- Amazon.co.jp ・本 (552ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163913803
感想・レビュー・書評
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そこそこ分厚いハードカバーだったので躊躇してたけど、やっと読了。
内容の予備知識なしだったので、何系の話なのかも全く分からず先入観なしで読めた。
宗教施設で発見された女の子の遺体を巡り、当時の関係者がそれぞれの立場で真相を求めるって感じかな。宗教施設って書いたけど、その呼び名というか、どうしてもマイナスに捉えてしまう先入観について考えさせられた。
個人的には、特定の宗教に傾倒してないし、金銭面や暴力・拘束、人を強引に勧誘等なければ、思想の自由で誰が何を信じていてもいいとは思う。個人の自由。
ただ、視野が狭くなったり、行動が制限されるのはどうかとも思う。って当たり前のことだけど、小説だからそれぞれの立場で読め、自分の想像だけでなく違う角度から見ることができてハッとさせられる。
何のための思想なのか。それが、自分のしたいことで、他を巻き込まなければいいのかな。
その、他を巻き込まないというのがかなり難しい。ほとんどの人には家族がいる。
話の中の登場人物の心情描写が細かくて痛く切なくなる。人は生きていく為に忘却するし、忘れたくなかった大事な事でも仕方ない。
わが子は可愛いけど、母親だって人間で、子育てに向き不向きはある。
共感できない部分がそこそこあったし、弁護を引き受けた後がもっと読みたかったので、☆マイナス1だけど、色んな角度から疑似体験できて、とても心に残る作品だった。
内容と直接関係はないけど、モヤモヤするなんとも言い難い思いを言葉や文章に書けることは、改めて重要で素晴らしい手段だと実感した。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
まさかきっかけがそういう事だったとは、、、
その時のミカにとっては、大人にも友達にも相談できない、一番困る事だったかも。
先が気になりぐんぐん読めて、読後はちょっとすっきり、面白かった。 -
子供時代にうまく言葉にできなかった感情を巧みによく表現しているからこそ引き込まれる。
法子の言う通り美香はミライの学校に慰謝料請求できる立場。子供に罪悪感植え付けるのも大人。
子供の人生は親で決まってしまうが、本当はそんな事あってはならない。虐げられたミカたちが、いつかは人を愛することを知って、我が子と寄り添う日々を送って欲しいと願いつつ、虐待を受けた子供たちが、いつかその幼少期がおかしかったと気づき、自分を愛せるようになることを応援しながら読んでいったように思う。 -
宗教二世の話かと思いきや、そういう話でもないようで。
ミライの学校と呼ばれるところで、白骨死体が発見される。
そして、弁護士の法子の元に、その白骨死体は孫のものかもしれないから調べて欲しいと、老夫婦から依頼が。
法子は子供の頃、夏休みの間だけ未来の学校へ3回ほど行ったことがあり。
白骨死体は一体誰なのだろう?という謎とともに、子供の頃の出来事と現代と交互に物語は進んでいきます。
この本を読んで、子供を産むことによって、社会から離れてしまった人がいて。そして、再び活躍の場を与えられると、嬉しいし喜びや自信もあふれた感じになり。
ただ、子供がいるから産まれる前のような訳にもいかず、活動に制限もされるわけで。
ミライの学校に預けられる子供たちや、世間の事を考えるとありえないことなのかもしれないけれど、それをありえないという世の中を変えていかないと、女性が活躍する場面も減るし、少子化に繋がっていくんじゃないの?と思いました。 -
親元から離れて
先生と子供と過ごす<ミライの学校>
いつからかカルト球団と批判を浴びる
そこの敷地後から少女の白骨遺体がみつかる
弁護士の法子は
<ミライの学校>で出会ったミカちゃんではないかと思う
ミカが願いを込めて泉に
泣きながら宝物を流す場面が胸が痛い
ごまかして汚いものに蓋をする大人
美しさや清さ、情熱信念これだけが教育なのか
親元を幼い時から離れることは
自立する近道なのかもしれない
でも、それははたして本物の自立?
小さい時からずっと子供といて
過保護、過干渉、虐待のケースもある
子供にとって何が一番の教育なのだろうか
それは親子の数だけ答えがあるのかもしれない
その答えが出るのは子供が大人になってから
読む性別、年代によって受け取り方が変わる小説 -
子供時代の描写が丁寧に描かれてるが故に、野暮ったくて読みづらいと感じる側面があったが、結果的に、大人時代との対比が上手く表現されており、中盤以降は一気に引き込まれた。
かがみの孤城と傲慢と善良の中間ぐらいの作品との印象を受けた。 -
ぐいぐい引き込まれて読ませるチカラがすごかった。
子ども時代の話は特に、リアルというか説得力があるというか…女の子同士の気持ち、親への思いなど、感情移入して読んでしまいました。
とても読みごたえがある作品ですが、テーマがテーマなので、再読はしたくない。
それだけ入り込んでしまったとも言えるかな…。 -
❇︎
社会から隔離された宗教施設で育った子供と
施設が開く夏の合宿に参加した子供が時を経て
ある事件を機に再開する。
体験した夏の思い出とかけ離れた友達の姿に
驚きながらも、思い出にある相手の面影を
探してしまうもどかしさ。
子供故の純粋さと残酷な感情を改めて感じる
戸惑いは、幼い時に共有した思いの見せ方を
変えて大人同士の関係性を形作ってゆく。
ーーー
子供たちの自主性を育てる考え方の元、
作られた〈ミライの学校〉と『学び舎』
そこで過ごした夏の一週間。
麓と〈ミライの学校〉異なる空間の生活で
生まれる子供たちの感覚の相違。
麓の学校で友達に溶け込めないと悩んでいた
ノリコにとって学び舎のミカとシゲルと過ごした
一時は掛け替えのない思い出だった。
ずっと長くノリコが忘れていた記憶は、
子供の白骨が発見されたことで呼び起こされる。
〈ミライの学校〉の事件と関わることで
記憶の中身は曖昧さを増して当時と違う表情を
みせ始める。
思い出という琥珀の中にキレイな結晶として
閉じ込められた記憶は、年月を経て飴色に輝き、
見る者の心によってその見せ方を繊細に変える。