ、2人の娘を得るも、早々に男との結婚生活は破綻。ホステスとして働いていたキャバレーで知り合った新しい男との同棲生活に入るが、あらたな生活にふたたび過酷な試練が襲う。長女・静子の成長とともに、男の視線と関心は逸子から離れていく。異常な熱意を静子に寄せる男への愛情なのか嫉妬なのか、逸子は娘を男の毒牙にゆだねてしまう。ーー母はなぜあんなことをしたのか。そのときの母の年をはるかに越え、自身が母となったからこそ、みえてくるものとは。内田春菊が描く、自身の生をとらえなおす凄絶かつ渾身の一作!
感想・レビュー・書評
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春菊さんは昔からファンなので、内容はある程度知っていたのですが、より詳しく描かれていて面白く一気に読めました。お母さんの心情を想像し、理解しようと努力されてるのかな?ご自身の生まれた意味やなぜこんな目にあったのかを整理して納得されたいのかな?…と思いながら読みました。最後は(知っていたエピソードなのですが)ちょっとゾッとしました。
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『ファザーファッカー』を、高校生ぐらいの頃に読みものすごく衝撃を受けたので、話の内容はある程度わかって読み進めた…が、やはりつらく、読後の重苦しい気持ちはあまり変わらなかった。
ただ事実を、当時助けてくれなかった(どころか共犯者でもあった)母親の視点から書くことは、著者自身が回復するためにも良かったんだろうと思う。
許せはしないだろうけれど。 -
養父による性的虐待を描いた自伝的小説「ファザーファッカー」に衝撃を受けたのは今から25年前。
そして本作は母親の逸子の視点から描かれた長編小説。
今でこそ毒母なんて言葉があるけれど、まさしく逸子は毒母その物だ。
自分がお腹を痛めて産んだ娘、中学生の静子が愛人男性に殴られ蹴られ犯されているのを傍らで見ていながら
絶えず言い訳を探し、かつ、娘以上に自分を女として認めて欲しいと言う飽くなき欲望。
登場する男達はもちろんだが母親には嫌悪感しかない。
子供は親を選べないんだ。
最低限、子供を守る事が出来ないなら母になる資格はない。 -
最初から最後まで、ずっと気分が悪いままだった。
それがこの話の狙いなのだろうが、辛い。 -
血を分けた実の娘であっても、母がもつ気持ちは姉静子に対してと妹千津紀に対してとは違っている。物語は昭和10年、逸子が一歳四ヶ月の時から始まる。昭和の家族の有り様を縦軸に、日常生活を普通に過ごす家族の中で、内面には小さなトゲが積み重なり、じわじわとかたちになってあらわれる様を横軸に、越えてはならないシーンへ物語は進んでいく。いつからということなく、家族の歴史の長いスパンで自然に描かれている 、取って付けた感がない。事態の理由付けをさがすかのような母逸子の心理、そうせざるおえない逸子もまた長いスパンの中で歪み出したかのよう、娘を病院に連れて行ったり、学校のことで親としての義務は果たすが、反面こうなったのは静子のせいと考えてしまう面もあり、心理の奥深さ、複雑さに驚愕する。長崎の方言はなじみがないので読みづらかったが、本を閉じてもそのリズム感が残っている。
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登場人物の誰一人魅力を感じない。こういう小説も珍しいかも。
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面白いとか面白くないという次元では表現できない考えさせられる内容です。
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ただただ胸糞が悪い話。第一に母親がクズ。母親の連れてくる男もクズ。
胸糞は悪いが引き込まれる話ではあった… -
九州で生まれた逸子はダンスの才能を生かし、夫と共に長崎で暮らし始めた。
二人の子供を持つも、思った仕事に付けず、また夫の素行の悪さで生活にも苦しんでいた。…
ファザーファッカーは未読。
どちらにしても、実話ということに驚かされる。
最近の著者は、過去を踏まえて達観したような様子で、こういう過去があったからなのだと思うと、複雑な気持ちになります。
亭主関白、モラハラ夫を超えた孝がとにかく嫌。
この後の展開は、ファザーファッカーでわかるのでしょうか。
いつか読もうか…悩むところです。