新しい星

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163914688

感想・レビュー・書評

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  • 読後感はとても良かった。
    それぞれの人物の現実をこれでもか!と突きつけられて、リアルな話でもあるので余計胸がヒリヒリした。

    仲の良い友人、家族も、自分は知った風に感じているけど、本当の人に気持ちなんて、わからないんだという事。

    それを忘れてはいけないなと思った。
    わからないからこそ、相手の気持ちを想像すること、適度な距離感で支える。登場人物の4人の仲間達の距離感が本当にすばらしかった。

    みんな口に出さないだけど、いろんな思いを背負って生きている。いろんな背景がある。いろんなものを背負いながらも、自分なりの解決の仕方で乗り越えて、前を向きて生きていく姿が素敵でした。

  • 就職し、結婚し、子供を授かり…そんな一般的に普通と言われる生活を送る事は、実は難しい事なのかもしれない。
    大学時代に同じ合気道部だった4人の物語で、4人とも苦しみを背負って生きている。人の痛みを知っているからこそ、人に優しくなれる。かつ強さがある。4人を応援する自分がいます。

  • <七>
    作品内容は短篇の体をした連作小説。本編の真ん中あたりに新型コロナバイラス禍津により仲がおかしくなった夫婦のお話もある。非常にリアリティのある話でここまでコロナバイラスによる種々の禍津をズバリ書いた作品に僕は始めて出会った。リアルな事実を小説と云う形で書き残すのはとても良い事だと僕は思う。
    更にこの本は 会社のお昼休みのうち読書に使えるおよそ20~30分間で ちょうど短編一つが読み終わる長さで出来ていて非常に僕にとって具合が良い。これってある種の様な読書人にはかなり評価点数高かったりします。

    あと僕的に好感が持てるのは必ずお話にお酒が登場すること。これは間違いなく言える事だと思うけど 作者がお酒好きな場合かなりの確率で作品にはお酒を飲む場面も出て来る。僕もお酒が大好きなのでこれは非常に好ましい事である。が,その度に僕もお酒を飲みたくなりそれが許される場合(会社のお昼休みはNG あたりまえw)は大概吞むはめになっているのを最近ちょっと気にしている。笑う。
    そして各編かなり面白い。本のボリューム厚みも薄目なので読みやすいと思う。機会あれば皆様もどうぞ。

    作者は男性的女流筆名作家『まる』さん。僕はまるさんは絶対男性作家だと思っていたが どうやら100%女性作家らしい。まさか本名ではないと思うが。
    ペンネームを考える時にいかに男性っぽくしかし女性作家でもあり得るような名前を考えるかに腐心している多くの女性作家の卵がいらっしゃるみたいですね。残念ながらその卵の多くは決して孵化はしないのだが。(この男性的筆名女流作家の件は”本作物語がとても秀逸で面白い” という事とは関係ない僕の思い込み記述なので皆さまどうか気にしないで下さい)すまぬ。

    【読者感想あとがき】本書の題名は『新しい星』そして今僕はこの本と並行して『星新一 の思想・・・』というエッセイ本(もちろん著者は星新一さんではないですよ)を読んでいる。中身は全く似ても似つかないものだけど偶然あれまの題名だと思っています。趣味読書にはこういう偶発的な事が結構多かったりします。先に読んだ本に登場した人物が次の本(全く別の作者作)に偶然出てくる事ぐらいはほとんどしょっちゅうございます。すまぬ。

  • 泣いた
    読み始めからなんとなくウルウルくる感じしたけれど、こんなに泣くことになるとは。

    4人のつき合い方がとてもいい
    うらやましい
    同等で思い合っている
    信頼できてる
    大切な事。




    玄也が
    体調の悪い母親が
    とても立派な事を
    なめらかに楽しそうに気安い相手と
    電話しているのを聞いて

    自分の倍近い年月を生きた母親のなかにも
    見下されることへの恐怖がある

    とあった
    人は見下されるのが怖いから
    相手より先に立派なことを言う
    先に人を見下す

    なるほど納得
    玄也だって傷ついたけど
    この4人の同等なつき合いがあったから
    乗り越えられた
    新たな一歩がでた

    パワハラ上司なんか豆粒米粒以下の
    気弱な男
    哀れな男
    逃げるが勝ち!












