ストーカーとの七〇〇日戦争

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 101
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163910284

感想・レビュー・書評

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  • 2020/03/01予約
    途中挫折

  • ノンフィクション、しかも著者自身の体験によるノンフィクションで非常に緊迫感がある。
    また、ストーカー被害者という発信の難しい立場からの生の声はとても貴重だと思う。
    そういった性質上 多少読みにくい部分はあるものの、知られざる現場を覗ける希少な読書体験は最後まで飽きさせない。
    ノンフィクションという性質上、万人受けはしないと思われるが、ストーカーに関わる人はもとより、より多くの人に読んでほしい一冊。

  • 「世界屠畜紀行」はすごくインパクトがあって、その著者のイメージとストーカーに付き纏われるというイメージが全く結びつかなかった。非常に強くたくましい女性というイメージだったから。この本の初めの方に、複数の男性から言い寄られる、ということが書いてあり、それも申し訳ないことに、私のイメージに合わず、思わずネットで画像検索した。すごく綺麗な人だった。

    読んでいてこちらもしんどくなってきた。でも読み進まずにはいられない。自分に起こったことの詳細なルポ。
    自分の味方であるはずの弁護士とのやりとりなど、あー、こんな感じなんだろうなと、ほんとに共感を覚えた。示談交渉もこんな感じなのかとか、勉強になった。相手方が100%悪いと思えるのに、向こうの方が守られていて、被害を受けている方が守られていない、どころか、まるで悪者のように扱われるのも、なんかわかる気がする。本人はやりきれない。踏んだり蹴ったりだ。被害者はどこまでも被害を被る。


    "しかし冷静になって考えれば、ああすればよかった、こう手を打てば良かったと、様々思いつくというのに、恐怖というものは、ここまで脳機能を低下させるのかと、しみじみ思う。恐怖に追い詰められていると、正常な思考と判断はできなくなる。当時の私はパニックこそは起こさずに、仕事もしていたし、日常生活も送り、引越しもこなしていたけれど、判断能力は普段の半分以下だったということだ。示談の方法などを、自分で調べる気力もなかった。I弁護士のことを信用できないと思いながら、彼に任せっきりで、なるべく事件のことを考えたくなかった。愚かであったこと、この上ない。"

    本当にこの通りだったのだろうと、しみじみ思う。なるべく事件のことを考えないことで、自分を成り立たせている状態だったのだろう。

    "しかし道義的に見て、どうか。いくら誰も助けてくれないからといって、嫌がらせの報復合戦をしていいのか。良くない。私は何も悪いことはしていないのだから。、Aと同じレベルに堕ちるのは最後の最後まで合法的に、正当なやり方で闘って闘って、闘った末のことだ。" 169ページ

    相手の攻撃に対抗したくなる気持ちはとてもよくわかるし、でもそれを理性で抑えなきゃというところも共感しかない。

    "「何通も送ったらダメ‼︎まったくもー。なにやってるんだよ。あとで裁判になったときに不利になるよ!絶対それ以上送っちゃダメだから」" 172ページ

    相手に対抗するため、これくらいならいいだろうと思うことが「裁判で不利になる」と言われ、結局なにもできない。されるがまま。被害者は何度被害を受ければ良いのか。ずっと受けっぱなしではないか。

    "私が住む家は、探偵を雇ったところですぐには見つからないと思うが(当時私はそう思い込んでいたが、実際には探偵は簡単に引越し先を調べることができるという。たとえば電力会社に内通者がいて、次の契約先の住所が漏れてしまうようなことがあるそうだ。略)" 174ページ

    そうなのか。勉強になる。

    "希死念慮に呑みこまれないよう、最大限努力して面白いことを最優先して生きのびてきたのである。" 176ページ


    結局、いい専門家に出会えたことが解決につながったと思う。そこにたどり着くまでがなかなか大変なのだ。たどり着いたとしても、金銭的なことで諦めなくてはならない人もいるのではないか。
    金銭的にはかなりの持ち出しになっているだろう。被害に遭い、仕事も満足にできなくなっている上での経済的負担。
    全く割りに合わない。
    知力も体力も経済力も普通の女性よりは何倍も持っているであろう著者でさえ、これほどの辛い日々を重ねられてきたとするなら、一般的な人はどれほどの恐怖や不安の日々を送らなければならないのだろう。
    世の中の不条理と戦い、より良い社会につなげたいと主張されるに至った著者を尊敬する。

  • 法整備が追いついておらず同じような事件が繰り返されているんだなと痛感。犯罪者は参考にできる事例があるけど防ぐことは法的に困難。自分でなんとかしてくれと丸投げ。周りの知人や小豆島という比較的時間がありそうな警察のおかげで700日も戦えたのだろうと思うのだけど、自分が同じ立場だったらファイトできたんだろうかね。
    怖かったでしょうね。早くGPS義務化して欲しいわ。

  • 【ありふれた別れ話が地獄の日々の始まりだった――】交際八カ月の相手に別れを切り出した途端、男は豹変。執拗なメール、ネットでの誹謗中傷……恐怖の神経戦を描くリアルドキュメント。

  • 2019/08/04

  • ただただ怖かった
    ストーカー被害に遭わないように、気をつけないと。
    加害者の心理も考えさせられる本

  • 作家であり、ライターである著者が、元彼からストーカー被害を受けたというノンフィクション。

    著者は東京の喧騒から離れ、四国の離島に移住する。
    そこでマッチングアプリでパートナーを探し、後にストーカー加害者になる相手方男性と知り合う。

    交際期間中から、キレやすいことに違和感を抱きつつ、身体的な暴力はなかったため、8か月ほど交際。
    しかし、徐々に束縛が激しくなり、怖くなった著者は一方的に別れを宣告して連絡を断つ。

    すると、相手方は、著者が有名人なのをいいことに、これまでの情事を週刊誌とネットに暴露すると脅すようになる。
    相手方の豹変に驚き、最寄りの警察に相談したところから、1日目がスタートし、それ以降、二度にわたる逮捕、実刑判決までの戦い700日を描いてる。
    700日というと約2年。その間、住居や仕事も制限され、常に戦闘態勢で外出しなければならない生活を強いられた著者の心労はいかほどかと思う。

    ネットの評判を見ると、マッチングアプリで知り合ったこと、結婚を前提としたお付き合いをしていたわけではないことを理由に、著者の落ち度を指摘する人が多いことに驚く。警察でも同様の反応をされたそうな。
    今どき、マッチングアプリで出会いを求めるのは普通だし、女性だって結婚を前提としないドライな関係を求めても良いのでは。

    この本を執筆したことにより、著者が二次被害(いわゆるセカンドレイプ)にあっていないことを祈るばかり。

  • 自身の経験を元に書かれたもの。被害者側の主張のみとなるので一方的な内容であることを前提として読むべきだろう。ストーカーも依存症と同じ精神的疾患の治療が必要となるレベルになるものであるというのには頷けた。ストーカー被害にあっている? と感じたらまずは然るべきところに相談すべきというのはよくわかる。

  • ストーカーに対峙した一例。
    法整備は穴だらけ、警官や弁護士の人柄や能力によって安全確保に差が出て、再犯防止の治療も本人の病識次第。

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著者プロフィール

ルポライター・イラストレーター

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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