ストーカーとの七〇〇日戦争

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 697
感想 : 101
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163910284

感想・レビュー・書評

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  • 怖い、、、ストーカーに狙われてしまった恐怖感が
    ヒタヒタと迫ってきて身震いしてしまう。
    ストーカーを扱った本は以前にも読んだことがあるけれど
    ストーキングされた本人が書いたものを読むのは初めてでした。
    文章を『書く』という作業は、当たり前だけれど何度も何度も自分の書いた物を読み返さなくてはならない。
    思い出すのも怖い出来事を、無理にでも掘り起こさなければならなかった著者の苦しさを想像すると
    この本を書いてくれたことに頭が下がる思いだ。
    ストーカーの被害者側であるはずなのに、それを訴えるだけでどうしてこんなに我慢やさらなる痛手を負わなくてはいけないのか。
    警察や弁護士やストーカー事件に携わる可能性のある人たちが、ひとりでも多くこの本を読んでくれることを望みます。

  • 加害者を治療に結びつけるというところはいいのだが、無駄に長い。著者が治療にあたった心理士とラジオで話していた、事件のあらましと治療に関する話を聞いている方が面白かった。

  • 文体が無理だった。

  • 大変な本だった。
    『漂うままに島に着き』のあと、こんなことになっていたとは。
    自分の体験・取材をもとにして書いてきた内澤さんだから
    このことについても触れないわけにはいかない。
    書くことにも勇気がいると思うし、
    書いてくれたからこそ、この先に法整備や手順の見直しなどが進んでいくと思いたい。
    突然豹変した相手と対するだけでもかなりのストレスなのに、
    守ってもらうためのハードルがあまりに高すぎて絶望的になる。
    「再犯防止」って口だけなのか。
    何かあってからでないと行動されないって怖すぎる。
    守ってもらうために何度も自分の体験を、行く先々の担当者に説明しなければならず、
    手間のかかる方法で文書や記録に残してもらわなければならない。
    これも大きな2次被害だと思う。
    分かりやすくお膳立てされるわけではなく、
    自分が知らなければ後悔するような手続きが山のようにある。
    ただでさえ恐怖でパニックになっていて、周りにもあまり多くを伝えられずにいる中で
    自分で調べる余裕などないよな。
    何かが起こらないようにするために先手を打って対応する、という流れになっておらず、
    相手をいたずらに刺激するような形でしか物事を進めて行けない。
    ストーカーも依存症の一部なのだという認識が必要。
    病なのだから治療が必要。
    それは相手のためではなく、何よりも自分のこれからを守るため。
    ストーカー専門のカウンセラーの方がいるということが分かったのは大きい。まだ数は足りないけれど。
    表立って声を上げることのできない多くの被害者のかわりに
    みっちりと濃い体験談を、手続きの煩雑さも含めて詳細に書いてくれた内澤さんには感謝したい。
    いつ誰が突然まきこまれるかもしれないストーカーという犯罪、
    しかもまだ法整備を含めた対策が現状にまったく追いついていない状況で、
    この本によって対策が進むことを願う。
    被害にあって何をしたらいいのか分からない人に大きな助けになるはず。

  • わたしにとってはとても身近な香川県で起きた実際にあった話です。
    小豆島と言えば、幼いころに祖母と旅行に行った記憶があります。

    …そんな平和な話じゃなくとてもびっくりする内容です。
    およそストーキングされるような魅力のある人間じゃないので、ストーカー行為がとても他人事というか、テレビのニュースで見る話…という気持ちがありました。

    それがまぁ、こんな身近な県で起きている…と思うと戦慄 が走ります。

    著者がパニックになりながら、とった行動や、警察、弁護士、裁判所と関わった公的機関にイライライライラ。
    読み進めながら弁護士の対応に特にイライラしてしまい、当事者の著者の気持ちを思うと怒鳴り込んでやりたいほど 笑
    それにしても、ストーカーの被害者が隠れて生きていかなくてはならない国、日本。
    どうにかできないものなのか??とても考えさせてくれる本でした。

  • ストーカーとの壮絶な戦いが、リアルに描かれていた。物書きの方だからこその詳しい体験談でした。

  • 本の内容が無駄に長くグダグダ。著者の対人対応能力が低い。読んでいて苦痛。

  • 恐怖が人間をいかに思考停止させるか、といった過程を追体験できる良書。
    加害者の男性の粘着気質は中々で、ゲスな行為の数々に怒り心頭する様子はよくわかる。がしかし、凄惨な暴力等を行使した訳ではないので、読者によっては「頭の弱い小悪党」という印象を抱いてしまう可能性は否めない。加えて、著者にもいくつかの落ち度があり、それらを赤裸々に書いてしまっているため、「頭の弱い小悪党と隙だらけの中年女性の残念な恋愛事情」と勝手にカテゴライズし、上から目線で断罪しているレビューがちらほら散見されて非常に残念に思う。
    それなりの社会経験を積んだ著者が、怒りと恐怖と疲労から思考力を徐々に失い、うかつな失敗を頻発した結果、さらに事態が悪化していく過程は筆舌に尽くしがたいほどのリアリティを帯びている。私たちの日常に大悪党はいない。小さな悪意と小さな失敗がちょっと続くだけで、あっというまに負のスパイラルを生み出すことを私たちは経験的に知っている。そして、加害者の男性のような残念な人間が少なくないことも知っている。したがって、私たちが著者のような不幸に巻き込まれる可能性は日常に潜んでいる。
    本文中に何度もあるが、自分の愚行をさらけ出すのは死ぬほど恥ずかしい行為だろう(まさに闇歴史)。しかしながら、その過程を詳細に、綿密に描写してくれたことで、私たちは同じ過ちに備えることができる。負のスパイラルに飲み込まれないよう対策をねることができる。著者の勇気に敬意を表したい。
    最後になるが、「私はそんなことしない」「私は違う」といった幼い全能感から本書の事件を対岸の火事ととらえ、上から目線の説教臭いレビューをあげている方々は、加害者の男性同様、「他者への想像力が欠如した認知能力」の持ち主であるという自覚を持った方が良い。

  • 役所の紋切型の対応が、とにかく歯痒い。
    著者の熱量に追いつけず、所々飛ばし読みしてしまったが、ホント酷い話。

    ストーカーは病気であって治療で治るとの話には
    驚いた。個人的には、依存性は何でかんでも病気だという
    見方については、事実としても納得いかないが、被害者や
    本人にとっては重要なことだと思う。
    この加害者は治療なんて受けないだろうけど。

  • 怖すぎて一気読み。警察も裁判所も弁護士もそれなりに真摯だが、結局は被害者が不利益を背負う。懲罰ではなく治療を課す難しさ。対応機関の未整備。日本の後進性。ホラーだこれ…

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著者プロフィール

ルポライター・イラストレーター

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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