  • 大学の合気道部で一緒だった4人の、20年ほどに渡る群像劇です。
    群像劇と言いながら各々が各々に関わっていくというより、
    人生の中で手を取り合う一瞬の尊さが描かれています。
    人が生きていく上で、出来て当たり前、そうして当たり前という事が沢山あって、
    それに則って生きていく事の苦しさって親しい人でも肩代わり出来ないです。
    でも横に自分を分かってくれている人が走っていると思えば、
    もう少し頑張ってみようと思えたりするんだと思うんですよね。
    って言いながらそういう友達いないので何ともですが。
    そういう肩ひじ張らない関係性って憧れます。
    人間は死ぬことが確定しているのに、
    時間を消費する事で生きている事が感じられるんですから、
    何とも不条理で愛おしいですね。

  • 図書館で借りました。こんなに涙が止まらないなんて。こんなに苦しいなんて。「そうか、生活・・・どんな時でも、生活があるのね、きっと」 【それぞれの人が、生きるうちに思いがけず運ばれた未知の場所で格闘している】 青子、茅乃、玄也、卓馬、そしてなぎさと、奈緒。彼ら、彼女らの、痛みや迷いがどくどくと私の中に流れ込んできた。止められない思いを抱えて読み終えた。

  • 表紙の空と雲が、夕日に染まって美しく
    海に沈む前の太陽が、くっきりと影を作り
    いつまでも見ていたいなぁ~。
    この景色を四人も見たのかなぁ~?


    自分の人生と重なる部分で、ぎゅーと縮まる子宮に驚きました。
    もう平気だと思っていたのになぁ~。

    この本を読んで、自分も、まわりにも、こんな人達いないなぁ~。と思える人と、何かわかんないけど涙がボロボロ止まんない人とがいるんだよね。

    自分の言葉にならない感情を活字で読めて
    良かったと思えます。




  • 産んですぐの子どもを亡くしてしまった青子
    乳癌を発症した茅乃
    上司からのいじめに遭い、引きこもりになった玄也
    家族とすれ違ってしまった卓馬

    大学の合気道部で仲の良かった友人4人が、
    これからもずっと真っすぐ順調に進んでいくと思っていた未来から外れていく。
    彼らに起こっていることは、どこにでもあることではないのに、4人それぞれに感情移入してしまう。
    恐らく、彼ら自身は特別ではなく
    私と何ら変わりない人々だからだろう。
    そして、彼らに起こったことは、
    もしかしたら自分にも起こりえた(起こりうる)ことだからかもしれない。

    4人のつながりと
    それぞれが自分を見つめ直し、少しずつ前を向いていくところに勇気づけられる。

    後半、外出先で読んでいるのをしまった!と思うくらい
    グッときてしまう。
    でも、最後は玄也と茅乃の娘、奈緒の会話で救われる。
    「あなたは生涯を通じてけっして一人にはならない」
    そんなふうに人との関係を築けたらいいなと思った。

  • 歳を重ねるごとにそれぞれに抱える困難が大きくなっていくのを感じる。自分だけが辛いのかと思って見回してみると、元気に見える人であってもみんなみんなどこかでなにかが辛い。人生は不平等であり平等なんだなと思う。

    平均寿命が男女共に90歳近い国でも、若く亡くなる人だってたくさんいて、それは自分かもしれないし、家族かもしれないし、友達かもしれない。
    人間死ぬ時は死ぬ。その怖さと、私や誰かがふと居なくなってしまったとしても日常は続いてく(れる)あたたかさの両方が心に染みた。

  • 仲の良い友達って大事だと思えます

    友達だからこそ、言えること
    友達だからこそ、言えないこと

    大事にしたいものがあって、でもそれを失って。これから先どうやって生きていくのか

    大事にしたいものとかは人それぞれ違うだろうけどそれを失なって悲しい気持ちは一度は経験する

    最後は泣きました

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著者プロフィール

1986年千葉県生まれ。2010年「花に眩む」で「女による女のためのR-18文学賞」読者賞を受賞しデビュー。16年『やがて海へと届く』で野間文芸新人賞候補、17年『くちなし』で直木賞候補、19年『森があふれる』で織田作之助賞候補に。著書に『あのひとは蜘蛛を潰せない』『骨を彩る』『川のほとりで羽化するぼくら』『新しい星』『かんむり』など。

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