- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163911168
作品紹介・あらすじ
初恋、それは身も心も砕くもの。母を亡くし、高見澤家で暮らすことになった少年に、三姉妹はそれぞれに心を奪われていく。プリズムのように輝き、胸を焼く記憶の欠片たち。現代最高の女性作家が紡ぎだす、芳醇な恋愛小説。
感想・レビュー・書評
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父の愛人の子(リキ)と一緒に暮らすことになった高見澤家。3姉妹、母親お手伝いさんまで心を掴んでゆくリキ。3姉妹の初恋・ファーストクラッシュの相手は揃ってリキだった、そのことを思い出しながら語る。
ひゃー女たちの戦い。そして、年齢関係なく虜にしてしまうリキもすごい男の子だなって思った。3姉妹のそれぞれ実にストレートに瑞々しく描かれていて登場人物みんな素敵でした。姉はお嬢様風、次女は読書が好きで、ひねくれ者、三女はリキと犬のようにジャレあう明るい無垢な女の子。それぞれがそれぞれの方法でリキと接して引かれていくところ読んでで飲まれましたなあ。こんな風な初恋は私は残念ながら経験せず、いいね3姉妹。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
長女麗子、次女咲也、三女薫子の三姉妹の暮らす裕福な高見澤家に、父の愛人の連れ子である新堂力(リキ)が同居することになる。三姉妹はリキを見下し叩き壊したいと思いながらも惹かれてゆき、逆に粉々にクラッシュされる。更にリキは愛人の子を憎む母親の心までも溶かしてしまう。
突然、母がいきり立ったように叫んだ。
「あなた、最初から大人だったわ。いっぱしにみんなの心をざわつかせて、ほんとに 嫌な大人子供! おばさん可哀相とか言って、私、忘れないわよ」「何よ何よ、みじめな子と思って同情してやってたらいい気になって......」
昔の怒りを自ら蒸し返して腹を立てている母は、とてつもなく憐れに見えた。 -
父の愛人の息子の新堂力が母親の死をきっかけに引き取られる事になった。裕福で優雅な高見澤家にとって関西から来た“異物”な彼にお姫様気質の麗子·斜に構えた咲也·ストレートな薫子と性格の違う三姉妹がどうしようもなく惹かれていく“初恋=ファーストクラッシュ”についてそれぞれの視点から語られる。愛人の息子に対する屈折を母からぶつけられるとか環境から大人にならざるを得なかった力から垣間見える魅力が絶妙で、思春期のエゴ満開な三姉妹が心掴まれる、或いは砕かれる瞬間が美しい。家政婦含め高見澤家の女達を翻弄してきた力の初恋の相手は…やはりあの人なんでしょうねー。
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山田詠美さんらしいなぁ。ファーストクラッシュっていうんだ、初恋。ラブだと思ってたけど、クラッシュっていわれれば納得。孤児がやってきて、みんなそれぞれの姿で翻弄されてくさまが面白かった。
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山田詠美らしいちゃめっけ(死語だな)と毒のある文章にニヤニヤしながら読んでいたら、やられた。力のファーストクラッシュが、一番胸に刺さるじゃないか。
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片思いの基本は自己完結、そして自己自賛の為。
そう思える相手がいるだけで実らなくても充分羨ましい -
読み終わったら、鳥肌がたちました。
同情というスパイスで思春期の女を惑わせずとも惑わされてしまう力の魅力とは。