猫を棄てる 父親について語るとき

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 3173
感想 : 356
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  • Amazon.co.jp ・本 (104ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163911939

作品紹介・あらすじ

時が忘れさせるものがあり、そして時が呼び起こすものがあるある夏の日、僕は父親と一緒に猫を海岸に棄てに行った。歴史は過去のものではない。このことはいつか書かなくてはと、長いあいだ思っていた―――村上文学のあるルーツ

感想・レビュー・書評

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  • 75/100

    エッセー本。
    村上春樹を今まで読んだことない

    けど、この少ない文章でも伝えたいこと、例えば戦争について(歴史とは)、親子の関係性、自分とは、について、などが整然とまとめられていた

    村上春樹ってこういう生い立ちなんだなーっていうのがわかる1冊

  • 村上春樹氏が父親との記憶を確認しながら、人の歴史に思うところをポツリと語っています。

    個人の意図に関わらず、沢山の要因と結果が個人の歴史に絡みついていて、その人自身もまた子供や他の人に継承されるなにかの一部となっていく…
    原因と結果の絡み合いをフィクションではなく事実ベースに考察していく感じはいつもの村上さんらしい展開かと。

    俳句が好きな父親の話でしたが、まさに、私たちは大きな潮流の中に生きているからこそ、瞬間を切り取る俳句のように、ふつうの個人の、しかしながら深くて色んなものが込められている、短い人生にフォーカスすることは美しく、人間らしさを噛み締めることができる…そんな気持ちにさせてくれる本でした。
    読了後、ふわりと流れるコーヒーの香りみたいな穏やかな空気と足下の少し冷たい空気が案外悪くないなぁ、と。

  • あたいを捨てないでっ!

    ってな事で、村上春樹の『猫を棄てる 父親について語るとき』

    実はハルキストなわし

    もうハルキは5冊は読んどるはずじゃけぇ、立派なハルキスト

    じゃが、ハルキも歳を拾ったなぁ。

    ハルキらしさが感じられんかった…

    わしの思っとるハルキじゃない!

    ハルキはもっと気の触れた文字が踊ってるはずって…

    最もらしい事しか書いてない。

    わしもそう思う。

    人の出逢いと運命の織り成す自分の存在。

    実際に会わなくても現社会の出逢いは電波に乗って世界の人々へと繋がって運命を織り成す。

    TAWAさんの下らないキャプション読んだら、明日会社に行きたく無かったのに、こんな人が居るなら頑張って会社に行ける織り成す運命。

    ヘルニアっぽいけど病院行きたくないと思ってたけど、もしかすると夜のナースれいこが居てカン〇ョーしてくれるかもって病院へ行けた織り成す運命。

    って感じのお話じゃったね。

    こうして出逢える運命ってホント面白いなぁ

    2021年11冊目

  • 父の足跡をたどり、自分が生まれた不思議さに思い至り、一滴の雨水として思いや歴史を受け継いでいく責務を認識する。
    責務があるかどうかはわからないが、結果として受け継いでいることは確か。認識相違や記憶混濁で、受け継ぎ元の意図や真実とは異なったとしても。曖昧な継承と再構築で新しい認識が生まれる。

  • タイトルとサブタイトルに惹かれて読む。父親のことを書いていて、それは小説「騎士団長殺し」にリンクする。優しい絵がとても素敵。春樹さんの生活の中でいつも猫が居て、やっぱり猫が好きなんだ。納得。

  • 作者が村上春樹なので読んでみた。
    彼の文体は好きなので、その点はよいのだが、内容はそう面白いものではなかった。
    この作品に高評価をする人は、是非こだまさんのエッセイを読んでほしい。「ハルキ」効果で高評価をつけてしまったことに気づくだろう。こだまさんのエッセイはそれくらいすごい。

    まあ、春樹ファンが「春樹が好きだから」という理由で読む本ですね。

  • タイトルそのまま
    まあ小説じゃないものねえ
    そのうちお母さんのこともあるのかな

  • 懐かしくて寂しいような綺麗な本
    歴史の不思議と他者の奥深さ
    歴史や他者を理解することができなかったとしても常に留意しなければいけない
    小説のモチーフの原点を感じさせる

  • 村上春樹は、父親を語ることで太平洋戦争での日本について考えているように感じた。身近な親族に戦争体験者がいる世代も少なくなっている。伝え考えていく姿勢を、あとがきにも書いている。

  • タイトルがなかなかの破壊力だけれども
    ちなみにこの捨てた猫は戻ってきております。
    ホッとしていたのはかつて口減らし的なもので
    養子に出されて、結果戻ってきたからでしょうね。

    そう思うとこの風習がなくなったことは
    喜ぶべきことなのかな…
    (まあ私も施設に入れられそうになってるので)

    結局関係性は思うようにはならなかったのよね。
    親と子は違うということ。
    そして、相性もあるということ。
    どうにもならなかったんだろうね…

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著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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